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ロリ巨乳美少女にTSしたら、Vtuberなお姉ちゃんにVtuber界に引きずり込まれました  作者: 九十九一
イベント編:聖夜にはどんちゃん騒ぎ! 二日かけての狂人披露会! 吐血もあるよっ!

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イベント1日目#おしゃべりコーナー:10 ひかりの場合:上

 薄い狂気!

 不穏なギャル→カラッとした空気の男へと進み、次に出て来るのは……


「どもどもー! みたまちゃんの永遠のお姉ちゃんで、みたま教の教皇、邪神シスコンだよ☆」


 邪神であった。

 遂に来てしまったと言うべきか、なんで落ちじゃないんだと言うべきなのか、某核兵器よりも先に出てきたことを喜ぶべきなのか、それはもうなんとも言えない気持ちにはなる物の、まあ、主役(敵側の)は遅れてやって来る、ということで。


 そんなシスコンが最初に相手にするのは……


『うわぁ、マジでこのノリなんだ……』


 ごくごく普通な、二十代後半くらいの男性であった。

 男性ファンは、いつもの配信のノリをかましてきたシスコンに対し、リアルでやってきたことに驚き半分、ドン引き半分な様子。


「あれあれ~? どうして引いてるのかな? ハッ! さては……」

『は、はい?』

「教皇の座を狙ってるね!?」

『絶対ないですハイ』

「そうなの? じゃあいいや! はい! 改めまして、シスコンです☆ 今日は楽しんで逝ってね!」


(今、明らかにいってねの「い」の字が違った気が……)


 などと、男性ファンは疑問に思ったが、怖いのでツッコまないでおいた。

 あと、改めましてなのに、ライバーとしての名前を名乗らずに、シスコンと名乗ったことについても、何もツッコまなかった。

 ツッコミを入れたら負けなのだ。

 狂気に対して、常人が接したら死んでしまう。


「それでそれで? 君の名前はなんて言うのかな?」

『あ、山田浩二です』

「ほうほう、じゃあ、浩二君だね!」


 にこにこと楽しそうな口調で名前を呼ばれて、不覚にも男性ファンはドキッとした。

 普通にビジュアルは可愛いし、声も無駄にいいので、なんだかんだドキッとはするのだ。


「それで? 浩二君の推しは誰?」

『あ、ひかりん推しです』

「ほほう、私とな! そっかそっか! 嬉しいねぇ! ありがとう!」

『あ、いえ、普通におもしろ――』

「でも、私推しじゃダメです」


 もっとも、相手はシスコンなので、そんなドキッとするようなシチュエーションなど、一瞬で吹き飛ぶのだが。


『はい?』

「私なんかよりもっ! みたまちゃんを推さなきゃダメじゃん!?」

『うん!?』

「この私のおしゃべりコーナーに入り、尚且つ私推しであるのならば……私はみたまちゃんの次に推されるべきなんだよっ!」

『すみません、ちょっと何言ってるかわからないです』

「だって、みたまちゃんぞ!? みたまちゃんがこの世の頂点……であるならば、お姉ちゃんである、私は、絶対にみたまちゃんの上に立ってはいけない……! なぜならば、私がシスコンだからっ!」

『????』

「というか、私推しってどうなの? だって、みたまちゃんの方が可愛くない? みたまちゃんだよ? みたまちゃんの一挙手一投足は、どんなモデルでもアイドルでも裸足で逃げ出すほどぞ? つまり、世界の全てはみたまちゃんが中心になって回っていると言っても過言ではないわけですねこれが」

『お、おう』

「まあでも、私推しと言われて嬉しくないわけがないので……そこを差し引いて、みたま教に入信するのならば、許しましょう☆」

『……え、あ、ハイ? え? みたま教? 強制なの?』


 勢いのままに、なぜかみたま教に入れば許す、と言われた男性ファンは、まったくもって事情が呑み込めていなかったが、なんとか強制的に入るのか、と尋ねる余裕はできた。


「え? 私のファンと言うことはつまり、みたま教の教徒ということだよ? というか、私のメンバーシップの名称、みたま教徒だし」

『そう言えばそうだったッ……!』


 シスコンのチャンネルのメンバーシップ名は、昔はファンの呼び名である『ひかたみ』だったのだが、最愛の妹がらいばーほーむに入ってきた後は、『みたま教徒』に変更していたりする。

