イベント1日目#2 最悪過ぎるミニゲーム(笑)
初手即死トラップと言う、らいばーほーむ側からの罠により、大量の死者が出た物の、三人は普段からその手のことに慣れていたので、会場内へ足を踏み入れた。
入ってすぐ出迎えたのは、例の即死トラップだったが、それを抜きにした場合だと、各らいばーほーむメンバーのパネルと、それぞれのイメージカラーを模したアーチである。
そこから少し進むと、今度は等身大の天空ひかりの像的な何かとロリコンの像がお出迎え。
明らかに悪意しか感じないし、よく見ると、何か間に火花が散っているようにも見えなくもない。
最初がこの二人なのもどうかと思うが、中はかなりすごい。
見渡す限り、らいばーほーむの展示物やミニゲームコーナーが設置。
まだ開店してはいないが、物販所も設置されている。
「お~~! すっご~~い!」
「去年は配信で見ていた程度だったが……実際に生で見るとなると、壮観だな」
「……」
会場内に入るなり、三人はそれぞれの反応を見せた。
麗奈は目を輝かせながら、どこか子供っぽいはしゃぎ方を見せ、星歌は配信と生との比較をして感嘆の声を漏らしていたが……柊だけは、遠い目をしながら黙っていた。
内心としては、
(これ、来年から俺も参加するの……?)
とか思っている。
らいばーほーむに引きずり込まれてしまった哀れな羊なので、そこはもう諦めるしかないだろう。
というか、愛菜にはそう言われている。
「どこから行く!?」
「そうだな……ん、どうやら物販の整理券が配布されてるらしいし、先にそれを取りに行くか」
「そうですね。早めの方が、いいグッズが手に入りそうですし」
「うんうん! じゃあ決まり!」
というわけで、三人の最初の目的地は物販の整理券入手に決まり、早速移動開始。
道中、様々な展示物に多くのファンたちが思い思いに写真を撮っている光景が見られたり、熱くらいばーほーむについて語り合ってる人たちもいたりして、会場内は大賑わい。
まだおしゃべりコーナー自体は始まらないと言うのに、この熱量。
らいばーほーむの人気は伊達ではないと言うことを三人を思い知る。
「物販の整理券はこちらでーす!」
「ここだな。並ぶか」
「はい!」
「あー、俺は……いや、記念に何か買って行くか」
「そうだよ高宮君! 折角イベントに参加してるんだし、買わなきゃ損損!」
「その通りだぞ、高宮。どうせ、お前もある程度の小遣いは持って来てるんだろ?」
「まあ、そうですね。2万くらいは……」
「あたしもそれくらい! でも、買いたいものがいっぱいあるから、迷っちゃうよねぇ~」
「そうだな。私も思わず目移りしそうだが……まあ、溜まってる貯金もあるし、出来ることならコンプはしたいな」
「おー! 星歌さんやる気いっぱい!」
「そりゃあな。あまり大きな声では言えないが、教え子もいることだし」
星歌としては、イベントもそうだが物販についてもかなり楽しみにしていた。
特に、どこかのシスコンのグッズを。
それ以外であれば、どこかの殺戮兵器な教え子のグッズも手に入れようとしている。
どちらも大事な教え子なので、少しでも収入の足しになればと思っているのだ。
「お待たせしました! 整理券のご希望ですね?」
「そうです!」
「では、こちらのQRコードを読み込んでください! 読み込めましたら、番号が表示されます。整理番号ごとで受付時間が異なりますので、お気を付けください。予め通知をオンにしておきますと、10分前に通知がされますので、楽しむ、もしくは尊死で余裕がない、と言う方はそちらをおすすめします!」
明らかにVTuberイベントで聞かないような単語が混じったが、そこは普段から周囲に萌えを振りまき、殺戮の限りを行うTSロリ巨乳美少女と親交がある三人である、スルーした。
尚、柊だけはものすごくツッコみたそうにしていたが……ぐっとこらえた。
なぜか、色々と身バレが早くなりそうだったからである。
そもそも、ここはイベント会場で、当然らいばーほーむの配信を見ている者たちしかいないと言える。
そんな中で、ツッコミを入れまくってる姿を見られ、そして声を覚えられたりでもしたら、間違いなく、デビュー後に身バレするのは目に見えている。
故に、柊はツッコミを入れたくとも入れないのだッッ!!
