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621.気の流れ

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 一週間が過ぎた。


 ウェルは、飲まず食わずで、誰とも会っていなかった。いや、正確に言えば黒紫の闇に包まれて会えなかった。


 あれからずっと、ルシファーの試練である《己の闇》と向き合う日々が続いていたからだ。


「……ウェル…」


 エリスがウェルがいる黒い煙に包まれた闇を見つめて、自然と漏れる。

 

 ルシファーの言う通り一ヶ月このままなら、まだ序章。


「お嬢様…そろそろお休みになられては…」


 ココがエリスを心配して声をかける。


「妾はまだ大丈夫じゃ」


 エリスは弱々しく微笑むように答えたが、声の奥には疲労が隠せない。

 夜も眠らず、思考を巡らせ、ウェルのことを考えているのだろう。


 少し前まで元気だった彼女の顔には、クマがうっすらと影を落としていた。


 ココはその様子を見て、ため息をつく。

 彼女も同じ気持ちだ。


 助けたい、でも今は我慢するしかない──。それが、ルシファーの試練の意味でもある。


 その瞬間、微かに闇の中で動きがあった。

 黒い煙の中、ほんの少し揺れる。まるで、ウェルの気配が震えたかのように。


「……ウェル?」


 エリスは息を呑む。


__________________


 一方その頃、空の島の入り口付近にて、ルシファーから直接戦いを教わるテンテンとサヤ。


 ドガガガガガ!!


 激しい戦いが繰り広げられていた。


 いや、ルシファーに対して、テンテンとサヤが二人がかりで挑むが、全く相手になっていない。


「教えたはずだ。もっと《気の流れ》を理解しろ」


 挑発するように鼓舞をするルシファー。

 声だけは温かく、しかし威圧感は消えない。

 テンテンとサヤは思わず唇を噛む。


 ――この強さ、正直怖い。だが、それと同時に、何か燃えるものもある。


 この一週間でだいぶ二人は鍛えられた。


「……ふぅ、息が…全然追いつかないアル…」


 テンテンは肩で荒い息をしながら、地面に膝をついた。

 瞳に光るのは悔しさと、けれど諦めではない火花。

 そう、彼女はまだ諦めない。自分でも「なぜこんなに歯が立たないのか」と分かっている。

 それでも──手を休めるわけにはいかない。


「まだ…力が均衡してないでござるな……」


 サヤもまた、汗で濡れた額を押さえつつ必死に気を整える。

 彼女の指先からは、微かに光のような竜気が揺れ動く。だが、ルシファーの前ではそれすら波紋のように消えていく。

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