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84.ショタワンコと美少女精霊が契約する

第5章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 瓦礫と冷気に満ちた屋敷の大広間に、淡い光が漂っている。


「私は精霊となり、この方と契約を結ぼうと思います」


 キャリーは静かにそう告げた。


 この方とは?

 俺は思わず辺りを見回した。

 しかし、皆の視線が一斉に俺へと向く。


「へ? 俺?」


「はい、そうです。私を救って下さり、大きな霊力を持つあなたと契約して役に立ちたいのです。これ以上、【ナハト】の蛮行を許す訳にはいきません!」


 空気が張り詰めた。

 闇ギルド【ナハト】——十年にわたり貴族令嬢を狙い続けてきた暗殺組織。

 エリスお嬢様もリーズも狙われた。


「ほんとに…俺でいいの?」


 俺は精霊と契約を結んだ経験など一度もない。

 だからこそ、胸の奥に不安が渦巻く。


「大丈夫です。あなたなら正しく扱えます」


 キャリーは迷いのない瞳で俺を見つめ、すっと手を差し伸べた。

 その指先は淡い光を帯び、まるで祈るように震えている。


「……わかった! これからもよろしく!」


 俺も右手を差し出し、彼女の手を握る。

 瞬間、白い光が爆ぜた。


 屋敷全体が振動し、砕けた窓ガラスの破片が宙に舞う。

 二人の身体が光に包まれ、重なるように一つの輪を描いた。


「我、この時より精霊となる。我が名は光の上位精霊【レナ】。主、ウェルと契約し、力となることを誓う」


 光は一気に強くなり、屋敷を照らす夜明けのように眩しかった。

 キャリーの姿がゆっくりと変化していく。

 柔らかな風と共に、白い羽衣のような粒子が舞い上がり、やがて一人の小さな光の存在が現れた。


 それが、光の上位精霊【レナ】だった。

 髪は青、瞳は黄金。透き通るほど繊細な身体に、妖精のような小さな羽が揺れている。

 そして、レナは微笑みながら小さな光の玉となり、俺の胸に吸い込まれていった。


「……改めてよろしく、レナ」


 胸の奥がじんわりと温かくなる。

 それはまるで、魂の奥に灯がともるような感覚だった。


 パァー!


 屋敷全体が淡く輝き出す。

 今まで充満していた怨念の黒い霧が、音もなく霧散していった。


「悪霊の力が浄化されていきますわ!」


 リーズが目を見開いて叫ぶ。

 外ではアンデッド系の魔物たちが光に包まれ、次々と灰となって崩れ落ちていった。


 バリーン!!!!


 屋敷を囲っていた暗黒の結界が破れ、外の月光が一気に差し込んだ。

 冷たかった空気が和らぎ、夜風が頬を撫でる。


「終わったアルな……」


 テンちゃんが息をつく。

 魔物の気配も消え、静寂が戻ってきた。


「つまり」


「マイホームをゲットだ!!!」


 俺は拳を突き上げた。

 国王陛下からの直々のAランククエスト、【屋敷に住む悪霊を除霊せよ】。

 その報酬は、この屋敷そのものだったのだ。


 だが、現実は甘くない。


「掃除どうしようか…」

「家具はどうするアル?」

「お風呂は使えませんこと?」

「問題はまだ山積みじゃな」


 十年放置された屋敷。

 蜘蛛の巣、ホコリ、壊れた家具、そして何より独特のカビ臭。

 外観こそ立派だが、中身は廃墟に近い。


「疲れたから今日のところは、いつもの宿屋に戻るアル」


 テンちゃんの一言に全員が頷いた。


「掃除やお風呂のリフォームはプロに頼んで、家具の調達はアイテムボックスを使えば持ち運びも楽だ」


 清掃業者と魔法、そして資金さえあれば、何とかなる。

 宿屋暮らしはあと二日ほどの辛抱だ。


「というわけで、まずクエスト達成の報告を国王陛下にしてくる。

 ついでに清掃の代行を頼める業者も聞いてみる」


 俺は仲間たちに告げ、屋敷を出た。


「また国王陛下に頼むとは…」

「ほんとに図太いですわね」


 背後でエリスとリーズの苦笑が聞こえたが、気にせず歩き続ける。


 俺にとって国王陛下は、ただの王ではない。

 冒険者時代の先輩であり、恩人でもある。


 国王陛下は常に言っていた。

 「困ったことがあったら、いつでも相談に来なさい」と。




 そして俺は謁見の許可を得て、王城の広間へと足を踏み入れた。


「陛下、この度はクエストを頂き、ありがとうございました。

 そして無事達成しましたので、その報告に参りました」


 ひざまずき、頭を下げる。


「ふぉっふぉっふぉっ! そんなにかしこまらなくても良いぞ!」


「はっ!」


 顔を上げると、豪奢な椅子に腰掛けた老王——いや、大魔導ヴィヴィアン・ブルガンリルムが満足げに笑っていた。

 彼こそブルガンリルム王国の現王であり、かつてはS+2ランクの冒険者だった男。


「……国王陛下、いえ、大魔導【ヴィヴィアン・ブルガンリルム】さん。

 実は子爵の令嬢のこと、知っててこのクエストを俺に渡しましたね?」


「ふぉっふぉっふぉ! 実はそうなのじゃ。【アリストクラキー】のことも知っておったぞ!」


 俺は言葉を失う。やはり、この人はすべてを分かった上で俺たちに託していたのだ。


「しかし、それならヴィヴィアンさんが直接行くこともできたのでは?

 十年も時間があり、魔力も桁違いなのに……」


 大魔導ならエビルスピリットにおくれを取るはずがない。

 しかも10年も時間があればいくら国王の仕事が、忙しくても時間は作れたはず。

 なのに、なぜ今まで放置していたのか…。


 俺はその疑問をヴィヴィアンさんにぶつけてみた。


「ふぉっふぉっふぉ! 確かに悪霊程度なら力で押し切れた。

 だがのう、それではキャリーもろとも消し飛ばしてしまうのじゃ。

 キャリーを救うには霊力が要る。ワシは霊力がからっきしでのう……この十年、強き霊力を持つ者を待っておったのじゃ」


 確かに…俺は霊力を使ってエビルスピリットを倒した。

 仮にリーズと俺がいなかったら、エビルスピリットもキャリーも倒さなければならなかっただろう。

 さらに、ヴィヴィアンさんはリーズの強すぎる霊力では、キャリーごと浄化すると判断したようだ。


「ワシは約束した。必ずキャリーを救うと。そして、彼女の想いを継ぐ者たちに会わせると……」


 国王の瞳が静かに揺れる。

 その奥には、懐かしさと悔しさが同居していた。


「そうなんですか…。実はヴィヴィアンさんに会わせたい人がいまして」


「ほ? 誰じゃ?」


「召喚! レナ!!」


 俺は右手を掲げ、契約した精霊の名を呼んだ。

 すると、まばゆい光と共に空気が震えた。


 ヴィヴィアンさんをキャリーに会わせようと思い、精霊を召喚した俺だったが。


「チィーーーーーッス!!」


 登場したのは、超ハイテンションでミニスカ姿の妖精サイズ美少女。

 光の上位精霊とは思えないほどラフな口調で、俺の肩にふわりと乗る。


「………誰!?!?!?!?!?!?」

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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