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53.犯人はこいつだ!

第3部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 ジョーディ・ロッドフォード様の記憶によれば、


 リンジー・ロッドフォードお嬢様に近づき、呪いをかけた可能性のある人物が三人浮かび上がった。


 メイドのレッティ。

 執事のコボルト。

 シェフのアルデン。


 事情聴取を行ってみたものの、誰もが呪いを仕掛けるチャンスはあった。しかし、誰が犯人なのかは依然として判別できなかった。


 ならばと、俺はラーニングを使い、三人の記憶を読み取ってみることにした。


「お集まりいただきありがとうございます」


 豪華な屋敷の応接間に、三人の容疑者――レッティさん、コボルトさん、アルデンさん――を呼び集める。

 後見人としてジョーディ様とイーニアス様も同席している。

 俺を含めると、総勢六人が重厚な木製テーブルを囲む形だ。


「私たちは忙しい身であるのですが、一体なんでしょうか?」


「そうだ! そうだ! ディナーの支度が間に合わなくなっちまうぞ!」


「私もスケジュールがありますので、手短にお願いします」


 三人はそれぞれ不満や焦りを口にするが、俺は気にせず話を続けた。


「もしかしたら、この中にリンジーお嬢様を病気にした犯人がいるかもしれません」


 そう、三人は容疑者だと宣言する。これは作戦の一部だ。


「おいおい! リンジーお嬢様は病気だろ!? 何を言ってやがる!」


「そうです! 犯人とは一体なんですか!?」


「ほっほっほ、まぁ良いではないですか。話を聞いてみても」


 戸惑うのは当然だ。

 そこで俺は事情を説明した。


「私の記憶では、妹に近づいて呪いをかけたと思われる人物は三人。だからお前たちを呼んだのです」


 ジョーディ様は、容疑者として選んだのは自分だと堂々と述べる。さすがに逆らえないだろう。


「し、しかし、私たちは何も…!」


「わかっています。まずは、ウェルくんが何をするかを見てください」


 新人冒険者風の少年――俺――に、全員の視線が集まる。


「私の魔法で犯人を特定します!」


 堂々と宣言すると、部屋の空気が一瞬ピリッと張り詰めた。


「待て待て! こんなガキに何ができるんだ!?」

「…子どものお遊びなら、またあとで…」

「探偵ごっこですかな?」


 そう思うのも無理はない。


 しかし、


「ウェルくんはこう見えても一流のA級冒険者です。遊びではなく、本当に犯人を突き止めると私は信じています」


 イーニアス様のフォローで、部屋の緊張が少し和らぐ。


 では、始めよう。


 俺は三人の中で、最も怪しいと思われる人物に手を触れた。

 そして問いかける。


「半年前の今ごろ、あなたはリンジーお嬢様と何をしていましたか?」


 すると本人が何も喋らなくても、脳裏に記憶が浮かび上がる。

 そう、半年前の光景が少しずつ蘇るのだ。


 俺はラーニングにさらに集中した。


 見える。

 見えるぞ。


 なぜ繰り返し質問するか。それは、人間は質問されると無意識に記憶を頭に呼び出すからだ。


 そして、事件の全貌が次第に明らかになる。

 なるほど…。リンジーお嬢様はこうして呪われたのか。


「やはり…あなたが犯人なのですね」


 俺が触れて記憶を探ったその人物は――


「コボルトさん」


 そう、執事のコボルトさんが犯人だった。


「ま、まさかコボルトさんが!?」

「冗談寄せよ!」

「ほっほっほ、面白い冗談ですな。どうやって私がリンジーお嬢様を病気にさせたのですかな?」


 当然、切り返してくる。


「あなたはリンジーお嬢様が夕食の際、こっそり食堂に忍び込み、リンジーお嬢様が使う食器に触れたのです。その食器に魔力を込め、リンジーお嬢様を呪いによって病気にさせた」


 コボルトさんは固有魔法【ポイズンカース】を用い、食器に魔力を宿らせて間接的に毒をかけたのだ。


「ほっほっほ。面白い妄想ですな。何か証拠があるのですかな?」


 まだ余裕の表情だ。


「私の魔法で、あなたの記憶を確認しました」


「ほっほっほ、それはすごい魔法ですね。

 それで? その魔法が本当に正しく発動しているか証明できますかな?」


 そう、俺だけが犯人を知っていても、それは証拠にはならない。


 そこで、


「では、あなたの手帳を見せてください」


「…そんなことで良いのですかな?

 どうぞこちらです」


 手帳を開くと、半年前の内容が書かれていた。

 そこには【病気】ではなく【呪い】と明確に記されていた。


 俺は手帳をみんなに見えるように広げ、コボルトさんに問いただす。


「なぜ、リンジーお嬢様が呪いだと知っていたのですか?」


「…」


 呪いだと知っているのは、俺、イーニアス様、ジョーディ様、そしてその場にいたメイドの四人だけだ。

 他の者は、リンジーお嬢様が病気だと思い込まされていたはず。


「…はて…そのようなことを書いていますかな?」


 事情聴取時に手帳には【呪い】と書かれていたにもかかわらず、あえて【病気】と言っていたのだ。


「俺の魔法で、手帳には【呪い】と書かれていることを確認しました。

 記憶の確認としてはこれで十分でしょう」


 ラーニングが証拠としても機能する、一石二鳥の手段だ。


「ほっほっほ。私としたことがうっかり書き間違えてしまったようですな」


 たしかに書き間違えの可能性もある。


 しかし、


「ではなぜ、手帳を読みながら【呪い】と書かれていたにもかかわらず、【病気】と言ったのですか?」


 書き間違えに気づいた素振りをするコボルトさん。だが、事情聴取の際にはすでに気づいていたはずだ。

 この言い訳には無理がある。


「…はて…病気などと言いましたかな?」


 言い逃れようとしても、無駄だ。


「…コボルトよ…私は記憶している」


「…私もだ…」


 イーニアス様とジョーディ様も、事情聴取時のやり取りを覚えている。

 俺たち三人の前で、コボルトさんは白状するしかない。


 さあ、白状するんだ!

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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