イベント1日目#おしゃべりコーナー:19 デレーナの場合:下
ロリババア(推定)が来たことで、過去二番目の吐血をして大変幸せな時間を過ごしたロリコンから移り変わり……
「よく来たわねっ! ま、まあ、別に来なくてもいいと言えばいいけど……けど、まあ、来てくれてありがとうっ。デレーナ・ツァンストラよっ」
らいばーほーむ屈指のおぎゃリストである、デレーナであった。
最早ツンデレ要素が旅に出ちゃってるが、今この瞬間のおしゃべりコーナーでは比較的まともな方だろう。
『普通だ……』
そんな色々終わってるデレーナなの、以前のような挨拶をしたデレーナに、男性ファンはそう呟いた。
「普通って何よっ?」
『いやだって、ここ最近のツンデレちゃん、ツンデレちゃんじゃなくて、おぎゃりちゃんだったから……』
「おぎゃりちゃんって何!?」
自分の知らない単語が飛び出してきて、デレーナは思わずツッコミを入れる。
こういうところは、ちゃんと常識人っぽいのだが……。
『年下の元男の娘TSロリっ娘に母性を見出しておぎゃりまくってるデレーナちゃんの略。通称、おぎゃりちゃん』
「略す前が長すぎない!?」
『ツンデレちゃんだし……』
「どういう意味!?」
珍しく、ツッコミの方に力が入っているデレーナ。
この時、別の所でおしゃべりコーナーをしているたつなはなんとなく、『普段からそれをもっと見せてくれないかな!?』と、なぜか思ったとか思ってないとか。
『過去のツンデレちゃんは、遠い人になってしまったから』
「それ、あたしが死んだみたいになってない!?」
『ある意味、常識人且つツンデレなツンデレちゃんは死んだと思う』
「生きてるけど!?」
『掲示板でも言われてたけど、ツンデレちゃん、なんかこう、二重人格なんじゃないかってくらいに切り替えがすごいことになってたって訊くんだけど』
「は、はぁっ? 何を言ってるのよその人っ! というか、あたしは別にそんなんじゃないんだからねっ」
『じゃあ一つ。ツンデレちゃんにとってのおぎゃりって何?』
「――母性に満ちた対象、つまりバブみを持った相手に甘えたい、甘やかされたい。そして、膝枕されたり、耳かきされたり、優しい声で褒めてもらって、子供のようになりたいということ。特にみたまママのような見た目が幼いにもかかわらず、大変立派な母性の象徴とも言うべき大きな胸がありつつ、母性に満ち溢れた普段の言動、行動、癒しなオーラを放ち、来るものを圧倒的な癒し力で癒してくれる……つまり、パーフェクトな母性を持った存在と言うことよ」
先ほどまでの常識人はどこへやら。
前半でも見せた普通のデレーナは、地雷を踏み抜くことで、一瞬でいつものデレーナへと早変わりである。
『ほらやっぱり魂がおぎゃってるじゃないですかヤダー』
「一度おぎゃるという快楽を覚えてしまうと、戻って来られないものよ」
キリッとした顔で変なことを言っている。
『え、母性って麻薬か何か……?』
「あながち間違いじゃないわ。依存性が高いもの。というか、麻薬の代わりになると思うのよね、あれ。つまり、薬物依存している人たちはみんな、みたまママの母性に依存すればいいと思うの」
『地味にとんでもないこと言ってるって自覚ある? ツンデレちゃん』
しれっと、麻薬の代わりしない? とか言った挙句、依存すればいいとか言ってるのは、控えめに言って頭がおかしい。
「え? 当然のことじゃないの? だって、みたまママよ? つよつよ母性を持った、最強のTSロリっ娘よ? むしろ、普通のことじゃないかしら?」
『ツンデレちゃんの脳内って、完全に汚染されきってるよね、それ。大丈夫なの? 変なの受信してない?』
「母性は有害ではなく、無害よ。むしろ、今までの荒んでいた荒野の如き心が、色とりどりの花々が咲き誇るお花畑へと癒されるから。おかげであたしは、ツッコミと言うツッコミで胃が死に、精神が死に、復活しても同じように胃が破壊されて、精神が灰になる寸前でも、みたまママの母性というもので、すぐに蘇れるわ」
