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67.ブルガンリルム王国の国王

第4部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 負傷者を全員助けて安堵したのも束の間、地平線の向こうから土煙が上がり始めた。


 地鳴りのような振動が大地を揺らし、遠くで警鐘の音が鳴り響く。空の色が一瞬、灰色に染まり、冷たい風が吹き抜ける。


 どうやら、国に向かって無数の魔物が押し寄せているらしい。


「やれやれ……この周辺にも魔物の大群が出るのか……」


 俺は剣の柄を握りしめ、黒く渦巻く雲を睨んだ。


 国王陛下は、さきほどの戦いで五十人以上の兵士が負傷するほどの激戦に参加していたという。


 それでも一歩も退かず、負傷兵を全員城へ帰還させ、自らただ一人で戦場に残ったらしい。


 だが、この近辺でそれほどの魔物の群れなど見たことがない。いったい、どこでそんな戦いを……?


「魔物とはどこで戦っていたのですか?」


「ここから五十キロ先の山奥じゃよ。ワシの空間魔法【ゲートテレポート】で移動したのじゃ」


 空間魔法【ゲートテレポート】――。

 空間魔法【テレポート】の上位魔法に【エクストラテレポート】があり、そのさらに上位がこの【ゲートテレポート】。


 空間と空間を直接つなぎ、通路を作り出すことで、最大百キロ先まで移動できるという超高位の転移魔法だ。


 上級魔法を扱う国王……ただ者ではない。


「山奥にいる魔物がここまで来たようじゃな。募る話はあるが、今は魔物をなんとかしようかのう」


 国王の低い声に重みが宿る。


 その時、治療を受けていた兵士の一人が、息を切らしながら報告に駆け込んできた。


「現在、我が軍は城下街の冒険者ギルド【ブレイブハート】と共に死守しております! 戦場は門の外であります!」


 【ブレイブハート】――ブルガンリルム王国最大の冒険者ギルド。

 A級冒険者を多数抱え、その頂点にはS級冒険者が在籍しているという。


「ふぉっふぉっふぉ! 流石じゃのう! どれどれ……ワシは戦場の中心へ行こうか」


 国王陛下が詠唱の構えを取った、その瞬間。


「俺もお願いします! きっと力になれます!」


「アタシも行くアル!」


 声を上げたのは俺とテンちゃん。【ルミネスゲート】の最大戦力の二人だ。


「二人の頑張り見ていたらウズウズしてきたアル! ひと暴れしたいネ!」


「俺もだよ、テンちゃん」


 エリスお嬢様とリーズの必死な戦いを見て、胸の奥が熱く滾っていた。


「ふぉっふぉっふぉ! これはありがたい! ではワシに掴まるが良い! 空間魔法【エクストラテレポート】!」


 えっ!?

 中級魔法を――無詠唱で!?


 俺とテンちゃんは国王陛下の袖を掴む。


 シュン!!!!


 一瞬で景色が変わった。重たい熱気と血の匂いが混ざる戦場。焼けた大地の向こうでは、黒煙が立ちのぼり、咆哮がこだまする。


「ふぉっふぉっふぉ! 中級魔法の無詠唱くらいは使えるわい!」


 軽く言ってのけるが、中級魔法を詠唱なしで使える者など、A級冒険者の中でもごくわずかだ。国王陛下――いったい何者なのか。


「ほれ、感心し取らんで来たからには働いてもらうぞ!」


 目の前には、危険度DからBランクまでの魔物がうじゃうじゃと蠢いていた。その数、およそ五十体。


「いくよ! テンちゃん!」


「やってやるアル!」


 俺とテンちゃんは息を合わせ、地を蹴った。


「ラーニング三つ同時発動!!! 【ファイヤブレス】【剛剣】【豪腕】――合成!【火炎獣剛剣】!!!」


「八極気功拳【超発勁】!!!」


 俺の【火炎獣剛剣】は、グリーンドラゴンの【ファイヤブレス】、ギルドマスター・ゲルドさんの【剛剣】、そしてオークロードの怪力を融合させた炎の斬撃。

 テンちゃんの【超発勁】は、体内に練り上げた“気”を一点に凝縮し、爆発的な力として放つ技。


 以前、危険度Sランクの魔物ヒュドラと戦った時よりも、互いの技は格段に研ぎ澄まされていた。


 ズドオオオオオオオオオオン!!!!


「グギャアアアアアアアアア!!!!」


 爆風とともに、五十体もの魔物が一撃で吹き飛ぶ。焦げた肉の匂いが風に乗って漂い、空気が焼けるように熱い。


「腕を上げたね、テンちゃん!」


「ウェルこそまた強くなったアルね!」


「エリスお嬢様を守るために、もっと強くならないといけないからね!」


 互いに笑い合いながら、俺たちは再び構えを取った。


「ふぉっふぉっふぉ! やりおるのう。ブルガンリルム王国の未来が楽しみじゃわい」


 国王陛下が嬉しそうに笑い、杖を掲げる。


 そこから先は、三人で奥へ進みながら魔物を蹴散らしていった。

 俺は魔法剣、テンちゃんは拳法、国王陛下は無詠唱の高位魔法。

 互いの動きを邪魔せず、自然に役割を分担している。


 いや……国王陛下が、俺たちに合わせてくれているのだ。


 指示も的確で、仲間の立ち位置や魔法の範囲まで完全に把握している。まるでベテラン冒険者のように。


「あ、あの! 国王陛下は……冒険者の経験があるんですか?」


「ふぉっふぉっふぉ! 引退してから随分経つがのう。まだまだ若い世代の力になれそうじゃ」


 やはり……。

 だからこれほど魔法や霊法、戦術に通じているのか。


「ふぉっふぉっふぉ! 聞きたいことはあとでたくさん話してやるから、今は魔物に集中するんじゃぞ。油断して命を落とす若い冒険者を、ワシは何人も見てきたからのう」


 どんなに強くても、肉体は刃物を通す。

 慢心ひとつで命を落とすのがこの世界。


 国王陛下の言葉が、まるで重たい鐘の音のように胸に響いた。

 俺とテンちゃんは再び気を引き締め、構えを取る。


 冒険者は、常に死と隣り合わせだ。


 ――ラーニングにより習得。

 空間魔法【エクストラテレポート】。

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