尚、普段からツッコミ担当みたいなもんなので、デビューしたらしたで、クラスメートからは秒でバレるだろうということについては、柊は特に考えてなかった。
椎菜のことを抜けてると評する柊だが、柊も抜けているのである。
「お、200番台か。まずまずだな」
「早く買えるといいですねぇ」
「そうだな。それじゃあ、会場内を見て回るか」
「はーい!」
「あ、はい」
整理券を入手したので、会場内を見て回ることに。
現在三人がいるのは西館だ。
東館には、おしゃべりコーナーのエリアや、一日目のライブ用のステージも設置されていたり、あとは物販の準備が行われている。
もちろんそれだけではなく、簡単なミニゲームも設置されているし、中には顔出しパネルなんかもある。
では、反対に西館には何があるかと言えば、フードコートやら、らいばーほーむの各期でわかれた展示物や、ミニゲームコーナーである。
ステージやイベントがない間は、西館の方が人が多くなりそうだと予想されている。
というわけなので、早速とばかりに適当なミニゲームに参加してみようと言うことになったのだが……。
「こんにちはー! 三名様ですね! はい! 不審者撃退ゲームへようこそ!」
明らかにVTuberのイベントで聞くことのないゲームの名前が飛び出し、同時に目の前のゲームに対してもツッコミどころが満載であった。
ちなみに、現在三人の目の前にある不審者撃退ゲームがどういうものかと言うと……。
「それではルール説明です! 皆様は現在、それはもう可愛らしい幼女の姿です。そして、目の前の画面にはどこかの建物が映っているかと思います! こちらの建物から、変態が増殖して出て来ますので、お手元のハンドガンで容赦なくトリガーハッピーして、得点を稼ぐというものとなります!」
(つ、ツッコミたいッ……!)
「ちなみにですが、稀にみたまちゃんが出て来ることもありますが、仮にみたまちゃんを撃ってしまうと……こわ~~~~い邪神が現れますので、絶対に当たらないようにしてください! それから、変態ごとに得点が決まっております。口端から涎が垂れている変態が10ポイント。鼻血を流している変態が30ポイント。鼻血を流しつつ口端から血を流している変態が50ポイント。鼻血を噴き出し、口から滝のような血を流しつつ、恍惚とした表情の変態が100ポイントとなります! 尚、みたまちゃんを撃ちますと、マイナス1000ポイントになる上に、10秒間得点が半減しますので、ご注意を!」
これ、VTuberのイベントだよね? と柊は思ったし、さすがの麗奈と星歌も思った。
というか、変態と言う単語が出過ぎじゃないか? とも思う。
がしかし、なぜかこのミニゲームは人気らしく、結構な行列が出来ている。
こんな明らかヤバそうなのが人気な辺り、らいばーほーむの世紀末っぷりが伺える。
「それと、一定のポイントに到達しますと、ちょっとした景品がもらえますので、頑張ってくださいね! では、早速始めていきましょう! カウントダウン行きまーす! 3、2、1……スタートです!」
『『『うえへへぇぇ~~! 可愛い幼女がいっぱいですよぉ~~~!!!』』』
カウントダウンが終わると同時に、普通におっとり系の綺麗な女性の声なのに、色々と台無しな声と共に、変態達が建物から現れた!
「色々と最悪過ぎるッッッ……!」
さすがに柊はツッコんだ!
普通の箱でこんなことをしようものなら一発炎上物なのに、普段が普段なだけに炎上しそうにないのが本当に酷い!
