630.己の闇と向き合う
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
——ドクン。
強い心臓の鼓動が、闇一面に反響する。
白い光が完全に消え、俺は再びあの漆黒の世界へと戻ってきていた。
冷たくも静謐な闇——しかし、先ほどまで感じていた圧迫感はもうない。
その中央に、かつてと同じ《もうひとりの俺》が立っていた。
影のように黒く、表情は鋭く、憎悪と絶望を凝縮した《闇のウェル》。
闇のウェルが、俺を見た瞬間——
目を見開いた。
「…なぜ……戻って来れた……?」
闇のウェルは一歩、後ずさる。
「なぜ、まだ心が壊れてない……!?」
その声音は、怒りでも嘲りでもない。
純粋な——動揺だった。
俺はゆっくりと歩み出る。
「……俺は、壊れないよ」
「嘘だ! あり得ない!」
闇のウェルは叫ぶ。
闇が波紋のように揺らぎ、世界そのものが震える。
「お前は弱い。脆い。優しさなんてただの欠陥だ。何度だって裏切られ、傷つき、捨てられて……心が折れるはずだった!」
俺はその言葉を黙って受け止め、目を伏せて小さく息を吐く。
「……確かに。俺は弱いし、怖がりだし、お前と違って全部抱え込んで溺れそうになってた」
闇のウェルの顔が険しくなる。
「だが——」
俺はゆっくりと顔を上げた。
「俺には、ちゃんと背中を押してくれた人がいた」
幼い自分の姿。
先生の笑顔。
そして、あの言葉——。
「優しさは取り柄だって言ってくれた人がいた。父親はクズだったけど…その言葉を言って貰えたのは真実だった」
闇のウェルが震える声を漏らす。
「……馬鹿な……そんなもの、ただの記憶の残滓だ……!」
「でも、俺を助けたよ」
俺の声は静かだったが、揺るがない。
「俺はここで終わらない。仲間のところへ戻るって決めたんだ」
闇のウェルの瞳が揺れる。
「……仲間……? そんなもの……また失うだけだ……また裏切られるだけだ……!」
その言葉は怒りというより——
自分自身への怯え、叫びに近かった。
俺は一歩踏み出す。
「……大丈夫だよ」
「大丈夫……?」
「失うかもしれないし、怖いこともある。でも……それでも信じたいって思える人たちがいる。俺はそれを、諦めたくない」
闇のウェルは口を開けたまま固まった。
まるで、存在の根本を揺さぶられたように。
「……ふざけるな……! そんな曖昧なものに……お前が勝てるわけが……!」
闇のウェルは震えながら拳を握る。
「……なのに……なんで……俺より先に答えに辿り着く……ッ!」
叫びが闇を震わせる。
そして——
「……いいだろう」
闇のウェルはゆっくりと顔を上げ、禍々しい笑みを浮かべた。
「対話なんて茶番は終わりだ。お前が本当に強くなったのか……その身で証明しろ」
ゴォォォォォ!!!
闇のウェルの周囲に黒いオーラが噴き上がる。
「次は……容赦しない」
ウェルも拳を握り、前を見据える。
「……来いよ。全部、受け止める」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




