イベント1日目#おしゃべりコーナー:6 はつきの場合:上
ロールプレイガチ勢と何やら謎の合法ロリとの会話をしたリリスから一旦離れ……
「おはつきおはつきぃ! 元気系クソ猫の猫夜はつきだぞ!」
今度は、騒音系クソ猫のはつきへ。
『お、おおぅ、初手で本当にうるせぇ……』
「あっはっはー! そりゃはつきだもの! やったね! 君が最初の被害者だぞ!」
『喜んでいいのかわからねぇっす……!』
「ふふふー、はつきの騒音は喜ぶべき! はつきの騒音が聞けて、嬉しいでしょ? ね!?」
『あ、うん、そっすね』
最初からはつきのテンションはMAXであった。
はつきにとって、らいばーほーむは自分が好きだった事務所であり、推しがいた事務所でもあったために、応募して入った場所だ。
当たって砕けろ! の精神で合格しており、受かった当時はそれはもう床を転げまわり、エクソシストのような動きをし、合格通知を10度見くらいして、ベッドに頭から突っ込むことでようやく落ち着いたわけで。
そんな事務所に入って最初の大きなリアルイベントにより、はつきのテンションがMAXになっているというわけである。
「さてさて! おしゃべりコーナーだよおしゃべり! まあ、三期生に応募してるってことは、やっぱり、みたまちゃん推しとか? それとも、いるかさん? あ、ふゆりさんって線もあるよね! でも残念ッ! はつきでしたーーーーっ! ごめんねェェ!」
『あ、いや、普通にはつきっち推しなので』
「え、マジ?」
『マジっす』
「お、おおぅ、照れるぞ」
実ははつき、三期生として活動をしている中、
『あれ? はつきって一番個性が薄い……?』
とか思っている。
何せ、自分の同期と言えば、歩く萌の核爆弾こと神薙みたまだったり、個性としてはベターなのにベター飲範疇を超えたロリコンの変態である雪ふゆり、女版山〇宏一とか言われている上に、無駄にクリエイターとしての技術を持つ深海いるか、などなど、配信者としての能力値がクソ高い人物たちに囲まれているわけで。
それ故か、はつきは割とその辺の自己肯定感は低めだ。
むしろ、
『え、はつきが最推しのファンとかいるの?』
とか思っちゃう人である。
だがしかし、別に悲嘆しているわけではない。
そもそも、はつきは某太陽神を崇拝しているので、基本的にはポジティブなのだ。
まあ、見てくれている人がいることが一番の幸せだよね!
というのが、基本的な考えだ。
そもそもの話、最初の個別配信で、クソゲー七英雄の内、三英雄を倒す配信とかしてた時点で、個性が薄いもへったくれもないが。
「でも、え、マジ? はつきが推しなのかぁ……うん! クッソ嬉しいぞ!」
『正直、めっちゃ緊張してます。ってか、まさかおしゃべりコーナーのチケットを当てるだけじゃなくて、普通に推しが当たるとは思ってなかったもんで……』
「うんうん、だろうね! このイベント、死ぬほど確率低かったみたいだし! 正直、ロ〇カスを倒す方がまだ確率あるよね」
『たしかに』
「でも、はつきのどこがいいんで? こう言っちゃなんだけど、クソゲーやってる騒音猫だよ?」
『叫び芸ですかね』
「予想の斜め上な回答が飛んで来たぞ!」
はつき的には、まあ面白いから、が無難かなーとか思っていたら、まさかの叫び芸であった。
『正直、クソゲーで容赦なく地獄に叩き落されて叫ぶシーンとか、クッソ愉悦っすよね』
「性格悪いぞ!? まあ、はつきも逆の立場だったらそうするけど!」
『人のこと言えないっすね!』
「まあね! ほら、やっぱり人は苦行を自ら進んでやってこそだと思うし? だからこそ、はつきはクソゲーをやるわけでね!」
にっこにこ且つクッソテンション高くそんなことを言うはつきである。
それでいいのか。
『そんなはつきっちの叫び芸は騒友界隈じゃ、人気コンテンツですけどね! 切り抜きがやたら再生されるの、あれですし』
「マジで!? はつき、知らないんだけど!?」
『初期の頃にやったプニキのゲームでの叫び芸は未だに人気っすね』
「なんてこったい。まあ、でも、人を笑わせられてるのならばよしだぞ! むしろ、それこそが目的! もっとやって!」
