654.堕天使の過去(5)
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
会議から、かなりの時間が経過し、今から数えるなら数千年前。
地上界では《白銀の悪魔》《ラプラス》《ラディソス》など歴史に名を残す重要な事件が続いたが、天界は、変わらず稼働している。
光の層は正確に重なり、輪は寸分の狂いもなく回転し、祈りの集積値も、祝福効率も、すべてが「正常値」の範囲内。
サラフェエルだけが、異物だった。
彼の周囲では、観測補助天使の配置が減らされ、情報接続の帯域が制限されている。あの日の会議から何度も《理解》を求めたのだ。
「……」
サラフェエルは、何も言わない。
言わず、ただ地上界を見ていた。
かつては数値として流れていた景色が、
今は、輪郭を持って見える。
泣く者。
怒る者。
祈る者。
無意味な行為を、無数に繰り返す存在。
――理解不能。
だが、理解しようとしなければならない。
その思考が、
天界にとってはすでに異常だった。
その時。
天界全域に、短い通知光が走る。
呼び出し。
発信源は――
裁定円環。
________________
「七大天使」
ガブリエルの声。
感情の揺らぎは、ない。
「我らによる、正式な審問を行う」
拒否権は、存在しない。
サラフェエルは、静かに翼を畳んだ。
裁定円環。
そこは、神の意思が最も濃縮される場所。
床は存在せず、
光と概念そのものが足場となっている。
すでに、六柱は揃っていた。
ラファエル――
ガブリエル――
ミカエル――
ウリエル――
イェグディエル――
バラキエル――
六つの視線が、同時に向けられる。
その中央へ。
サラフェエルは進み出た。
「審問の理由を提示する」
イェグディエルの眼が回転する。
「サラフェエル。お前は、観測対象――人間に対し、主観的意味付与を行った」
バラキエルが続ける。
「思考ログ確認。『意味』『理解』『祈り』非演算概念の使用、頻発。祝福体系に不要な変数」
ウリエルの声が、低く落ちる。
「放置すれば、天界判断に遅延と誤差を生む…危険だ」
その言葉に、
空間の温度が下がった。
ミカエルが、前に出る。
「弁明はあるか」
サラフェエルは、すぐに答えなかった。
そして――
逃げるような言葉も選ばなかった。
「ある」
静かな声。
「我々は、人間の魂を収穫する」
「だが、理解していない」
空間が、微かに軋む。
「理解は不要だ」
ミカエルが言い切る。
「神の意志は完全。我々は、それを執行するだけでいい」
サラフェエルは、ミカエルを見た。
真正面から。
「なら問う」
その声に、わずかな熱が宿る。
「お前は、なぜそれが《正しい》と分かる?」
沈黙。
天界は、答えを持っていない問いに弱い。
「神が、そう定めた」
ウリエルが言う。
「それ以上は、不要だ」
「それ以上を考えないことが、正しさなのか?」
その瞬間。
ミカエルの剣が、完全に顕現した。
裁定円環の光が、戦闘準備状態へ移行する。
「これ以上の発言は、看過できない」
剣先が、サラフェエルに向けられる。
だがサラフェエルは、退かなかった。
「理解を禁じる秩序なら」
静かに、しかしはっきりと。
「それは、壊れるべき秩序だ」
天界は、この瞬間をもって判断した。
説得は不可能。
修正が必要。
そして。
誰よりも早く動いたのは――
ミカエルだった。
キィン…!!
剣が、振り下ろされる。
――ドゴオオオオオオオオオオン!!
ここで戦いは始まった。
しかし、結果は見えていた。
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