ついでに言えば、実はこのゲーム、無駄に子供人気が高い!
なぜって? 親が楽しそうに遊ぶからだ!
尚、とあるご家族の一幕がこれ。
『いい!? 世の中にはこんな度し難いおかしな人がいるの! 遠慮しないでハチの巣にしてやりなさい!』
『はーい!』
『変態死すべし! あぁっ! なんと言う快感っ!』
『ママたのしー?』
『超楽しいィィィ!』
『じゃあわたしもー!』
と言う感じである。
お父さんはともかく、お母さんからの殺意がすごかったりする。
特に、娘を持ってるご家庭は特に。
まあ、らいばーほーむで子供に見せられない配信者で断トツ一位を取り続けてるので……お察しである。
尚、ふゆり自体はたまにやるお悩み相談コーナー的な物をする時は結構真面目なので、そこは認められている。
「うわわっ! たくさんのふゆりさんが!?」
「これは酷い……だが、結構楽しいな!」
「これを、相手にするのか……だが、ある意味楽しいのが悔しい……!」
三者三葉の反応を見せたが、共通しているのは楽しいと言う感情である。
変態を撃ち殺すと言うゲームなのだが、無駄に楽しかった。
何せ倒れる時の変態が、
『あんばぶふっ!』
とエキセントリックバク転(高速)で倒れるからである。
見てて謎に爽快感があるのが腹立つし、無駄に面白いのも腹立つ、とは某常識人の談。
と、次々に現れる変態を撃ちまくっていると……
『~~~♪』
突然変態達の隙間にどこかのお狐ロリが出現!
突然の出来事だったので、麗奈がやらかしてしまう!
バンッ!
『ふぇぇぇ~~~!?』
「「「あ」」」
『ふぇぇ~~~んっ!』
『――みたまちゃんを撃ったのは……ドコノドイツダァァァァァァァァァァァァ!?』
『『『こっわ!?』』』
みたまが撃たれた瞬間、迸る殺意と限界まで見開かれ、血走りまくった目、そして修羅のごとき表情のひかりが現れ一瞬で画面にドアップで表示!
結果、参加していた三人だけでなく、それを見ていた他の客たちからも怖いとの声が上がる!
地味に、ルール説明をしていたスタッフも怖がった。
ヤバすぎるシスコンである。
「下手なホラゲーよりホラゲーしてるんだが、あの人……」
「いやぁ、さすがだよねぇ……」
「……現実でもああなるんだよな……」
例の邪神とは知り合いなので、三人は何とも言えない気持ちになった。
それから失った得点をなんとか戻し、そこからプラスに転じさせたところで……
「しゅーーりょーーー! お疲れ様でした! 三人の特典は2090点! おめでとうございます! 条件達成! ではでは、こちらの景品をどうぞ!」
どうやら景品を受けるためのボーダーラインは超えていたようだ。
テンションが高いスタッフから手渡されたのは……
「お、おー……」
「これはまた……」
「最悪過ぎる……」
変態(100点)のイラストがプリントされた小さなストラップであった。
これが景品とかいろんな意味で暴れ過ぎだろう、らいばーほーむ。
柊はそう思ったそうな……。
ちなみに、最高得点は5000点らしい。
その点を出したのは……どこかの常識人だった、とだけ言っておこう。
これがVTuberのイベントでやるミニゲームか……?
ちなみにですが、いつ常識人が参加したかと言えば、三人が整理券配布の順番待ちをしている時です。
もちろん、どこかの常識人は表では人気モデルをしているので、ちゃんと変装していました。ですが、あまりにもトリガーハッピーしてたので、周囲の人たちからは生暖かい視線が向けられ、ミニゲームが終わった後はそれはもう、晴れやかな顔だったそうです。
尚、シスコンが出てきた際には、全力で撃ち続けていました。恨み、籠り過ぎィ……!
あと、変態からはちゃんと許可を得て作っております。




