45.10秒の死闘
第2部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
【気】と【魔】の融合に成功した俺の両腕から、眩い閃光がほとばしった。空気が震え、周囲の大地までもが低く唸る。
制御しているだけで全身の神経が焼き切れるような感覚に襲われるが、確かにその力は自分のものとなっていた。
この力があれば、ヒュドラを倒せる。
しかし維持するだけでも膨大な魔力を喰らい尽くしていく。猶予はわずか――10秒。
緊張で張り詰める空気の中、死闘の幕が切って落とされた。
「いくぞ!!!!」
地面を蹴りつけると同時に爆音が轟いた。足に移した【気】と【魔】の融合の力が爆発的な推進力を生み、ウェルの身体は矢のように前へ。視界が歪むほどの速度でヒュドラに迫る。
そして――シュバッ!
跳躍一閃、ウェルは巨体を睨み上げるほどの高さまで舞い上がり、ヒュドラの首筋に刃を構えた。
残り9秒。
「その首、貰うぞ!!!」
剣へと力を集中し、一瞬だけ光が刃を包む。
スバン!!!!
硬すぎて決して斬れなかったはずの鱗と肉を、あまりにも容易く断ち切ってしまった。ヒュドラの一つの首が、血飛沫を撒き散らしながら宙を舞う。
残り8秒。
「シャアアアアアアアア!!!!!!!!」
怒り狂ったように二つの首が襲いかかる。巨木がなぎ倒されるような轟音を伴い、毒を帯びた風圧が肌を裂く。
「うおおおおぉ!!!!」
スバン! スバン!
猛撃を紙一重で回避し、二つの首を斬り払う。
残り7秒。
「風魔法【エアウォーク】!」
力を魔法へと移し替えた瞬間、ウェルの身体は風に持ち上げられるように宙を駆ける。空気を蹴り、自由に飛ぶ感覚――そのまま滑空しながら刃を振り下ろした。
「次の首、もらったああああぁぁ!!!!!!」
ズバーン!!!!
すさまじい斬撃と共にさらに首を落とす。
残り6秒。
【気】と【魔】を再び剣へ。制御を誤れば一瞬で暴発する。額を汗が伝うが、集中を切らさずに次の一撃へと繋げる。
ヒュドラの残りの首は半分。
「風魔法【ウインドブレード】!」
空気が唸り、風の刃が奔る。普段ならかすり傷すら与えられぬ術。だが融合した力が風を研ぎ澄まし敵を断ち裂く。
ズババババーン!!!!
さらに二つの首が飛び散る。
残り5秒。
「シャアアアアア!!!!」
一つの首が猛スピードで噛みついてきた。避けきれない。
ガブッ!!!!
「ウェル!!!!」
テンちゃんの絶叫が響く。
「うぬぬぬぬぬ!!!!」
剣を口に咥え、両手両足で必死に開いた顎を押し広げる。毒混じりの唾液が滴るが、既に毒耐性を得た身体は揺るがない。
残り4秒。
――時間がない。打開策は一つ。
「とりゃあ!!!」
自ら口内へ飛び込み、逆に体内から仕掛ける。
残り3秒。
「ウェル!?!?」
驚愕する仲間たちの声を背に、叫ぶ。
「炎魔法【フレイムバースト】!!!!」
ズドオオオオオオン!!!!
爆炎がヒュドラの内部から弾け、首が破裂するように吹き飛んだ。
残り2秒。
煙を突き抜け、ウェルは最後の首へ一直線に突撃した。
「あと一つ!!!!!」
残り1秒。
「行くアル!!!!」
「ぶった斬るのじゃ!!!!」
「行っけええええええ!!!!」
仲間たち、村人たちの声が一つになった。
「ラーニングさらに発動! 【魔導竜気斬】!!!!」
【気】と【魔】の融合した力に、グリーンドラゴンから得た竜の力を重ねる。全身が裂けるほどの負荷。だが今は迷わない。
「うおおおおぉぉぉおおおお!!!!!!!!」
ズバーーーーーーーーン!!!!!!!!
光の刃が闇を裂き、ヒュドラの最後の首を胴体ごと縦に斬り裂いた。
轟音が大地を揺るがし、森の木々がなぎ倒される一閃。
……だが、力も尽きた。
【エアウォーク】も切れ、ウェルの身体は重力に引かれ落ちていく。
「ウェル!!!!」
ガシッ!
テンちゃんがその身を抱きとめた。
「……はは……もう指一本動かせないや……」
「…まったく、呆れるほど無茶するアル…」
声を出す気力すらない。
「……ちょっと……疲れたから……寝るね……」
「…おやすみネ。お疲れ様アル」
温かな声を聞きながら、意識は暗闇に沈んでいった。
戦場に静寂が訪れる。やがて震える声で誰かが呟いた。
「……やっつけただべか……」
「勝ったんだべ……」
「勝った……!」
その実感が広がり、爆発するような歓喜が村を包む。
「うおおおおお!!!!!」
「勝ったどぉおおお!!!!」
「すんげぇ戦いだったべ!!!」
「魔法なのか!? なんなのか!?!?」
驚きと熱狂が渦巻く中、エリスが胸を張って言い放った。
「妾のペットなんじゃから当然じゃ!」
……余計なことを言わなければ完璧だったのに。
こうしてウェルが目覚めるまでの間、テンテンとエリスは村に残り、彼を見守ることになるのだった。
――ラーニングにて習得
【ヒュドラファング】
【ヒュドラゲール(ウロコ)】
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