#116 部門発表と、閉会式
『えー、はい。というわけで、仮装リレーが死者を大量に出して終了となりましたので、ここで各部門に選ばれた生徒を発表しまーす!』
『『『Yeahhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!』』』
仮装リレーが終わったものの、各部門の発表があるため着替えずにそのままトラック内で待機していると、どうやら発表が始まるようでした。
発表する瞬間になったら、周囲から歓声が上がる。
『はい、いいですねいいですねぇ! では、早速発表しましょうか! えー、では、なんかもう見え見えな可愛い部門と総合部門は後回しにしましょう。正直、わかり切ってますし』
『『『そりゃなぁ……』』』
「ふぇ?」
放送委員の人がなぜか後回しにすると言うと、僕に視線が集中しました。
どういうことだろう?
『はい、ではまずはカッコいい部門! …………おや! これはまた……えー、カッコいい部門は、三年四組の、リオ〇ウスですね!』
「マジか! ヤッタァァァァ!」
あ、あの赤いドラゴンさん!
たしかに、カッコいいよね!
『えー、はい、それでは理由をお願いしても?』
『いやなんか、クオリティー高かったし、何よりドラゴンはカッコいいからね』
『大変素晴らしい出来だったかと。ヤマタノオロ……こほんっ、過去に見たどの化生よりも大変カッコいい姿でしたね』
『た、タイムアタック、したくなり、ましたっ……あと、し、尻尾は切りたい、ですっ……!』
『とのことでしたねー。なんかまともなのが最初の城ケ崎さんくらいなのが大変面白いです。あと、今時化生って言わないかと思いますが、まあいいでしょう! 人それぞれ! 語彙があると言うことで! では、続いてユニーク部門! ユニーク部門に選ばれたのはぁ……二年五組のお遊戯会の木の着ぐるみです! おめでとうございまーーーーす!』
『『『そりゃそうだろっ!!!』』』
ユニーク部門に選ばれたのは、ある意味一番目立っていたかもしれない、あの木の着ぐるみを着ていた人でした。
たしかに、あれはすっごくユニークだよね!
『では、審査員の方が、感想をどうぞ』
『正直、あれはもう発想の勝利だと思う。真剣な表情なのに、姿のせいで思わず笑ってしまったからね。あと、無駄に足が速かったのも大変良かったかなと』
『木の精のようなものかと存じますが、良き想像力でした。素晴らしいです』
『じ、地味なのに、目立つのは、すごい、ことだと思いますっ……!』
『はい、ありがとうございましたー。あと、あれは木の精ではなく、ただのハリボテだと思いますねー。さて、続いてクオリティー部門! クオリティー部門に選ばれたのは……二年五組のシ〇ア専用ザ〇です! おめでとうございまーーーーす!』
「マジかよ! あれでいいの!?」
たしかに、あれってすっごくクオリティーが高かった気がします。
細かい所もすごく作り込まれてたもんね。
二年五組の人ってそう言うのが好きな人が多いのかな?
『では、審査員の方々、感想をどうぞ』
『正直、リオ〇ウスとどちらにするか迷ったんだが、まあクオリティーという面ではトップレベルだったからね。あと、地味にモビ〇スーツみたいな走り方をしていたのがすごくよかった』
『あのような絡繰りがあるのは大変興味深いです。それから、真っ赤な所が大変良かったです』
『ザ〇、いいです、よねっ……!』
『はい、ありがとうございましたー。ちなみに、今時絡繰りという人も珍しいですねぇ。まあそれはいいとして……さてさて! 続いて可愛い部門! いやもう、なんかわかりきってますが……では、発表します! 可愛い部門に選ばれたのは…………二年一組のケモロリ暗殺者でーす! おめでとうございまーーーーーす! そして、ですよねぇ!』
「ふぇ!? 僕!?」
「まあ、そりゃそうだろうなぁ……」
「むしろ、選ばれないわけがないよね」
「だなー」
まさかの僕が選ばれちゃいました。
で、でも、僕よりも可愛い人だっている気が……。
『では、感想をどうぞ』
『可愛い』
『大変愛らしかったです』
『す、すごく、か、可愛いですぅっ……!』
『もはや語彙が溶けております。致し方なし! では最後! 総合部門の発表です! 総合部門に選ばれたのは………………やっぱり、二年一組のケモロリ暗殺者でーーす! いやもう、むしろ予想外でも何でもないし、誰が予想しても当たる簡単なものでしたねぇ! ともあれ、おめでとうございまーーーーーーーす!』
「ふぇぇぇ!?」
そ、総合部門も僕なの!?
