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79.聖女の全力を受け止める

第5章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 マイホーム購入に向けた、ちょっとした“家族会議”が始まった。


「家を建てるか、既にある家をリフォームするか」


 ギルドバトルに向けてのトレーニングもある。だからこそ、できれば手早く済ませたい。


「何もそんなに焦らなくても良いではないか?」


 エリスお嬢様が、紅茶を優雅に口へ運びながら言う。

 確かに、ギルドバトルが終わってからでも家は建てられる。焦る必要はない──理屈では。


「わたくしはすぐにでもお風呂に入りたいですわ!」


 リーズにとって、水で身体を洗うのはもう限界らしい。


「アタシはどっちでもいいアル。ただ……お風呂には興味あるネ」


 テンテンは腕を組みながら、どこか楽しげに笑う。


「多数決的に言えば……ギルドバトルの前に家を買うってことになるな!」


 俺は手を上げた。

 こうして、マイホーム購入はギルドバトル前に決定した。


「しかし、土地はどうするのじゃ? それに数日で家など建てられんぞ?」


 エリスお嬢様が扇子で口元を隠しながら、首をかしげる。

 確かに、普通なら数日で家を建てるなんて無理だ。


「なので、家を購入してリフォームしよう!」


 俺は勢いよく答えた。


「ところでリフォームって何アルか?」


 テンテンが不思議そうに首を傾げる。


 リフォーム。

 この世界では聞き慣れない言葉だ。


 俺は椅子から身を乗り出して説明した。


「リフォームってのは、傷んだ家を修復したり、部屋の形を変えたりすることだ。つまり、古い家を新しく作り直すんだよ」


「……なるほどネ!」


 テンテンは納得したように頷いた。


「ウェルって意外と物知りなのですわね!」


 リーズが感心したように微笑む。


 ……意外と!? まぁいい。話を続けよう。


「実はブルガンリルム王国の国王陛下に、空き家でいい物件がないか聞いておいたんだ!」


 エリスとテンテンの目が一瞬で見開かれた。


「ウェルって肝が据わってるというか……図々しいというか、そういうところアルね!」


 テンテンが笑いながら言う。図々しいは余計だ!


「そして、こんな形で引き受けたんだ!」


 俺はテーブルに紙をバンッと置いた。紙の端がわずかに震え、静まり返る部屋にその音が響く。


 そこには、王家の封蝋が押された冒険者クエストの証書があった。


「国王陛下直々のAランククエスト!【屋敷に住む悪霊を除霊せよ!】──報酬は、その【屋敷の譲渡】! しかも風呂付きだ!」


「なんと!」


 三人の声が重なった。


 マイホーム購入ではなく、クエスト達成で屋敷が手に入る。

 リフォーム費用はそれなりにかかるが、これで土地と家の問題は解決だ。


「ここはわたくし、聖女の出番ですわ! 霊力を存分に使いましょう!」


 リーズが胸に手を当てて微笑む。


 俺はにやりと笑った。


「もちろん、そのつもりだった」


「妾とテンテンはリーズのサポートが良いじゃろうな。リーズとウェルを筆頭にした方が効率が良さそうじゃ」


 エリスお嬢様が冷静に分析する。


「面白そうアルな! 悪霊とやらと戦ってみたいアル! ……あれ? ウェルも先頭アルか?」


 テンテンが首をかしげる。


 すると、エリスお嬢様がにやりと笑い──


「リーズ、ウェルに霊力を食らわすのじゃ。できるだけ本気でな!」


「え……?」


「まさか……」


「あ……察したアル……」


 俺とテンテンは同時に悟った。


「リーズ! 外に出るから、俺に全力でぶつかってきてほしい!」


「わ、わかりましたわ!」


「よし! それじゃあ外に出よう! 空間魔法【エクストラテレポート】!」


 しゅん、と空気がねじれる音とともに、俺とリーズはその場から消えた。


「……ウェルがまたチートになるアル……」


「ウェルはもっと強くなりたいと言っておった。使用人の願いを叶えるのも主の務めじゃ」


 エリスとテンテンが肩をすくめる。



──────────



 俺とリーズは草原の上に二人が立っていた。風が頬を撫で、遠くで鳥が鳴いている。


「ここなら誰もいない! 全力の霊力を俺に打ってくれ!」


「では全力で……」


 リーズは息を整え、静かに瞳を閉じる。淡い光が彼女の身体を包み込み、長い緑髪がふわりと舞い上がった。


「霊力のみの攻撃は久しぶりですわ! わたくしが呼べる最高位の精霊をお見舞いしますわ!」


 普段は『魔霊力』という魔力と霊力を組み合わせたオリジナルのスキルを扱うリーズ。


「霊力のみを使わないのは『あまり精度がよろしくない』と言ったの覚えていらっしゃいます?

 これは『弱すぎる』という意味ではなく『加減ができない』という意味ですわ!」


「へ? そうなの?」


 初耳なんだけど!?


 聖女として活動するに当たってあまりにも強い回復を与えると中毒になってしまう。なので、精霊と魔法の組み合わせがメインだ。

 しかし、攻撃に転じれば加減の必要がないとのこと。



「上位精霊、召喚──【アレクディア】!」


 眩い光の渦が空を裂き、そこから翼を持つ機械兵の巨体が出現した。銀と白の鎧が光を反射し、まるで神話の守護天使のように降臨する。


「おぉっ! す、すごい……!」


「わたくしも戦闘に参加できますこと、ここで証明してみせますわ!」


 天から降り注ぐ光。風が逆巻き、砂塵が舞い上がる。


 リーズが杖を掲げると、空に三つの巨大な魔法陣が展開された。


「行きますわよ! 【ホーリーレスフリー】!!」


 空が裂けるような光柱が降り注ぐ。大地が震え、熱風が頬を焼いた。


「【魔導気】最大出力ッ!!!」


 俺は気と魔力を融合させ、体を包み込む。蒼いオーラが瞬時に全身を駆け抜けた。


「うおおおおおおおッ!!!」


 ズドォォォォォン!!!!!!


 閃光と爆風が草原を吹き抜ける。

 土煙が空を覆い、視界が真っ白になる。


「ウェル!? 無事ですの!?!?」


 リーズの声が揺れる。だが、その中から俺の声が響いた。


「大丈夫だよ!」


 煙が晴れる。そこには、地面が大きく抉れた跡と──無傷で立つ俺の姿。


「なんとか受けきったよ!」


「す、凄いですわ……!」


 リーズが膝をつき、霊力の使いすぎで肩で息をする。




 一方、そのころ。


 光が消える頃、遠くの古びた屋敷で、不気味な声がこだましていた。


「……タスケテ……ハヤク……ダレカ……」




ラーニングにより習得


【霊力】【ホーリーレスフリー】

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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