660.空の民の命運
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
――回想は終わり現在。
空が、真っ黒だった。
蒼は消え、雲は裂け、天穹そのものが闇に塗り潰されたかのように沈黙している。
ゴロ……ゴロゴロゴロ……!!
ドガァァァァン!!
黒い雷が、空の島の外縁へ突き刺さった。
闇のウェルとルシファー。
その衝突が、空の島を戦場へ変えていた。
雷に触れた雲は腐り、光は反転し、結界が、悲鳴を上げる。
空の島の中心街にて空の民が全員集まっていた。
そして、空の民の代表であり、リュシエルの父親は、空を見上げる。
「はーはっは!! とんでもないことになったな!!」
そして、隣に立つ女性。ヴァルグラムの妻であり、リュシエルの母が、静かに息を吸う。
「ほーほっほっほっほ!! このままでは、島が持ちませんわ!!!」
ゴゴゴ……!!
再び雷。
浮遊岩の一部が、音もなく闇に消え、空の民の悲鳴も聞こえる。
「ヴァルグラムさん! これからどうするんです!?」
一人の空の民が、ヴァルグラムに問いを投げかける。
ヴァルグラムは、問いかけにすぐ答えなかった。
ただ、空を――いや、闇を見据えたまま、ゆっくりと拳を握る。
その背中は、恐怖に震える民たちにとって、最後の支柱だった。
「……決まっている」
低く、だがよく通る声。
「空の民は――生き延びる!!」
ざわ、と空気が揺れた。
ヴァルグラムは振り返り、集まった全員を見渡す。
子供も、戦士も、老いた者も、誰一人、視線を逸らさせない。
「今、あの二人がぶつかっている場所は、この島の端っこだ。だが、このまま戦いが続けば余波だけで、島は砕ける」
ピカッ!!
また雷鳴。地面が軋み、誰かが膝をつく。
アエリオンが一歩前に出た。
「ですから――準備は、既に進めておりますわ」
彼女が手を掲げると、中心広場の石畳が淡く輝き始めた。
刻まれていたのは、古く、簡素で、しかし確かな術式。
転移魔法陣。
「行き先は、安全が確認された地上。ただし……戻ることはできません」
誰もが沈黙し理解した。
これは避難ではない。
空の島との別れだ。
「つまり…片道切符、というわけですわ!」
アエリオンは、あえて明るく言った。
だが、その目は誤魔化せていなかった。
視線が、自然とヴァルグラムへ集まる。
「はーはっはっは!! 難しい顔をするな!!」
しかし、彼は笑った。
「初めての地上で不安だろう。怖いだろう。だがな、生きてさえいれば明日を選べる。生きる選択肢を神に委ねるな!! 自分の翼で前へ進め!! 《それが空の民だ》!!!」
全員がその言葉に心を動かされた。
そして、転移魔法陣の移動が始まる。
「俺は娘を連れてくるからこの島を脱出するのは最後になるだろう」
アエリオンが隣に並ぶ。
「わたくしも残りますわ。夫と娘を残すほど、薄情ではありません。それに……上腕二頭筋は、まだ叫び足りませんもの!!」
ほんの一瞬、笑いが零れた。
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