で、でも、僕以上にすごい人はいっぱいいると思うよ!? そ、それに、そんなに予想しやすいの……?
「だろうな」
「だろうねぇ」
「そりゃそうだろうな!」
「どうしてぇ!?」
『まあ、感想を聞くまでもないですが……ちなみに決め手は?』
『可愛かったから』
『愛くるしかったからです』
『可愛かったから、ですぅ』
『はい、お手本みたいなテンプレ台詞、ありがとうございました! ではでは! 以上を持ちまして、仮装リレーは終了となります! 参加した選手のみなさんは、そのままコスプレをしたままでもよし! 元の姿に戻るもよしです! あ、下校前にはちゃんと着替えてくださいね! ではでは、この後は最後の種目、クラス対抗リレーとなりますので、最後まで頑張ってくださいねーーー!』
僕がなぜか総合部門に選ばれて終わりました。
◇
仮装リレーを終えてクラスに戻ると、みんなに祝福されました。
あと、そのまま応援してほしい! って言われたのでそのままに……。
それからクラス対抗リレーになったけど、僕たちのクラスが一位になりました。
クラス対抗リレーが終われば、閉会式に。
一応このままでもいいとのことだったので、結局この姿のまま閉会式には出ることになっちゃいました。
……なぜか、クラスのみんなに泣きつかれちゃったので。
でも、僕自身もいいかな……? とは思ったので、そのまま参加。
『それでは、姫月学園体育祭、閉会式を始めます! お前ら、心の準備はいいかーー!?』
『『『Yeahhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!!』』』
『はい、いい返事ですね! ですが、時間帯的に近所迷惑になっちゃうかもしれないので、ほどほどにぃ! はい、ではでは、まずは順位発表と行きましょう! いやぁ、今年はすごかったですねぇ! 何がとは言いませんが、死傷率が!』
どうして、体育祭で死傷率って言う言葉が出てくるんだろう……。
『はい、みなさんもさっさと帰って血液の補充をしたいと思いますので、はい第三位! 第三位はぁ……二年五組ィ! はい、おめでとうございまーーーす!』
「よっしゃぁぁぁあ!」
「一位じゃないけど、メッチャ嬉しい!」
「頑張ったっ……俺たちは頑張ったっ……貧血になりつつも、頑張ったぞっ……!」
あ、二年五組が三位なんだ。
そう言えば、結構活躍してたっけ。
仮装リレーとかすごかったもんね。
『いやぁ、二年五組はねぇ、コスプレのクオリティーがバカ高かったですね。ユニーク部門とクオリティー部門の二つを取りましたからね! あれがきっかけでで、三位に上がりましたね! いやぁ、素晴らしい! では、続いて第二位の発表と行きましょうか! 第二位は…………三年一組でーーーす! おめでとうございまーーーーす!』
「よしっ! よーーーしっ!」
「生きてるって素晴らしい……」
「何度死にそうになったことか……」
「まあ、大変幸福でしたが」
「最後の体育祭は面白かったなぁ……」
三年生さんが二位。
最後だからか、すごく喜ぶ声が聞こえるけど……なんだろう、変なセリフも聞こえるような……?
『いやぁ、三年生の面目躍如といったところでしょう! 学園生活最後の体育祭でしたからね! ではではでは! 第一位の発表と行きましょう! 第一位は………………二年一組でーーーす! おめでとうございまーーーーーーーーーーーーす!!』
「よっしゃぁぁぁあ!」
「いやぁ、限界を超えて頑張った甲斐があったぜ!」
「椎菜ちゃんのおかげだね!」
「さっすが桜木!」
「ふぇ!? なんで僕!?」
僕、何もしてないよぉ!?
