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629.俺、仲間のところに戻るよ

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 光の記憶が溶けきるその間際だった。


 幼い誠一の姿が、ふっとこちらを向いた。

 まるで俺の存在を、本能で察したかのように。


 時が止まったような静寂の中、二つの視線がまっすぐに重なった。


「……お兄さん……」


 幼い声が、光の中で響いた。


 俺は驚きに目を見開く。

 この世界では触れられないはずの《過去》が、今だけは不思議と自分に気づいている。


「……どこか、行くの……?」


 幼い誠一は、小さな手を胸の前でぎゅっと握りしめ、不安そうに、でも勇気を振り絞った顔で尋ねてくる。


 それはまるで——

 《過去の自分に問いかけられている》ような感覚だった。


 ウェルは、ゆっくりと息を吸う。


(……そうか……俺は、もうこの場所で止まってちゃいけないんだな)


 幼い自分がここで救われた。

 先生が背中を押してくれた。

 優しさも、強さも、ここで確かに芽生えていた。


 なら——

 この場所に永遠に留まる理由は、もうどこにもない。


 俺は幼い自分に歩み寄る。

 触れられないはずの空間なのに、自然と距離が縮まった。


 そして、かつての自分自身に向けて、穏やかに微笑んだ。


「……俺、行くよ」


 誠一は目を瞬かせる。


「行くって……どこに?」


「仲間のところ。俺を待ってくれてる人たちがいる。……戻らなきゃいけない場所が、ちゃんとあるんだ」


 言葉にして初めて、俺の胸に確かな温度が生まれた。


 過去に囚われるだけじゃなく、未来へ踏み出せる自分が——

 確かにここにいる。


 誠一の瞳に、ぱぁっと光が宿る。


「……行って、いいの?」


 その問いに、俺は迷いなく頷いた。


「ああ。行っていいし……行かないとダメだ」


 誠一は、少しだけ寂しそうに、でも誇らしげに表情をほころばせた。


「そっか……じゃあ……がんばってね、お兄さん」


 ウェルの胸に、じんと熱が広がる。


「ありがとう。……お前がいてくれたから、今の俺がいる」


 光が再び強くなり、誠一の姿がぼやけはじめる。

 小さな手がふわりと上がり、サヨナラの仕草を作った。


「ばいばい……」


 優しい光に包まれ、世界が白く満ちていく。


 ——その奥で、先生の声がかすかに響いた。


『大丈夫よ、誠一くん。

 あなたは一人で生きていく子じゃない。

 誰かを助け、誰かに助けられていく子なの』


 その言葉を背に受けながら、俺は瞼を閉じた。


 戻るべき場所は、もうはっきりしている。


(……待ってろ、みんな)

(俺は、必ず——闇を越えて戻る)


 パァー!! グウァン!!


 光が弾け、世界が反転する。


 次の瞬間、俺の意識は、再び闇の中心へと降り立った。

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