『さすが三期生の芸人……!』
「はつき、芸人とか言われてたんだ」
『他は、ロリコン、核兵器、人力変声機ですかね』
「あれ、やっぱりはつき薄くない?」
『騒音猫って時点で濃いっす』
「たしかに」
実際問題、周りが濃すぎるだけで、はつきも十分濃い、というのがらいばーほーむファンの認識である。
あくまでらいばーほーむ内で薄いだけであって、外のライバーと比べたら普通に濃いよね、みたいな。
そもそも、らいばーほーむ内で比べること自体が無粋なのだ。
「しっかし、初手からここまで言われるとは、はつきは幸せ者だねぇ! うんうん! っていうか、叫び芸が人気なのか……VTuberなのにそれでいいのかな?」
『いいんじゃないっすかね。俺、プニキの時の叫び芸、着信音にしてます』
「命知らずだぜ!」
まさかの男性ファンの暴露に、はつきは笑いながらそう言った。
それでいいのか。
「でもそれって、職場とか大丈夫なの? 絶対うるさいぞ、それ」
『あ、いえ、俺普通の配信者なんで、そう言うのは大丈夫っす』
「へ~~、配信者……え、配信者!?」
『はい。といっても、数万程度ですけどね! らいばーほーむのみなさんには負けるってもんすよ!』
「普通に数万でもすごいと思うぞ! ちなみに、何の動画を?」
『よくある企画なんすけど、基本的にはゲーム主体っすね!』
「ふむふむ! それでそれで?」
『虚無ゲーをプレイして、その中に登場した食べ物だけでルーレットで出た日数分生活するっていうありきたりな企画で遊んでるっす』
もしもここにたつながいたら、間違いなく、
『ありきたりという言葉を辞書で引いてみてほしい』
とか言っている。
「え、なにその面白そうな企画!?」
が、そこはクソゲーをプレイすることに謎の喜びを見出している騒音猫である。
ツッコミどころか、むしろものっそい食いついた。
『やってみると案外面白いっすよ! こう、まともな食べ物が出るか出ないかのドキドキ感が。こっちは生活かかってんだぜ! みたいな、生きるか死ぬかの緊張感が得られて』
「ほほう! やっぱり苦行?」
『超苦行! 一時、一週間大トロ生活とか言う、金銭的にも健康的にも大変キツイ物を引当てたことがあるっす! めっちゃ苦行!』
「それはきついねぇ! いいねいいね! はつきもそう言う企画やってみたいぞ!」
『全然やってくれていいっすよ! むしろ、はつきっちがどんな苦行をやるのか気になるし! こう、クソゲーでやれば絶対面白いと思うんで!』
はつきがやってみたいと言ったら、男性ファンはノリノリで勧めて来た。
パクリなんか気にしねぇ! むしろ面白そう! というだけで、楽しもうとするファンである。
「マジで? そうなると、色々やりたくなるねぇ……ん! じゃあ、ありがたく使わせてもらうぞ!」
『やったぜ! これで、はつきっちの苦しむ姿が見れる!』
「本人の前でそれを言える度胸、なかなかできることじゃないぞ! うん、楽しみにしててほしいぞ!」
『地獄を期待してるっす!』
「ふふふ、このはつき、地獄への片道切符を楽しむぞ!」
『地獄は確定なんすね』
「そりゃもう! クソゲーに出る食材は絶対におかしいはず! つまり、はつきが地獄を見るってもんだぜ!」
『おぉっ!』
「よし! 一日目が終わったら、よさげなクソゲー探して早速やるぞ! 楽しみ!」
明らかに頭のおかしい会話ではあったものの、まあ、らいばーほーむなので、で済む二人であった。
そこからははつきが最推しなファンや、そうではなくともやたら楽しそうにしてくれたファンなどとおしゃべりをして……
『こんにちは! 川端優美でーす!』
「んぐふっ!」
やって来た次の相手の顔と名前を知ると、はつきは噴き出した。
『あれあれ? どったのー? はつきちゃん?』
「あ、い、いや、何でもないぞ! あ、あははは!」
だって、そこにいたのは、自身が通う大学の同級生で親友の川端優美本人だったからである。
「あ、あー、じゃあ、優美ちゃんだね! うん、よろしくだぞ!」
『よろしくでーす!』
と挨拶をしたはいいものの、はつきはどうすればいいか困惑していた!
