195.超級魔法を無詠唱
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
闇魔法【グラドナス】――それは相手の心の隙を突き、都合の良い夢を見せる強力な幻術。かかれば直前の記憶が曖昧になり、本人にとって理想の世界が現実のように広がる。だからこそ、普通は幻だと気づくことなど不可能に近い。
しかし、サヤは違った。
「…いつもの姉上は拙者が飛びつこうとする時、思いっきり峰打ちでぶっ飛ばすでござる!! だからこれはニセモノでござる!!!」
自分の【都合の良い夢】が、現実では決してあり得ないものだと理解しているのだ。
「拙者を受け止めてくれるのが一番良いでござるが、姉上の峰打ちを受けるのもそれはそれで良いでござる…ぐへへ」
ヨダレを垂らして頬を緩ませるサヤ。姉に対してはMっけがあるようだ。
サヤは静かに腰の刀に手をかける。
「さて、ここが幻であるなら脱出せねばなるまいな」
彼女の瞳が鋭く光る。
「全ての【竜気】を解放し、刀に流す」
空気が一変した。。一瞬、世界が止まったかのように静寂が訪れる。
「滅魔流奥義【魔壊空滅閃】!!!」
ズバン!!!!!
斬撃が、空間そのものを裂いた。世界が二つに割れるような轟音と共に、幻想の屋敷が崩壊していく。瓦礫のように散る光が舞い上がり、幻術の世界が音もなく消滅した。
――そして現実。
「ぐあああぁぁぁぁ!?!?!?」
サヤが振るった一閃は、詠唱中のフードルに直撃した。多重魔法障壁ごと、その身体を真っ二つに両断する。
ドサッ。
フードルの身体が地に落ち、動かなくなった。
「姉上に会えたのは嬉しいでござるが、現実で会いたいでござるな!」
サヤは刀を収め、満足げに微笑む。
――場面は変わる。
焦げた空気が漂う城跡。崩れかけた石壁の向こうで、少年のような声が響いた。
「なぜ犬族が人族の肩を持つ!? 邪魔をするな!!!」
上級魔族、六魔将軍第六階級――【ヴァン】。その怒声と共に、巨大な魔力の風が唸りを上げた。
ズドーン!! ズドーン!!
暴風が瓦礫を巻き上げ、地面をえぐる。ヴァンは上級風魔法を無詠唱で放ち、周囲を破壊しながらショタワンコ――ウェルへと殺到した。
しかし、ウェルの身体を覆う魔導気が輝く。
「雷魔法【サンダーボルト】!!」
雷がほとばしり、空を裂いた。
放たれた稲妻が風を貫き、魔力の竜巻を打ち消す。空中で風と雷がぶつかり合い、轟音と共に白光が爆ぜる。
自然の性質上、風属性は雷が弱点だ。
「…命がいらないと言うなら容赦はしない! 超級風魔法【テンペスト】!!!」
ヴァンの身体を包む魔力が膨れ上がり、空が轟く。無詠唱で超級魔法を発動するとは、まさに異常。風が竜巻のように形を成し、地面をえぐりながら迫ってくる。
しかしウェルも怯まない。瞳に閃光が走る。
「超級闇魔法【シュヴァルツインフェルノ】!!!」
「何!?」
ドガーーーン!!!
黒き獄炎が風を飲み込み、逆巻く嵐とぶつかり合う。爆発音と共に空を裂き、まるで天地がぶつかるかのような閃光が走った。
「俺も無詠唱で超級魔法が使えるんだ!」
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