97.S級冒険者対策
第6章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
観客席は息を呑み、誰も言葉を発せなかった。
リングの上には、光と氷が交錯した跡と、静寂だけが残っている。
――大会前のこと。
「霊力を扱うにはどうすればいいか…」
俺はレオンを倒すため、光の上位精霊【レナ】を呼び出し、相談していた。
「ま、一番典型的なのはアタシを呼び出して、霊法を使うことね~。でも、【霊力】と【魔力】と【気】を混ぜるなんてとんでもないこと考えるわね~」
俺は考えた。【魔導気】のさらに上を目指すには、霊力を組み合わせる必要がある。
「けどね? 霊力と組み合わせたところで強くなる保証はないわよ? どうしてかって言うと誰もやったことがないからね~」
三つの力を組み合わせる者はいなかった。
未知の探求――それが俺の挑戦だった。
「うーん。そうだね。何度もやってみたんだけど全然できなくて」
レナを呼ぶ前、【霊力】、【魔力】、【気】の合成を何度も試みた。
しかし力は消えたり、暴走したり、失敗ばかりだった。
「それならアタシと融合するのってどう?」
「融合?」
レナの提案は、術者と精霊を融合させることで、精霊の特性や霊力を自由に使えるようになるというもの。
「とは言っても~熟練の霊力使いじゃないと無理だけどね~」
「…それでも試してみるよ!」
「オッケー! じゃ、アタシの霊力を感じながら自分の霊力を、精霊に近づけるように擦り合わせてみて?」
俺は言われるままに霊力を引き出す。
身体が光り出し、周囲の空気も微かに震え、光の粒子が舞い上がる。
レナの霊力に近づけるには、光属性の霊力を彼女と同じレベルまで引き上げる必要がある。
「そうそう! そんな感じ! じゃぁアタシはウェルに突っ込むからよろしく〜」
突っ込むって何!?と思ったが、レナは構わず俺の胸に飛び込み、身体に溶け込むように融合した。
ゴオオオオオオ…
「うぉ!?」
眩い光が全身を包み、圧倒される。
「ちょっとちょっと!! なんで一発で出来てんのよ!?」
頭の中にレナのギャル風の声が響く。
「あれ? レナの声が聞こえる? 融合したから?」
レナの姿は見えないが、テレパシーのように声だけが鮮明に伝わる。
「一発で精霊と融合できるなんて凄い才能ね~! さっすがアタシの認めたご主人様だわ!」
精霊と融合するには通常、相当の訓練が必要だ。
しかし俺のラーニング能力により、霊力の量が未熟でも扱いはベテランレベルになる。
「あとはこのまま【魔力】と【気】を混ぜることね!」
俺は試しに光魔法を使ってみた。
「光魔法【ライト】」
ピカーーーーーーーーーーーーーーー!!!
小さな電球を想定していた光が、まるで小さな太陽のように周囲を照らす。
「おわわわわ!!! ちょっと光らせるだけだったのに!!」
光の霊力と魔力が組み合わさり、威力が倍増している。
「なるほど、それなら俺の意図で霊力を引き出すことなく【魔導気】を使うことで自然と霊力が混ざるということか!」
試しに【魔導気】を発動する。
「【魔導気】制限時間10秒!」
レナの融合と【魔導気】の組み合わせで、凄まじい力が身体中を駆け巡る。
しかし同時に、魔力、気、霊力がどんどん消費されていくのを感じる。
10秒後、【魔導気】が解除され、俺は倒れ込む。
消費量は想像以上で、立つのもやっとだった。
「まだ三つの力のバランスに無駄があるから、そこを上手くすればもう少し長く保てるわよ~」
「うん。大会までに練習が必要だね」
付け焼き刃だが、対レオン戦に間に合わせるため、かなり練習した。
そして現在――
シュン!
斬られたレオンさんは闘技場の外に飛ばされる。
魔力と体力は消耗しているが無傷だ。
「か…勝った」
それを確認して力尽きた俺も倒れ込む。
シュン!
俺も闘技場の外に飛ばされる。
「うぉおおおおおおお!!!!」
あまりの衝撃に、会場は一瞬で熱狂の渦となった。
「しょ、勝者!! ウェル・ベルク!!!!! と、とんでもない戦いだ!!! わ、私、つい実況を忘れてしまいました!!」
やっと声を出す実況者ロム。
レオンさんと俺はそれぞれ仲間のもとへ戻っていく。
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