87.ギルドバトル開催!
第6章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
マイホームの屋敷がリフォームされてから、ウェルたちはのんびり過ごしたり、大会に備えて体を鍛えたりして、一週間が経った。
そして――ついにその日が訪れる。
冒険者武道会【ギルドバトル】が、今、幕を開けようとしていた。
王都ブルガンリルムの東にある巨大な闘技場。
円形に並ぶ観客席は朝早くから満員で、まるで地鳴りのような歓声が空気を震わせている。
空には王国の紋章が描かれた旗が風に揺れ、太陽の光が白い石畳に反射してまぶしく輝いた。
【ギルドバトル】とは、ブルガンリルム王国の各冒険者ギルドの精鋭たちが一堂に会し、名誉と誇りを懸けて戦う合同演習である。
今年、参加するギルドは全部で八つ。
優勝すれば、そのギルドには依頼が殺到し、名声は王国中に轟く。
個人の実力を示せば指名依頼も急増、冒険者としての格も一気に跳ね上がる。
ゆえに、どのギルドも本気。会場には闘志の熱が満ちていた。
毎年の覇者は、城下町に本部を構える最強ギルド【ブレイブハート】。
だが、今年のルールは例年と異なる。
シンプルな5対5の勝ち抜き戦。
相手の五人を倒せば勝利――力だけが物を言う、真正面からの殴り合い。
今年のテーマは近接戦。剣士や格闘家たちが主役だ。
ウェルたちが所属する【ルミネスゲート】からは、次の五人が選ばれていた。
元おっさんで今は美少年犬族の【ウェル・ベルク】。
元公爵家令嬢で聖女の【リーズ・アクィルス】。
異国シンの武道家【リン・テンテン】。
かつてウェルを追放した剣士【ビリー】。
そしてスキンヘッドの拳闘士【ユルゲン】。
なお、元悪役令嬢でありヒーラーのエリス・グランベルは、治癒要員として観客席から彼らを見守る立場となる。
【ルミネスゲート】は毎年4位。
だが、ギルドマスターのゲルドは宣言した。
――「今年こそ、王国最強【ブレイブハート】を倒す」と。
そうでなくてもルミネスゲートのメンバーは、全員A級冒険者なので、周りのギルドも注目を集めている。
観客の視線が一点に集まる中、闘技場の中央に設けられた特設ステージに、実況の声が響き渡る。
「さぁーーー!!! やって参りました! 屈強な冒険者たちが!!
集い!! 戦い!! 高め合う!!! そんな最高のお祭り!! 冒険者武道会【ギルドバトル】!!
実況はわたくし、スペルア王国コロシアムでもお馴染みの【ロム】が努めさせていただきます!!」
ロムの声に呼応するように、闘技場の観客席から割れんばかりの歓声が上がった。
熱気と興奮が風に乗り、まるで雷鳴のように空気を震わせる。
スペルア王国――かつて奴隷に殺し合いをさせていた闘技場の国。
今では多種族が集い、技と誇りを競う平和の象徴となっていた。
「今回もブルガンリルム王国で名を馳せる八つのギルドが集結!! それでは入場とともに紹介していこう!!」
魔法で動く五人乗りの魔導車が次々と入場ゲートから現れる。
会場の光を反射して車体がきらめき、オープンカーの屋根から各ギルドの代表が姿を見せる。
「まずはこちら!! 守りとなれば最強!! 防御の天才たちが集う鉄壁のギルド――【アイアーーーーンタートル】!!
去年は3位!! 今年こそ頂点を狙う!!」
その瞬間、魔導車の上で一人の冒険者が立ち上がり叫ぶ。
「誰がノロマの亀だとーー!?!?」
「いや、言ってねぇよ!」
隣の仲間が即座にツッコミを入れる。
会場が笑いに包まれ、観客席から拍手が湧き起こった。
「あれが3位か……」
俺は呆れたように呟く。
ボケとツッコミが第一声のギルドに、去年負けたのかと思うと複雑な気分だった。
「続いて入場してきたのは!! 麗しき褐色美女たち!! 強く美しく戦う紅の女戦士集団!!