 そのためか、最近ではひかりのファンの名称も、ひかたみ、ではなく、みたま教徒なのでは? と考えるファンは少なくない。

 実際、本当にそれを名乗ってるファンもいるので……。

 尚、この男性ファンは普通にメンバーシップに加入済みである。


「というわけなので、みたま教に入信しよう。さすれば、救われます」

『一体何から!?』

「この世全ての悪」

『怪しげなカルト宗教ですら、そこまで断言しないですよ……』

「お? みたま教という、世界で最もクリーンな新興宗教をカルト宗教と申すか?」

『違いますが!? たつな様ァァァ!? このシスコン止めてェェェェ!?』

「ふはははは! たつなちゃんは今、『たつな様を困らせ隊』の幹部メンバーと相対し、それはもう困惑してるところだよ☆」

『なんですかそれ!? っていうか、なんでひかりんそんな具体的なこと知ってるの!?』「ふっ……みたまちゃん大好きなシスコンぞ? 常にみたまちゃんの状況に聴覚を割いているからね。その過程で、たつなちゃんの状況も聞こえてくると言う事さ☆」

『なんでだろう……普通なら絶対無理だろ、と思うのに、普通に納得してしまった……』


 男性ファン、まだ始まったばかりだと言うのに、既に若干疲れている!

 まあ、無理もないだろう。

 平常時であれば、たつながひかりを抑え込む役割を担っていたのに、今ここにいるのは手綱から放れた暴走する馬……もとい、馬などと言う言葉すら生温い、闘牛のような存在。

 それを、ただの一般人が相手にするなど……正気の沙汰ではない。

 あと、たつながこのイベントで一番気にしていたのは、狂気純度1000%の狂人シスコンと相対して、ファンが生きて帰って来られるかどうか、というものだった。

 どうやら、その心配は無駄に終わったし、無駄に終わるのも早かったようだが。


「というわけで、みたま教に入信しましょう」

『拒否権は……』

「ない☆」

『デスヨネー』

「まあでも、浩二君が私のチャンネルのメンシに入ってることは知ってるし、不問としましょう」

『あ、ありがとうございます……って、え? ちょっと待ってください?』


 メンバーシップに入っていたことで、なんとか不問にされたので、そのシスコンにお礼を言ったところで、はたと気付く。


「ん? どったの?」

『あの……なんで俺がメンシに入ってるって知ってるんですか……?』

「あ、そんなこと? 簡単だよ~。私、自分のメンシに入ってくれてる人は全員、知ってるから」


 にっこりとした笑みを浮かべ、自然体でそんなことをシスコンは言った。

 山田浩二は思った。

 これ、悪人の方がまだマシじゃない? と。


「じゃ! おしゃべりしよう! おしゃべり! 浩二君は、なんで私が推しなの?」

『え、あ、ハイ。そっすね……ある時まで、ひかりんって、元気があって、ふざけてて、頭おかしいなー、って思ってたけど、たまにいいことを言うじゃないですか? そこがいいなぁ、って思って……実際、ひかりんの言葉で変われたとこあったんで』

「ふんふん。なるほどねー。ちなみに、変われたことがあった、っていうことは変わる前があったってことだよね? どんなだったの? もちろん、嫌なら言わなくてOKOK」

『あー……まあ、なんて言うか、自分がいた職場に、嫌な上司と同僚がいて……ことあるごとに突っかかって来てたんですよ』

「うんうん」

『んでまあ、助けに入ってくれる人もいないし、辛くなってきて、どうしようって思ってる時に、ひかりんの配信を見まして』

「ふんふん」

『ある日、思い切って、ましゅまろを書いたんですよ。『上司と同僚に嫌がらせされてます。どうすればいいですか』って』

「あー、あったねぇ。たしか、去年の八月上旬だったかな。短い文章だからこそ、何を書いていいかわからなくて辛かったんだろうなー、なんて思ったっけ」

『え、憶えてるんですか?』

「そりゃ憶えてるよ? だって、私のファンでしょ? 私、基本的にましゅまろだけでなく、コメントも基本的に全部読ませてもらってるし、憶えてるんだよね。だって、折角書いてくれたんだしねー」


 さもなんてことないように言うシスコンのセリフに、浩二は嬉しくなった。

 相手は大人気と言っても過言ではないVTuberで、頭がおかしくて、デザイナーの仕事をしていて、やっぱり頭がおかしくて、同人活動もしていて、まあそれでもやっぱり頭がおかしくて……だから忙しいし、数あるましゅまろの一つと思われていたと思っていたら、まさかの覚えていた発言。

 ファンとしては嬉しいと言うものである。


「それでたしか私は……あぁ、そうそう。『嫌なら逃げてもいい。逃げるのは恥ずかしいこととか思ってるかもしれないけど。それは間違い。適切な場所で逃げることは恥ではなく、勇気ある行動。むしろ、そんなところで潰れるくらいなら、いっそ逃げ出して、別の所でがむしゃらに頑張った方がきっとプラス。それででかくなって、見返せばいいんじゃないかな?』だったっけ」

