146.滅魔流奥義
第9章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「もう勝負は見えたでござるな」
サヤは深く集中すれば、ウォーカーの放つ呪言を避けることができる。
つまり、ウォーカーはサヤを倒す術がない。
「【死ね】!!!」
【死ね】。
ウォーカーが操る最大の呪言。
その威力は絶大だが、代償として膨大な魔力を消費する。
ヒュン!
しかし、それもサヤは軽やかにかわし、ウォーカーの懐へ踏み込む。
「は、速い!!」
「滅魔流【鋼魔斬閃】!!!」
スバ!!!
ウォーカーの体は上半身と下半身に真っ二つに斬り裂かれた。
「ぐぁああああああ!!!!!!!!!」
痛みに歪む表情でウォーカーは両手で耳を塞ぐ。
「…【治療】!!」
すると真っ二つになった身体がみるみる元通りになった。
「なんと! 奇っ怪でござるな…」
斬ったはずの身体が戻る。サヤにとっては初めて見る光景だった。
「驚いた? 自分に呪言をかけることができるんだよ」
自分に呪言をかける。その条件は、言葉をわずかに変えて耳を塞ぐこと。
死ななければ【治療】によって完全に回復するのだ。
「君に私の呪言が効かないならこれしかないね」
ウォーカーは再び両手で耳を塞ぐ。
「呪術【強靱】!!」
バキゴキバキベキ!
骨や肉体が砕けては再生を繰り返す。
「ぐああああああああああぁぁぁ!!!!!!」
激痛に耐えるウォーカー。
バキゴキバキベキ…。
やがて動きが収まり、ウォーカーの身長は一回り大きくなり、全身が黒く染まった、ギリギリ人型の異形へ変貌した。
「この姿になったら他の呪術が使えない上に、暫く戦えなくなるから使いたくなかったんだがな」
自ら呪いをかけるということは、相応のリスクを伴うのだ。
ヒュン!
「!?」
ガキン!!!
黒く染まった拳がサヤを襲う。
だが、サヤは刀で受け止める。
「また随分と速くなったでござるな」
関心の色を浮かべるサヤ。
「まだ余裕とは恐れ入ったね。ご希望ならもっとスピードを上げようか!」
ズガガガガガガガガ!!!!!!
木々の影を蹴散らし、砂埃が舞う中で二人の攻防が激化する。
時間が経つにつれ、サヤは防戦一方となってきた。
「ぐっ! 拙者より速いでござる!」
呪術によるパワーとスピードの倍増だけではない。
元から実力のある暗殺者であるウォーカーの体術は、極めて高度だ。
ドガ!!!
「ぐっ!!」
ついにウォーカーの拳がサヤの腹を捉える。
ヒューーン!
ズドーン!!
サヤは無情にも壁に叩きつけられた。
「…ピエールとの戦いを思い出すでござるな…」
吹き飛ばされ、壁に激突。
記憶は過去の激闘、ピエールとの戦いを呼び起こす。
今回の敵もまた、ピエールほどではないが、サヤの力と速度を上回る強敵である。
「はぁ…はぁ…そ、そろそろ決着をつけようか!」
ウォーカーの体力も限界に近い。
膨大な魔力を消費したせいで、身体に負担がかかっているようだ。
「…望むところでござる…。姉上が切り札として使っていた滅魔流でお相手いたす!」
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ピエールとの戦いのあと、己の未熟さを思い知ったサヤは、ブルガンリルム王国近くの深い森で鍛錬を重ねていた。
「拙者はまだまだでござる…」
木漏れ日が差し込む森で、サヤの息は荒く、地面には落ち葉が舞う。
もっと強くなりたい。
姉上のように。
姉上と肩を並べられるように。
このままでは追いつくことすらできない。
「滅魔流奥義…次の戦いに備えて習得するでござる!!!」
姉がピンチの時に使った切り札、滅魔流奥義の習得に励むサヤ。
「通常の戦闘では【気】を扱うが、そこに【竜気】を混ぜることで滅魔流が放てる。
そして、滅魔流奥義は【気】を無にして、全て【竜気】にすることで放てる一閃」
【気】を0%にし、【竜気】を100%にするには熟練が不可欠だ。
「…拙者にできるでござるか…?
否! できねばならぬのだ!!
姉上に追いつくために!!!!
仲間と共に戦うために!!!!」
覚悟を決めるサヤ。
「そうでなければ姉上に会えたとしても、顔向けできないでござる!
あぁ…姉上に早く会いたいでござる…。
あぁ………姉上……姉上……姉上。
姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上姉上お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねおねブホォ!!!!」
勢いよく鼻血を出し、倒れるサヤ。
「大変アル!! サヤがブツブツ独り言を言いながら鼻血を出して倒れたアル!!」
倒れたサヤをテンテンが支えた。
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「死ね!!!」
ズギューーーン!!!!
ウォーカーは全速力で突進してくる。
これで決着をつけようというのだ。
「気を無に…」
スッ
一瞬、サヤの気配が消えた。
「竜気解放」
ズァアアアアア!!!!!!
全身に凄まじい力が巡る。
ズギューーーン!!!
サヤも突撃する。
「要領は【魔翔一閃】と同じ…。
しかし、竜気の精密な操作と身体の負担が大きいでござる!!」
全身の竜気を刀に込める瞬間までの力の流れを滑らかに制御する。
その瞬間、気は0となり、無防備になる。
タイミングを誤れば抜刀すらできない。
「だが、必ず成功させるでござる!!!」
死ぬ覚悟、生き抜く覚悟、生きて姉という試練を越える覚悟、憧れを超える覚悟。
「滅魔流奥義!!!!」
シュバ!!
「【零魔・崩滅閃】!!!!!!!!」
一瞬の出来事で、誰も気づけまい。
サヤはウォーカーの背後に立ち、刀を鞘に収める。
ズバーーーーーン!!!!!!
「がはぁ!!!!!」
ウォーカーは斬られ、衝撃で体が吹き飛ぶ。
スガガガガガガガ!!!!!!!!
斬撃の波紋は、戦っていた部屋の柱や壁をなぎ倒す。
ズドーーーン!!!!!!!!
「な、なんだ!?」
地上のビリーたちにも衝撃が伝わり、ピラミッドは真っ二つに割れた。
「な…何も…見えなかっ…た…」
ドサッ。
「こんなところでつまづいているようでは姉上に合わせる顔がないでござる」
ウォーカーを倒したサヤも力尽きる。
ドサッ!
「……さすが滅魔流奥義…とてつもなく力を使い果たしたでござる…。
ギルドマスターはウェル殿に任せて拙者はここで休憩でござる…」
残す戦いは、ナハトのギルドマスター【シュラム】とウェルの戦いだけである。
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