193.裂空脚
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
超級炎魔法【ノヴァ・インフェルノ】をまともに浴びせたはずなのに、炎が風に吹き払われたかのように忽然と消えた。
「超発勑でも壊れないなんてとんでもなく硬い障壁ネ」
空中で仙気をまとったテンテンが、静かにそう告げる。仙気の輪郭が薄く光った。
「な、なぜ生きている!?」
フランメの目が大きく見開かれる。
「仙気で防御してなんとか耐えてやったネ!」
テンテンは肩越しに微笑むように言った。
【ノヴァ・インフェルノ】をくらう直前に、とっさに仙気を練り上げて防御したそうだ。しかし、それでもかなりダメージはくらっている。
フランメは翼をはばたかせ、空中で距離を取る。
「なんてやつだ…だがここは空中! その態勢なら大した攻撃はできまい!!」
高所の利に自信を持つフランメは、優位を確信した声色で吠える。
だがテンテンは引かなかった。両足に秘めた気を一点に凝縮させ、身体を低く沈めるように構えると、静かに息を吸い込んだ。
「八極気功拳・柔の型【裂空脚】!!!」
その短い宣言の後、彼女は足を蹴り上げて体を滑らせる。空気を裂く音が鋭く耳を打ち、背後の雲が引きちぎられるように流れた。
テンテンは空を走るようにしてフランメの側面へと突進した。
「な、なに!?」
フランメが驚きの表情を浮かべる間もなく、テンテンは続けざまに構えを変えた。
「八極気功拳!! 剛の型!!」
仙気を極限まで凝縮した拳が、凄まじい勢いで放たれる。
「【仙華崩拳】!!」
舞い散る華が咲き乱れ。フランメに美しく散っていく幻想を見せながら、多重魔法障壁は破壊された。
「ぐあああぁぁぁぁ!?!?」
防御が崩れた瞬間、フランメの体が制御を失い、二人は重く地面へと落ちた。衝撃で地面が抉られ、砂塵が渦を巻く。
テンテンは地面に膝をつき、短く息を整えると、誇らしげに拳を握りしめた。
「アタシの勝ちネ!!」
その声は戦場のざわめきにかき消されることなく、確かな勝利の余韻を残した。
しかし、近辺では別の爆発が続いている。黒煙を上げる方角へとテンテンは視線を走らせる。
「あれはたぶんブランが戦っているネ! 助けに行くアル!!」
そう言うと、テンテンは素早く立ち上がり、爆音が響く方へと駆け出した。
一方、別の空域ではサヤが一対多の剣戟を繰り広げていた。
「滅魔流【魔空一閃】!!」
飛撃が空を裂き、刃の軌跡が一筋の光となって魔族を切り裂く。サヤの刀は、空中の魔力の奔流すら斬り落とすように鮮やかだった。
「くそ! 魔法を使わず遠距離攻撃ができるやつがいるなんて聞いてないぞ!」
フードルと名乗る魔族。サヤに雷魔法を斬られた魔族だ。彼は一瞬の隙を見せ、その隙をサヤに突かれて城の外へと追いやられた。
「こうなったら得意じゃないが闇魔法【グラドナス】で廃人にしてやる!」
その名を口にした瞬間、周囲の空気が歪み始める。
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