『そうです。というか、本当に憶えてるんですね』

「そりゃあね! んで? あの後どうなったの?」

『あの後、ひかりんの言葉を受けて本当に仕事を辞めて、地方に移り住んだんですよ。で、お年寄り向けのサービス業を始めたら、それが上手くいって、今はちょっとした会社をやってます』

「ほっほう! それはまたすごいねぇ! なるほど、社長ねぇ……うんうん、本当にすごい!」

『これも、ひかりんのおかげだと思って、実はかなり感謝してたんですよ。なので、ありがとうございました』


 深々ぁ~と頭を下げてお礼を言う男性ファン。

 それに対してシスコンは、ん~、と何かを考えこむと、口を開く。


「浩二君。勘違いしちゃいけないけど、あくまでも私は助言をしただけだし、思ったことを言っただけ。行動に移したのは、浩二君自身。それを受けて行動するかしないか、それを決めたのも浩二君自身。私はきっかけのきっかけを与えただけなんだし、感謝なんて必要ないよ」


 なんて、柔らかく優し気な声音で、ひかりはそう言った。

 それを聞いて、思った。


(なぜ普段はアレなんだろう……)


 と。


 すごくいいことを言ってるはずだし、これがシスコンでなければ、きっとガチ恋していたに違いない、そう思えるほどに、今のシスコンの声音や言葉はすごくいいものだった。


 だが、だがしかし……相手はシスコンである!


 不良が雨の日に捨てられた子犬に傘をさして色々言いながらも拾っていく姿を見て、好感度が上昇するように、シスコンもまたそれと同様の現象が発生しているのだ!


 まあ、何が言いたいかと言えば……


「というわけで、私に感謝をするのならば、みたまちゃんをすころう! いやすこれ。みたま教徒ならば、当然だよなぁ!?」


 いいことを言っても全てをぶち壊し、無に帰すのがシスコンである、ということだ。


『さすがシスコンッ……! 色々と全部が台無し過ぎるッ……!』

「フハハハハハ! この私の真面目な時間など、限りなく短い! そんなことよりも、みたまちゃん! みたまちゃんの話題ぞ! さぁ、みたまちゃんの話をしようぜ☆」

『いやあの、これあなたのおしゃべりコーナーですよね!?』

「え? 何を言うんだい。私のおしゃべりコーナーというのは、みたまちゃんの話をするための、みたま教徒のたまり場と言うべき場所ですが?」

『うわぁっ……うわぁぁぁぁっ……!』


 さっきまでの感動を返して欲しい、男性ファンはそう思った。


「あ、みたま教徒なら私のミニゲームはプレイ済だよねぇ? 当然、邪神をクリアできたよねぇ?」

『すんません! ビギナーすらクリアできてないです!』

「――ほほう? それはそれは……じゃあ、ここから残り時間は補習授業といこうか! なぁに、心配はいらないよ! 残り数分で、邪神がクリアできるくらいの、立派なみたま教徒にしてあげよう!」

『イヤァァァァ!? そんな必要はない! 必要はないんです!? あれ? なんで出れないの!?』

「あ、私とのおしゃべりコーナーは、10分経たないと扉が開かないようになってるからね☆」

『何その無駄に無駄な技術!? 誰かぁぁ! 誰か助けてェェェェ! シスコンがっ、シスコンが補習授業をしようとしてくるぅぅぅぅぅ!?』

「はーい☆ じゃあ、一名様せんの――んんっ! 補習授業にごあんなーい☆」

『今洗脳って言いかけた!? 怖い! 怖いよこの人ぉ!? い、イヤァァァァァァァァァァァァ!?』


 防音になっているため、悲鳴は聞こえなかったが……何かがぶつかるような振動は聞こえたとのこと。

 そうして、個室から出てくると、まるで悟りを開いたかのような穏やかな笑みを浮かべて、真っ直ぐと例のミニゲームに直行し、邪神をクリアする程度にはなったとか。

 尚、この後のファンたちも山田浩二のようなことになった、とだけ言っておこう。


 洗脳、ダメ、ゼッタイ。

 普通に言い話で終われるわけがないんだよなぁ……。

 個人的に、この作品で一番動かしやすいのは、シスコンとロリコンだと思ってます。理由はまあ……自重する必要がないキャラだからね。

 さぁ! 残るは、ロリコンと核弾頭ちゃん! どっちが来るのかなぁ!?

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― 新着の感想 ―
なんか腐のものが出てきそうな名前があったな 田...Y!AJU&Uみたいな
もう世界一危険でヤバいオカルト宗教だろ…
なんで姉が出ると必ずと言っていいほど 狂気がでてくんの??あ、邪神だからか、、、 なんか当然でしょぐらいの言葉で メンシ有無とコメ、マロ覚えてんの怖い しれっとたつな様の会話聞いてて草www でもさぁ…
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