紅一点ギルド【ブラックーーーーアマゾネス】!!」
オープンカーの上で、リーダー格の女が腰に手を当てて高らかに叫ぶ。
「あたしたちの強さと美しさにひれ伏しな!」
眩しいほどの笑顔、露出の多いビキニアーマー。
鍛えられた体が陽光に照らされ、観客の歓声が一段と大きくなる。
(悪くない!!!!!!!!)
俺は心の中で拳を握った。
「そしてそして! こちらは真逆!! むさ苦しさと汗の香りが渦巻く野性のギルド!! ムダ毛の数だけ強くなる!? 前回ビリからの逆襲なるか!!
【ワイルドーーーダディーーーー!!!】」
魔導車の上で全員が手を重ね、雄叫びを上げる。
「せーの!!!」
「【ワイルドーーーー!!!!! ダディーーーーー!!!!】」
その姿はまるで山賊の集団。
筋肉、髭、獣皮――むさ苦しさ全開だ。
「おっさん同士安心する」
俺はボソッと言った。
「続いては!! 全身黒フードに包まれた謎の黒魔導士集団!!
その不気味さの裏に隠された素顔は……実は全員イケメン!?
【アトモスーーーロード!!!】」
だが、アトモスロードの一行は無言。
フードの奥に見えるのは、ただ光のない瞳だけだった。
「なんかラプラスみたいだなぁ」
俺は小さく呟く。
「続いて登場するのは!! 可愛いわんちゃん――ではない!! 誇り高き犬族だけで構成されたギルド!!
その嗅覚と爪が獲物を逃さない!!
【バスターーーーーウルフ】!!」
「ワォーーーーーーーーン!!!!」
犬族たちの遠吠えが響き渡る。
闘技場の空気が一気に熱を帯び、観客が興奮に沸いた。
「ウェルの仲間がいるアル!」
「……」
テンテンの無邪気な声に、俺は返す言葉を失う。
自分は犬族の姿をしているだけの異世界転生者――同族とは少し違うのだ。
「そして!! 自然界の申し子!! 美しき【エルフ族】だけで構成されたギルド!!
魔法の精度は人族を遥かに凌駕する!! 去年は惜しくも2位!! 今年こそ頂点へ!!
【ゴッドーーーーーーーウッドーーーー】!!!」
登場した瞬間、風魔法が舞い、花びらが空いっぱいに散る。
観客席からはため息混じりの歓声が上がった。
「優勝? もちろんさ」
金髪碧眼のイケメンエルフがウインクすると、女性観客の悲鳴が上がる。
(イケメンと美女ばかりだなぁ……巨乳エルフ良き)
俺は思わず心の中で拝んだ。
「お待たせしました!!! ついに登場!! 王国最大、最強のギルド!! 栄光の常勝軍団!!
【ブレイブーーーーハート】!!!!」
会場のボルテージは最高潮に達した。
魔導車の上で手を振る金髪の青年――S級冒険者レオンの姿に、観客席の女性たちが歓声を上げる。
「きゃあああああああああぁぁぁ!!! レオン様ーーーー!!!!!!」
「俺も女の子にキャーキャー言われたい」
俺のぼやきに、テンテンが「諦めるアル」と肩をすくめた。
「そしてそして!! 光の扉という意味を持つギルド!! その名とは裏腹に、荒くれ者揃い!!
だが今回は可愛い男女が参戦!? 新人ながら実力未知数!!
【ルミネスーーーーーーゲート】!!!」
「うぇーーーーーーーい!!!!!」
紹介が終わると観客の方から、ルミネスゲートの冒険者たちが声を上げる。
「うぇーいやめろ!!」
俺がツッコミを入れる。せっかくの実力者集団なのに、第一印象が台無しだ。
こうして――【ギルドバトル】の幕が上がった。
しかし、この祭りの裏で、誰も知らない【影】が動き出していた。
その気配に気づく者は、まだ一人もいなかった。
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