86.ギャル精霊だって未練がある
第5章完結です!
次回は11/6から更新します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
俺はヴィヴィアンさんとの話を終えると、夕暮れに染まる王都の通りを抜け、エリスお嬢様たちが滞在している宿屋へと向かった。
そして宿屋に戻ると、仲間たちの前で【レナ】を呼び出した。
「と、言うわけでアタシがキャリー改め【レナ】よ〜! よろしくね〜!」
ひときわ明るい声が部屋に響いた。
レナは可愛らしい顔でウィンクを決め、さらにてへぺろポーズ。頭の上で手を振って可愛さを倍増させる。
まるで光が弾けたようなその登場に、部屋の空気が一瞬で和らいだ。
俺のときとまったく同じポーズだ!!
「よろしくアル! なんだかこっちの方がやりやすくて好きネ!」
テンちゃんは第一印象からキャラが変わっても動じない。むしろ、レナのテンションに合わせて笑っている。
「わたくしこそよろしくですわ!」
リーズは丁寧に頭を下げ、微笑む。
「妾こそよろしくなのじゃ!」
エリスお嬢様も穏やかに頷いた。
最初こそ驚いたものの、一度仲間と認めた者ならば、どんな姿でも信じる――皆のそんな気持ちが伝わってくる。
「さらにさらに! 国王陛下からリフォームや掃除の代行業者を手配してくれるぞ!」
俺が勢いよく宣言する。
10年もの間放置されていた屋敷――埃と蜘蛛の巣が支配する廃墟のような場所が、ようやく息を吹き返すのだ。
時は少し遡る。
ヴィヴィアンとレナの再会が終わったあと。
「うん、わかった! よろしく、レナ! あと、ヴィヴィアンさん…1つお願いが」
「ふぉっふぉっふぉ! なんじゃ?」
俺は王の執務室にて、屋敷の掃除と風呂のリフォームをお願いした。
「ふぉっふぉっふぉ! それならワシが手配しよう!」
「え! いいんですか?」
「ワシの弟子の屋敷を手入れして、不都合なものがあるものか!」
国王としてではなく、一人の魔導士として。
愛弟子への最後の贈り物――そんな想いが込められていた。
「もちろんお代はちゃんといただくがのう」
「は、はい」
……そこは抜かりない。
「明後日には仕上がっておるから、楽しみにするんじゃぞ!」
――そして現在。
俺はそのことを仲間たちに伝えた。
「明後日にはピッカピカの屋敷に住めるアルか!」
「楽しみですわ!」
希望に満ちた声が宿の一室に響く。
窓から差し込む光が皆の表情を照らし、長い旅路の疲れを一瞬だけ忘れさせた。
「そういえば今。レナの話を聞いて疑問に思ったのじゃが、なぜレナの父は精霊になれなかったのじゃ? それとも成仏したのかのう?」
エリスお嬢様の問いに、場の空気が少しだけ引き締まる。
確かに――霊が精霊へと昇華するには、強い魔力と清らかな心、そして何より強い信念が必要だ。
レナは高い魔力を持ちながらも、どうやら“性格”のせいで昇格できなかったらしい。
「ん~パパは女遊びが凄かったからなぁ~」
全員の心の中で叫びが響いた。
(全然清らかじゃねぇえええええええええええええ!!!!!!!!!!)
レナの父――あの大魔導ヴィヴィアンさんの弟子であり、S級冒険者であり、貴族。
その全てを持ちながら、遊び人というギャップ。
「まぁ~マジメで魔力が高いからって精霊になれるわけじゃないし、そこまで未練がなかったから霊にもならなかったんじゃないかなぁ~?」
なるほど。やりたいことをすべてやり切ったというわけか。
「レナは未練があったアルか?」
テンちゃんの問いに、レナはふと遠くを見つめた。
「まぁ~アタシって若くて可愛いじゃん?」
いや自分で言うな!!!!!
……と、エリスお嬢様・リーズ・テンちゃんは同時に心でツッコんだ。
しかし俺だけは、心の中で激しく共感していた。
(わかる!!!!!!!!!!!!)
「これから将来もっとキレイになるし、美味しいものたくさん食べたいし…。大魔導と呼ばれるようになりたかったし、それに…アリストクラキーのことも…」
レナの声が少し震える。
妖精のような姿だが、年齢は人間でいえば十六ほどだろう。
若くして命を落とし、夢を残したまま消える――その無念さが滲んでいた。
彼女には愛する父がいて、魔法を教えてくれた日々があり、笑い声が絶えない家庭があったのだ。
……女遊びはさておき。
「…だから準精霊になったのかもね…」
その言葉に、俺の胸が強く締めつけられた。
まだ未来ある少女を殺し回る闇ギルド【ナハト】。
絶対に、許さない。
「怒っているのはウェルだけじゃないのじゃ」
エリスお嬢様が俺の肩に乗る。
「アタシも協力するアル!」
テンちゃんが手を力強く握った。
「わたくしだって許しませんわ!」
リーズも同じ気持ち。
「…そうだね…倒そう、闇ギルド【ナハト】を!」
敵は強大。
元S級冒険者であるレナの父をも殺した、影の組織。
しかし俺たちは、恐怖ではなく決意を抱いていた。
例え相手が格上でも、必ず勝利を信じて前に進む――。
その頃、夜の森の奥。
「…はぁ…はぁ…」
月明かりの差す木々の間を、一人の影がよろめくように進んでいた。
猫族の剣士――エリスのメイド、ココ。
闇ギルド【ナハト】の情報を探るため、単独で潜入していたが――
「…に…げ…」
血に染まった口元から、かすかな声が漏れる。
ドサッ――。
ココは冷たい地面に倒れ込んだ。
夜風が木々を揺らし、静寂の中に不穏な気配が忍び寄る。
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