612.己の闇と向き合う
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
翌朝――。
柔らかな陽光が、天上の雲を透かして差し込んでいた。
俺たちは再び神殿の中に入り、そこにはルシファーの黒い翼がゆっくりと広げて待機していた。
「来たか。よく眠れたか?」
ルシファーの瞳の奥に、昨日までとは違う冷たい光が宿っているのを、俺は見逃さなかった。
「ああ……まぁな。その前に聞きたいことがあるんだ」
俺はルシファーに警戒しながら問いかける。
「なんだ?」
ルシファーは鋭い視線をこちらに向ける。
その瞳の奥に、どこか過去を見透かされたような圧があった。
「なんでお前は《深淵の闇魔法》を知っているんだ?」
俺の声は無意識に震えていた。
この魔法の名を知る者は、限られた存在しかいない。
それを当然のように口にしたルシファー――その事実が、恐ろしくもあった。
ルシファーは一瞬、目を伏せる。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「そうだな。確かにその話をしていなかった。俺は《深淵の闇魔法》を扱う人間と戦かったことがある」
「《深淵の闇魔法》を扱う人間!? …まさか!?」
その言葉に、胸の奥がざわついた。
深淵の闇魔法を扱う人間。それは心当たりがある。
「《キュリア・ロザリオ》…そう名乗っていたな」
「キュリア!? 闇ギルド《グリムリペア》の!?」
思わず声が裏返った。
その名を口にした瞬間、場の空気が一気に張り詰める。
背中を伝う冷たい汗を感じながら、俺はルシファーを見た。
ルシファーはキュリアと戦ったことがあるのか。俺に《深淵の闇魔法》を与えた闇ギルドのマスターに。
「戦った結果…どうなったアル?」
テンちゃんは勝敗の結果が気になってルシファーに聞いた。
「…惨敗した…俺はキュリアという人間に負けたのだ」
「ウソだろ!?」
ルシファーが負けた…!?
俺たち全員が束になっても手も足も出ないほど強いあのルシファーが!?
グリムリペアのマスターはどんだけ強いんだ!?
二千年前に会った魔族くんには追いついたとは思っていたけど、まだまだ上があるということか。
密かにサヤは刀を握りしめる。
姉を求めてグリムリペアのマスターを探しているんだもんな。
ルシファーは続けた。
低く、まるで呪文のように。
「あの人間の魔法は……特別だった。《深淵》とは、心の最も奥に眠る“虚無”そのもの。抗うほど、己を飲み込む……しかし、それを受け入れることで、恐るべき力を手にすることができるのだ」
その言葉に、心が震える。
ルシファーの声が、まるで遠い記憶の底から響くように広間に染み渡った。
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