というか、まさか親友が来るとは思っていなかったし、そもそも当たっているとは思わなかったのだ。
(あ、いや、そう言えば……チケット当たったー! とか言ってた気が……)
しかし、軽く記憶を掘り起こしてみると、たしかに長期休みに入る直前に、当たったことを喜んでいたことを思いだした。
(お、おおぅ、まさかのミラクル……まあでも、親友とはいえ、ファンはファン! 全力で楽しませなければ!)
『あ、そだ、はつきちゃんに訊いてみたいことがあったんだよね! いいかなー?』
「もちろんだぞ! 何でも聞いて!」
早速、何か来た! 楽しませなければ!
そう思ったはつきだったが……
『それじゃあ聞くけどー……はつきちゃんって、実は私の親友の寧々だったりしない?』
「……ホア!?」
出鼻を挫かれた!
というか、初手でとんでもないキラーパスがぶん投げられる!
「え、あ、そ、そそ、そんなことはないと、思うぞぉ⤴」
『あ、その誤魔化し方は間違いない! やっぱり!』
あからさまに怪しい誤魔化しをしたはつきに、優美はにぱっと楽しそうに笑う。
「ち、違うぞ違うぞ!? はつきはそんな名前じゃないぞ!」
『うんうん、慌て方も同じで安心! やー、実は前々からそうなんじゃないかなー、って思ってたんだよねー』
「おおぅ……聞いてないぞ……」
『そりゃー、大学では聞けないしねー。で、本人?』
「優美ちゃん、こういうのは、気付いても言わない物だぞ……」
『おー、やっぱり寧々だー』
「くっ、殺せっ……!」
『なんで女騎士? しかも、普通に上手くて笑う』
「いるかさんに教わった」
『そう言えば、前に配信で習ってたっけねー』
「そうだぞ! いるかさんの人力ボイスチェンジャー講座は面白い!」
『なかなか聞かない講座名で草が生えそう』
完全に隠すのを諦めたようで、はつきは大学での接し方をした。
色々とアウトな気もするが……まあ。うん。
『ってゆーか、普通に私と普段通りに話しちゃってるけど、誤魔化さなくていいん?』
「いやまあ、別にいっかなって! ほら、親バレってわけじゃないし!」
さっきまでのしなしな顔が嘘のように、いつもの天真爛漫な笑顔に戻るはつきである。
切り替えが早い。
『さすがのポジティブシンキング!』
「まあほら、みたまちゃんとか親バレした上に、娘バレしてるからね!」
『あれと比較は無理がある気がすんよー?』
「それはそう!」
『いやでもそっかー。はつきちゃんが、寧々ねぇ……うん! 納得ぅ!』
うんうん、と頷く優美に、はつきが疑問を投げかける。
「けど優美ちゃん、いつはつきがはつきだって気付いたの?」
『前に、大学でぐでーっとしてた時? ほら、新しくスマホを契約した! とか言った時!』
「え、あの時!?」
『うんー、あの時。元々、はつきちゃんの声、あ、っぽいなー、とか思ってたし? あの時確信したよね』
「優美ちゃんは探偵……!?」
『おっ、じゃー、大学卒業したらなっちゃおっかな!』
「案外なれそうだぞ! だって、優美ちゃん変な所で頭の回転が速いし、紛失物とかすぐ見つけちゃうし!」
『まあね! ほら、私だしー』
「うーん、納得だぞ!」
「『あっはっは!』」
二人揃って声を上げて笑う。
完全にノリがライバーとファンではなく、友人同士になってしまっているが……気にしたら負けである。
「ともあれ、この場にいるのは大学の親友じゃなくて、一VTuberと、そのファンなので! そう言う話をしよう!」
『それもそだね! んじゃねー!』
と、はつきが軌道修正を行い、二人は楽しそうに会話をするのだった。
ようやく三期生! しかも、三期生のトップバッターがはつきと言うね。
ちょっと投げやりになった感が否めませんが……許して☆
それから、さすがに連続で個別話を書いてると、私が疲れ――んんっ! 読者の皆様も飽きてしまうと思われますので、次回はちょっとイベント内の閑話でも挟みます! まあ、閑話って名前は付けないけど。
かといって裏話ってわけでもないし……んー、まあ、その時に考える!
なので、一旦前半戦の前半戦を終えて、一話挟んだら、次のおしゃべりコーナーに行くよ!
……というか、後半戦の方々、ヤバいのしか固まって無くない?