『なんかもう、シスコンとかロリコンのこと言えないよね、ツンデレちゃん』
「あの人たちとは違うわっ! だってあたしは、狂的なまでにみたまママを愛してるわけでも、狂的なまでにロリ属性なみたまママを愛してるわけでもないのっ! あたしは、狂的なまでにみたまママの母性に依存し、狂ってるだけよっ!」
『結局狂ってるんだ……』
「むしろ、母性で狂うのって、健全じゃない?」
『それが自分の母親だったらマシかもしれないけど、相手は年下の、しかも未成年で高校生なみたまちゃんぞ? どう考えても不健全オブ不健全では?』
自分の母親の母性に狂うのも、それはそれでアレだとは思うが、少なくとも男性ファンが言うように、
「母性は健全……みたまママは、この世全ての母性よ」
『ちょっと何言ってるかわからないです』
「まあ、あれよ、あなたもみたまママの母性の沼に依存すればわかるわ」
『わかりたくねぇ……』
「というか、人類の履修科目よね、みたまの母性」
『規模がクソほどでかくて、俺はなんて返せばいいかわからないよ、ツンデレちゃん』
「ワールドワイドなみたまママだから、当然よね?」
『会話が成立してる気がしねぇ……!』
「こうして対面して、会話が出来てるのなら、それは成立していると言えるわ。というかそれ、今までのあたしが感じていた、らいばーほーむのボケの方たちに対するものと同じよ」
『マジかよ……ツンデレちゃん、こんな狂った状況になっても、律義にツッコミ入れてたのか……』
「そこにプラスして、ストレス性胃炎になったら、あたしの道程と同じね」
『最悪だァ……!』
デレーナは今までも、狂人の巣窟ならいばーほーむの中で、ひたすらボケまくったり、アホなことをしたり、横道にそれまくったりする狂人共を軌道修正したり、ツッコミを入れたりして来た。
結果として、ストレス性胃炎になったり、胃に穴が空いたりもしたそうだ。
どれもなぜかすぐに治ったが。
『そう言えば、ストレスが溜まるとアルコール依存症になりやすいって聞いたことがあるな……つまり、ツンデレちゃんの場合はアルコール依存症になったんじゃなくて、母性依存症になったってことか……』
「健全な病気ね」
『病気に健全もへったくれもないと思うよ、ツンデレちゃん』
「健全も健全でしょ? だって、あくまでも依存しているのは母性であって、薬物などじゃないもの。母性と言う概念に、あたしたちは依存しているのよ」
『概念に依存とか初めて聞いたわー……』
「母性って、ほら、目に見えないけど、それはそれとして隙間だらけの心にスッと入り込んで穴を埋め、そして生きる活力を与えるから」
『マジかよ、母性スゲー』
「これを学会に発表すれば、ノーベル賞間違いなしね」
『間違いだらけのノーベル賞はちょっと……』
「平和賞、狙えると思うの、みたまママなら」
『それは………………いやたしかに、最近海外にも可愛さが浸透しつつあるっぽいし、なんか平和になった、みたいな外国人ニキがいるっぽいけども!』
一瞬、さすがに無理だろうと否定しようとした男性ファンであったが、すぐにみたまがデビューしてから今日までのことを思い返し、ありえそうだと思った。
実際、海外でもみたまは徐々にではあるが人気になりつつあり、既に熱狂的なファンがいるほどである。
というか、みたまの配信を全力で楽しむために、0から日本語を学び始める強者まで現れ始め、なんと二ヶ月で配信を楽しめるまでに至っている。
別の方面では、全力で楽しむために、言語を覚えるのではなく、翻訳ソフトをファンたちで共同開発している猛者もいるので、熱意が半端じゃないことになっている。
まあ、そんな熱狂的なファンでも、どこかのシスコンは言語がわからずとも、なんか怖いらしい。
