89.追放した冒険者の活躍
6章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
ユルゲンの圧勝だった。
観客席からはどよめきと歓声が巻き起こり、砂塵が舞い上がる。陽の光が戦場の床に斜めに差し込み、勝者の影を長く伸ばしていた。
「思ったより強いアルな」
テンちゃんは腕を組み、口の端をわずかに上げながら評価する。その声には感嘆と、ほんの少しの驚きが混じっていた。
「そんな軽い評価するなら次は俺に代わって貰うぜ」
剣士ビリーが、立ち上がりユルゲンに交代を申し出る。瞳の奥に燃える闘志は、まるで炎そのものだ。
「俺たちがどれほど強くなったか見せてやるよ!」
自信満々に宣言するビリー。ユルゲンの元へ駆け寄る足音が、緊張に満ちた闘技場の石床に硬く響く。
「おいおい、俺はまだまだやれるぞ!」
交代に不服そうなユルゲンは、唇を尖らせる。
「あいつらに今の俺たちの実力を見せてやらないとな!」
ドヤ顔で自信たっぷりのように見えるが実際は違う。
「ったく、意地になりやがって…。じゃ、次は任せるぞ」
ユルゲンは頭をかきながら苦笑し、ビリーに託した。
彼は知っている。ビリーが、俺たちに追いつこうと血の滲むような努力を続けてきたことを。
その背中に、仲間としての誇りと信頼を込めて。
ビリーが会場の中央に立つ。
「おうよ!」
短い言葉とともに、彼の瞳に決意の光が宿る。観客席からざわめきが広がる。
「おーーっと!!ここでユルゲンからビリーに交代だ!というわけでつぎの試合!!始め!!!」
実況者のロムが声を張り上げる。
その瞬間、場内の空気が再び張り詰め、緊張の糸がぴんと鳴った。
ビリーの相手はエルフ族の剣士。
長い銀髪をなびかせ、盾と剣を構える姿は絵画のように美しい。
細身の体からは想像できない鋭さが漂っていた。
対するビリーは剣一本。防具も軽装。まるで戦うために生まれた獣のように、足元を蹴った。
剣と剣がぶつかる音が響く。火花が散り、観客が息を飲む。
誰もが拮抗した攻防を予想したが――。
ズバーン!!!
「なんと!?!?盾ごと切ってしまった!?!?」
試合開始からわずか数秒。
エルフ族が盾で剣を受け流そうとした瞬間、ビリーの一閃が走った。
光が閃き、盾もろとも真っ二つ。観客席が一斉に立ち上がる。
致命傷を負ったエルフ族の体は光の粒となって空間の外へと飛ばされる。
この競技場では敗者は外へ転送され、命までは奪われない。
だが、敗北の痛みは確かに残る。
「強い!!強い強い強い強い強い強すぎる!!これがルミネスゲートなのか!?!?なんて強さだ!!!」
実況者のロムが絶叫し、観客が総立ちになった。
去年の成績はゴッドウッドが2位、ルミネスゲートは4位。
その差を一瞬で覆すかのような一撃だった。
前回の大会ではビリーが大将を務めたが敗北。
だが今は違う。彼はB級からA級冒険者へと昇格し、力も精神も段違いに成長している。
B級のエルフ族では、もはや相手にならない。
その後、ユルゲンに交代し、副将戦まで全勝。
会場の熱気は最高潮に達していた。
しかし――。
「ユルゲン敗北!!! やはり大将は強い! A級冒険者アイグノールは伊達じゃないぞ!」
実況の声が響く。
ユルゲンの体が光に包まれ、外へと弾き出された。
炎剣の使い手【ゴッドウッド】最後の一人――A級冒険者アイグノール。
彼の放つ炎の剣技【火炎流】は、触れたものを全て焼き切る。
ビリーは何回か戦ったことがあるが、一度も勝ったことはない。
「す、すまねぇ」
外に追い出されたユルゲンが、悔しそうに拳を握りしめて戻ってきた。
「気にするな…仇は俺が取ってやる」
A級に昇格したばかりのビリーにとっては格上の冒険者。
しかし、あっさり負ける訳には行かない!
ビリーは会場に立ち、試合が開始される。
そして、炎の斬撃と鋭く力強い斬撃が激しくぶつかり合う。
轟音とともに火花が四方に飛び散る。
観客は息を飲み、誰一人として瞬きすらできない。
「うぉぉぉぉおおおおお!!!!」
歓声が爆発した。
ロムが興奮のあまり声を張り上げる。
「なんという激しい戦いだ!!これが一試合目とは思えない!!去年4位のルミネスゲートと去年2位のウッドゴッドの戦いが、まさかこれほどのものとなるとは!?」
戦場の中央で、ビリーとアイグノールが剣を交えたまま睨み合う。
剣先がぶつかり合い、火花が散るたび、両者の呼吸が荒くなっていく。
「あのボンボンがここまで強くなるとはな!」
アイグノールはビリーを見据え、目を細めた。
かつてのビリーは没落貴族の息子。やりたい放題の問題児だった。
だが、今は違う。
「俺だって…。いつまでも弱いままじゃいられねぇんだ!」
父と和解し、過去を乗り越えたビリーの剣は、決意の重みを帯びていた。
それは子供の頃の約束を果たすため。
もう逃げない、もう負けない。
その想いが剣に宿る。
一方、ギルドマスターの部屋では――。
「あいつはもう変わった。心も実力も一流冒険者になったんだ」
ルミネスゲートのギルドマスター・ゲルドが静かに呟く。
「まぁ、顔つきは前よりマシになったしのう」
隣で紅茶を飲むエリスお嬢様も、遠回しにビリーのことを認めている。
「いつでも変われる。いつでもやり直せる。それが人間だ」
ゲルドの言葉には重みがあった。
幾多の冒険と失敗を乗り越えてきた者だからこそ言える真理。
そして再び、戦場。
「はぁ…はぁ…」
ビリーは限界寸前だった。
額から汗が滴り、土と混じって頬を伝う。
アイグノールも息を荒げながらも、まだ余裕を見せていた。
「ここまで食らいついて来るとは思わなかった! 敬意を評し、火炎流奥義で引導を渡してやろう!」
アイグノールの剣が唸りを上げる。
炎が噴き出し、人の背丈を超える火柱が天井を焦がした。
「望むところだこのやろう!!!」
ビリーの瞳が闘志で燃え上がる。
全身の筋肉が軋み、空気が震えるほどの殺気を放つ。
ズガーン!!!!!
剣と剣がぶつかり合った瞬間、爆発が起きた。
閃光が走り、炎と煙が闘技場を覆う。
「凄い爆発だ!!勝ったのはどっちだ!?!?!?」
観客が身を乗り出す。
煙が晴れると、そこには――。
「こ…これは!!どちらも倒れている!!!!!」
ビリーもアイグノールも、地に伏していた。
爆発の直前、ビリーは刺し違える覚悟で最後の一撃を放っていたのだ。
そして、二人の身体が光に包まれ、ゆっくりと空間の外へ転送されていく。
ゴッドウッドの対戦者はいなくなった。
つまり、
「勝者!!!! ルミネスゲート!!!!!」
ロムの声が響き渡った。
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