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626.光の底へ沈む

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 いっぽうそのころ。

 試練の最中のウェルは。


 ——暗い。

 どれだけ歩いても、何も見えない。


 俺は闇の底を彷徨っていた。

 地に足がついている感覚も曖昧で、自分が立っているのか、沈んでいるのかさえ分からない。


 胸だけが、やけに痛かった。


「……まただ……これ、また……」


 呟く声は震え、虚空へ吸い込まれていく。


 この一週間、俺は延々と自分の《真実の過去》を見させられた。


 過去の絶望。

 自分を傷つけた言葉。

 捨てられた記憶。

 無力だった日々。

 助けを求めて、誰にも届かなかった夜。


 そして——


 自分がどれだけ弱いと思い知らされ続けた。


 闇のウェルは、静かで、残酷だった。


『お前には価値がない。妹を殺した。誰もお前なんか必要としてない』


「……黙れよ……」


 ウェルは頭を抱える。

 心の奥で何かがひび割れるような音がした。


「妹を殺したのは……俺じゃない……!!」


 叫びはすぐさま闇に飲まれ、返事は来ない。


 ただ静かに、自分自身の声だけが返ってくる。


『いいや、お前だ。お前が強ければ守れたはずだ?』


「……ぐっ……」


 俺は何も言い返せなかった。


『守れなかった過去も……

 今も……

 これからも……

 何一つ変えられない』


「……やめろ……やめてくれ……!」


 膝をついた瞬間、全身から力が抜け落ちた。


 闇が押し寄せる。

 息ができない。

 胸が締め付けられて千切れそうだ。


 どれほどの時間が経ったのか分からない。

 けれど、確かに——心は折れかけていた。


 その時だった。


 ——チリ……と。


 闇のどこかで、小さな音がした。


 それは、光の粒が生まれる音。


「……え……?」


 ウェルの視界に、か細い光が浮かび上がる。

 最初は火花のように小さかったが、やがて周囲の闇を押し返すように膨らんでいく。


 胸の痛みが、少しずつ和らいでいく。


 その光には——懐かしい温度があった。


「なんだ……これ……?」


 手を伸ばす。


 パァー…!


 触れた瞬間、光は大きく弾け、ウェルの全身を包み込んだ。


 眩しい。

 暖かい。


 苦しかった胸の痛みが、潮が引くように消えていく。


『——大丈夫』


 誰かの声がした。


 優しくて、安心する声。


 昔、どこかで聞いたことがある。

 けれど思い出せない。

 思い出したい。

 思い出さなきゃいけない。


「……だれ……?」


 光はさらに強くなり、闇の世界が白く塗り潰されていく。


 ウェルの体は浮かび上がり、どこかへ引き寄せられるように運ばれていく。


 目の前に、一つの扉が現れた。


 古い木製の扉。

 どこか懐かしい匂いのする、温かい場所へ繋がる扉。


 心臓が、トクンと大きく跳ねた。


「……ここ……」


 言葉にならないまま、ウェルはその扉へ手を伸ばした。


 光に包まれたまま、その向こう側へ——

 一歩、踏み出した。


 世界が切り替わる。


 眩しさがやんだ時、ウェルは最後に聞いた。


『——ようやく来たね』


 懐かしい、優しい声だった。

「面白かった!」


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