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163.魔物の大群と真実

第10章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

「ファニーは屋敷に避難してください!!」


 屋敷は、魔物が現れたという叫び声とは逆の方向にある。なら屋敷にいた方が安全だ。


 村の家々や石畳の道を抜け、周囲の木々の影が長く伸びる。森のざわめきが耳に届き、風が葉を揺らす音が緊張感を増幅させていた。

 

「わかった!!! よろしく頼む!!!」


 ファニーは大声で応え、俺たちは叫び声のした方向へ駆け出した。


「エアウォーク!」


 俺は一足先に空中から状況を確認する。

 肩にはエリスお嬢様が乗っている。背中越しに彼女の緊張した息遣いが伝わる。


「うわ! すごい数だ!!」


 視界にはG~Aランクのさまざまな魔物が集まり、村に向かって進んでいる。

 体表の鱗や毛皮に反射する光が、恐怖と威圧感を増幅させていた。

 さらに、圧倒的な魔力の波動が辺りを震わせ、空気がビリビリと振動している。


「魔力の出元はあやつじゃな」


 あの圧力の中心――視線を向けた先に、異様なオーラを放つ存在がいた。


「魔族か…」


 ただ者ではない魔力の塊。魔物たちを吸い寄せる圧倒的な力。

 恐らくあいつが魔族だろう。


「向こうから出向いてくれるとはラッキーじゃな! さっそくぶっ飛ばしてやるのじゃ!」


 俺は仲間と合流し、魔物と魔族の討伐を開始した。

 土の匂いと草のざわめきが混ざり、戦場の空気は緊迫感に満ちていた。


―――――――――――――――――――――――――


 そのころファニーは――


「大変だ!! 魔物が村にやってきたよ!!」


 屋敷の一室で、ファニーは鏡の中の自分に向かって叫ぶ。


「……全くベラベラと俺の事を喋ってくれたな。おかげで計画が台無しだ!!」


「…え? 知ってたの!? ご、ごめん! 次は気をつけるから!! お願い!! ゆるして!!」


「バーカ!! 次があったら魔物を引き寄せて、村も冒険者もまとめて証拠隠滅するわけねぇだろ!!!」


 鏡の中のファニーが口にしたのは、信じられない事実だった。


「…え…それはどういう…?」


 言葉を失い、ファニーの目が潤む。


「また人族(ひとぞく)の文化に忍び込んで裏から乗っ取ってやるのさ!!! お前に父親と母親を殺させたようにな!!」


「ぼ…僕が…お父さんを…殺した…!? な、何を言っているんだ!!! お父さんとお母さんは病気で…!!」


「そうだ!! 病気だ!!! だが病気じゃないんだよ? 俺がお前に【元気になるおまじない】を教えただろう?」


 【元気になるおまじない】――最初に教えた儀式。

 両親の疲労を癒やすつもりで行ったはずのおまじないが、実は――。


「それは毒魔法だ!!! 少しずつ両親に向かって毒魔法を流し込んでいたのさ!!!」


「な!? バカな!!! 僕は詠唱もしていないのに毒魔法だなんて!!」


 普通なら詠唱段階で魔法の種類が分かる。

 しかし、ファニーは無詠唱で行った。


「俺が作った微毒な毒魔法でな。子どもでも無詠唱で放つことができるのさ! だが、何度も重ねがけすれば死に至る!! 元気になるおまじないのセリフは、ただの飾りさ!!」


「そ…そんな…僕が…お父さんと…お母さんを…」


 青ざめ、ファニーは膝を折り座り込む。

 壁の古い木材が軋み、屋敷の重厚な空気がさらに重くのしかかる。


「お前なんかだーーーれにも必要となんかされてねぇんだよ!!! 出来損ないの役立たずが!!!!」


 元気のない子どもだったファニーは、勉強も運動も苦手で自信がなかった。

 その無力感が、今、絶望として彼女の心を圧し潰す。


「う、うわああああああああああああああああああ!!!!!!!」


 両親を殺してしまったこと、友達に裏切られたこと、誰にも必要とされていないこと。

 重なる負の感情に、ファニーは泣き叫ぶ。


「ひっひっひ!! そうだ絶望しろ!!! それこそが俺の力となるのだ!!!」


 鏡の中のファニーの声が、恐怖と混乱の空気を鮮明に映し出していた。

「面白かった!」


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