『いやぁ、本当にすごかったですよね、二年一組。というか、競技外からの暗殺で一体どれほどの選手が倒れ、吐血し、鼻血を流したことか。いやもう、面白かったです! ちなみに、どこかのロリっ娘さんが原因で、本日の学食ではレバニラ定食が大量に出たそうです。かなりの量を仕入れたと言っていましたが、見事に完売したとか』
「マジかよ」
「まあ、あれはやばかったからなぁ……」
「何しても可愛いはずるいんよ……」
「っていうか、近くで聞いたけど、マジでみたまちゃんそっくりな声だったからなぁ……」
「本人って言われた方がまだ納得できる気がする」
……すみません、本人です、僕。
絶対に言わないけど……。
『まあ、何はともあれ、二年一組のみなさん、おめでとうございまーーーす!』
パチパチパチパチ、と拍手が鳴り響く。
やっぱり一位なのはすごく嬉しいなぁ。
『はい、というわけで順位発表は終わり! この後は賞状とトロフィーの授与に行きますが……えー、二年五組、三年一組、二年一組の誰でもいいので、代表者は前に来てくださーい』
「まあ、うちは桜木でいいだろ」
「なんで!?」
「椎菜ちゃんがいなかったら一位なんて取れなかったからねぇ」
「むしろ当然では?」
「いやいやいや!? 高木君でもいいんじゃないかなぁ!?」
「俺は桜木でいいぜ! 譲る!」
「えぇぇぇ!?」
結局、僕は代表者として前に出ることになっちゃいました……。
うぅ、学園祭の時もこうなったなぁ……。
『はい、出揃いましたねー。では、早速授与していきましょうか!』
すごく見られていることに気恥ずかしさを覚えつつ、もじもじとしていると僕の番になってしまいました。
「はい、では二年一組! あなたのクラスは、歩く殺人兵器的応援や、ロリ×3による大変素晴らしい応援により、死傷率200%を叩きだした挙句、学園祭に続き、大量のキルスコアを稼ぎました! 最終的には、(堂々と)暗殺を行い、見事にその可愛さで血の華を咲かせました! よってここにこれを賞します! はい、おめでとうございまーーーす!」
『『『ぶふぅぅぅ!』』』
「なんか色々と違くないですかぁ!?」
すっごく物騒なことしか書かれてないよ!? 絶対に体育祭の賞状に書かれる内容じゃないよぉ!
あと、すっごく笑いが出てるよ!? 噴き出す人がいっぱいいるよ!?
あと、死傷率200%って何!?
「あ、こちらトロフィーです。持ってってください」
「あ、ハイ」
僕はトロフィーを受けとってから、クラスの方へ戻りました。
◇
それからは学園長先生のお話を聞いて、閉会式が終わり、同時に今年の体育祭も幕を下ろしました。
すごく楽しかったけど……なんだろう、いろんな意味で疲れました……。
体育祭が終わった後は、待っててくれたお母さんやお父さん、それからお姉ちゃんに、みまちゃんとみおちゃんと一緒に帰って、夜ご飯はお寿司屋さんでいっぱいお寿司を食べて、お家に帰りました。
えんがわ、美味しかったです!
やっと体育祭が終わったぁ! 最後はすっごい駆け足気味だったけど!
それと、少しだけ補足。柊の元ネタがわからん! と言っている方が結構いたのですが、柊の着ていた者は、作中世界のラノベ作品の主人公なので、元ネタはないです。というか、高木以外の三名は元ネタないしね。
あと、そのラノベ作品を書いたのは、どっかのツンデレの友人だとか。
さらに余談で、今回の体育祭で実況をしていた方は、将来実況者として引っ張りだこになります。そう言う職に就いたんでしょうね。
以上!
あ、次回は多分閑話です。シスコンと先生が飲みに行く話!
それと、ここから先、ちょっとだけ時間の進みが早くなる……かも? 四期生、早く出したいねん……。