言語の壁を破って可愛さを振りまくロリと、言語の壁を破って底知れぬ狂気を振りまくシスコン……結果の一部は同じなのに、その先がイカレているのがシスコンである。
「海外のファンに、おぎゃってる人はいないの?」
『そもそも、おぎゃるという概念が海外にあるの……? 日本は特殊性癖のデパートみたいなもんだからあるけど。ただ、なんとなく『ママになってほしい』とか言う人はいるらしいってことは……』
「ふっ、見どころがあるわね、その人は」
『ツンデレちゃん、キャラ崩壊してない?』
「あたしは最初からこんな感じよ?」
『嘘だッ……!』
しれっと過去を改竄(?)するデレーナである。
それはそれとして、普通におかしい。
『……なんかもう、ツンデレちゃんってこう、生態が変わったよね』
「人間相手に生態って、普通にかけるワードとしておかしいと思うのよね、あたし」
『らいばーほーむのライバーはほら、珍獣って言われてるから……』
「それはそれで酷くないかしら? あたしたち、ちゃんと人間よ?」
『約一名、騒音をまき散らす猫がいたりしますが、あれは……』
「あれはホワイト・ベルバードみたいなものだから、珍獣で合ってるわ」
『ホワイト……?』
「世界一うるさい鳥って言われてる鳥類ね」
『地味に酷いこと言ってません!? 後輩ですよね!?』
「あたしは今までに、ありとあらゆるボケの大渋滞を交通整理して来たわけだけど、もうボケに回ってもいいのでは? と最近思ってるのよ」
『いやあのゲリラ配信以降、割とボケ始めてません? 老化でもしたんですか?』
「花の21歳に老化の話題を出すとか、死にたいのかしら? 死ぬ? それとも、死ぬ?」
『選択肢が、Death or Deathな件について』
「推しに殺されるなら本望だと思うのよ」
『物騒すぎる願望はないんだよなぁ……』
この現状を、おぎゃる前のツンデレしか知らない人が見たらどう思うだろうか。
答えは、思考停止する、である。
というか、しれっとツッコミとボケが入れ替わってる辺り、別人レベルで人が変わっている。
話の中身がほぼみたまなのが原因で、完全にツンデレ状態ではなく、おぎゃリストとしてのデレーナになっている。
最早別人である。
「でもまあ、あれよ、あれ。とりあえず、あなたもレッツおぎゃり!」
『何を勧めてんですか!? いやまあ、既に沼ってますけど!』
「え、沼ってたの!?」
『……むしろ、あそこまでの母性を受けて、堕ちない人はいないのでは? と、俺は思います』
「それはそうね」
『だからこれはツンデレちゃんが原因と言うことです』
「あたしが原因って何!?」
『いやほら、ツンデレちゃんがおぎゃらなければ、多分みたまちゃんの母性で沼ってる人は少ないと思うんだ』
「……いやでも結局、たつなさんの家事サービス配信で量産されてた気がするわ、あたし」
『言われてみれば』
「なので、遅かれ早かれ、こうなっていた、ということで。結局、みたまママが最強の母性の持ち主、ということね!」
『あ、ハイ、そっすね!』
そんなこんなで、この男性とのおしゃべりは終始謎の母性談義で終了となった。
この後も似たようなことが続いた辺り、おぎゃリストの業は深いようである。
尚、余談ではあるが、椎菜の母性は、椎菜母の遺伝である。
この人、こんなに頭おかしかったっけ? って、書いてて思いました。
あと、普通にデレーナ単体で動かすの、難しいんですけど。まあそれ、二期生に言えることなんですけどね……。
それと、前回登場していた幼女ちゃんの名前は「ミラーファ・エルナー」と言いますが、名前をよーく見てみると、誰なのかがわかるようになってるんですねぇ! っていうか、隠す気がないでしょ、超常存在の方々。
はい、18時は無理だったけど、なんとか今日中! 明日も二話投稿! 1話目はいつも通りだけど、二話目は知らぬぅ!




