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58.アリストクラキー

第3部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 俺は事の経緯を語りながら、グランベル家とロッドフォード家を暗殺しようとした理由には「カギ」が関わっているのでは、と考察する。

 もしかしたら、両家の暗殺には繋がりがあるのかもしれない。


 そして、ロッドフォード家の当主、イーニアス・ロッドフォード様からその「カギ」の話を聞くことになった。


 「貴族の間で伝承されている逸話があるのだ」


 貴族間では数多くの逸話が存在する。

 迷信やおとぎ話のようなものも多いが、記録に残され、伝承されるものも少なくない。


 「七人の令嬢が持つ【カギ】を埋め込むと…」


 令嬢が持つ【カギ】を埋め込む――?

 エリスお嬢様から聞いたときには【カギ】の所在は不明と言われていたはずだ。

 もしかすると、既にエリスお嬢様がその【カギ】を持っているということかもしれない。

 令嬢――つまり貴族女性限定であることも意味している。


 「その【カギ】というのは…?」


 「七人の令嬢が願うとき、神が現れ、世界を平和に導くと。

 七人の令嬢が死ぬとき、悪魔が現れ、世界を終末へ導くと」


 その【カギ】を持った令嬢の生死や願いによって、世界の結末が大きく変わるということか。

 つまり、エリスお嬢様やリンジーを暗殺しようとしている闇ギルド【ナハト】は、悪魔を呼び出し世界を滅ぼそうとしている可能性がある。

 なんて迷惑な奴らだ。


 グランベル家に嫌がらせしてきたレイス家は関係ないのか? そんな疑問も頭をかすめる。


 「正しく【カギ】を扱う者たちが集うことを祈る…と…」


 伝承を記した者は世界の終末ではなく、平和を願っていたのだろう。

 闇ギルドの思いどおりにはさせない――心の中で誓う。


 「そして、そのカギの名前は【アリストクラキー】と伝わっている」


 【アリストクラキー】――

 世界を平和か終末に導く、貴族に伝わる【カギ】。

 これこそがエリスお嬢様が狙われた理由である。


 「そして、この【アリストクラキー】は、公爵や子爵などの爵位には関係なく、どの貴族が持っているかわからないということだ」


 なるほど、爵位関係なく、誰が持っているかは秘密にされているのだ。

 公開すれば命や地位を狙われるのは当然だろう。


 「確かに、我が家は【カギ】を持っている!」

 なんて宣言したら、真っ先に暗殺されるだろう。


 貴族間の上下関係も厳しいから、

 「子爵の地位で【アリストクラキー】を持つとは生意気だ!」

 とか言われて失脚させられることもあるかも。

 貴族というのは、何かと大変だな。


 「…私が知るのはここまでだ…」


 まだわからないことは多いが、これで大まかな全貌は掴めた。


 「ありがとうございます。イーニアス様」


 エリスお嬢様を暗殺しようとした闇ギルド、そして狙われた理由――全てが繋がった。

 ただし、ベルモットは「グランベル家は違った」と言っていた。

 恐らく、エリスお嬢様を殺しても【何かしらの変化】がなかったため、【カギ】を持っていないと誤解しているのだろう。

 リンジーも死を偽装すれば、同じように誤解させられ、狙われるリスクは減るかもしれない。


 「さて、食事も済んだし、お開きにするとしようか」


 そうだな。腹も頭もいっぱいだ。帰宅後は、情報の整理が必要だ。


 「ウェルくん、もう日が沈むし、今日は泊まっていきなさい」


 「え? でもご迷惑では…」


 「わたくしは賛成ですわ。わたくしの命を救ってくれた恩人を丁重に扱わねばなりませんわ」


 「そうだな。私も同意見だ」


 ロッドフォード家の三人は意見一致。


 「そ、そうですか。それではお言葉に甘えて、お世話になります!」


 「あぁ、甘えたまえ! 子どもは遠慮してはいかんぞ!」


 久しぶりに聞いたセリフだ。この世界に来てから、中身36歳のおっさんにはこういうことを言われることはなかった。

 子どもには子どもの良さがある――酒は飲めないけど。


 「さぁ、ウェルくん! 裸の付き合いだ!」


 ジョーディ様に肩を叩かれ、大浴場に誘われた。

 脱衣場の空気は湯気で少し湿り、木の床がほんのり温かい。


 「うーむ…」


 ジョーディ様は若く、イケメンで、高身長。

 割れた腹筋、痩せマッチョの肉体美――男の俺でも思わず見とれてしまう。


 あぁ、こういう姿に俺もなりたかったなぁ。


 固有魔法【メタモルフォーゼ】――

 自分がイメージした姿に変身できる魔法。

 女性の姿にも変えられるが、エリスお嬢様によって美少年ショタワンコに固定されているため、魔力切れで倒れても元の姿には戻れない。

 解除も、エリスお嬢様の意思が必要だ。


 待てよ――!?

 ジョーディ様のような姿に変身できるなら、女の子の店にも行けるのでは!?

 今度試してみよう。


 「? どうかしたのかい?」


 「い、いえ!?」


 やばい、思わず男の裸をじっと見てしまった。


 「……もしかしてウェルくん…」


 な、なんだ!? 俺の考えを見抜かれたのか!?


 「…男好きかい? すまない、私はそっちではないのだ」


 「違います!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 肉体美を見てしまっただけで、決してそっちではない! あやうく公爵家に誤解されるところだった。


 「君がそっちだったら、迷わずリンジーを任せられるのにな」


 そっちってどっち!? リンジーを任せる基準がそれかよ!?


 こうして、裸の付き合いで男同士のあれこれを語り合うのであった。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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