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126.死の大森林と神殿

第8章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

「HAHAHA! ここが死の大森林だ!」


 木々が天高くそびえ、濃い霧が地面を這うように漂う森に、光はほとんど届かない。


 枝葉が重なり合い、森全体が薄暗く、湿った土と苔の匂いが鼻を突く。


 まさに、名の通り死の香りを纏った森だ。


「死の大森林の恐ろしさは磁場が強いということだ! だから羅針盤は当てにならないし、方向感覚が狂わされる。そのため、大森林の中で遭難し絶命するものが多発している!」


 ミスター・Mが指し示す方向には、苔むした大木や絡みつくツタ、湿った落ち葉が厚く積もった地面が続いていた。足を踏み入れるごとに沈む落ち葉が音を吸収し、足音さえもかき消す。


「なるほど。じゃあどうやって進むのですか?」


「HAHAHA! 良い質問だウェルくん! 地道に目印をつけて移動するしかないのだ! ちなみに神殿までは既に印が付けられているから心配無用だ!」


 ジェノケル王国がこの森で神殿を初めて発見した際に付けられた目印を辿れば、迷うことなく進めるという。霧の向こうに、うっすらと古びた石の道標が見え隠れしている。


「それでは行くとしよう!! 正義のために!!!」


 「正義のために」が口癖なのか、ミスター・Mはやたらと連呼する。


「さっきから正義と言っておるが何かこだわりでもあるのかのう?」


 エリスお嬢様が疑問を口にした。


「そうアル! 冒険者でも自分で正義とは言わないアル!」


 テンちゃんの言う通り、ほとんどの冒険者は正義よりも自分の利益を優先する。


「ふむ、なら神殿に向かいながら昔話をしよう」


 ミスター・Mを先頭に、俺たちは苔と落ち葉が混ざった森の小道を進む中、彼の物語が始まった。


「私には妹がいたのだ! 子供のころ正義のヒーローごっこで遊んでいてな。それはそれは私に似て可愛い妹だった!」


 ミスター・Mに似て可愛い妹――ごめん、可愛いとは想像つかない。


「だがある日、私の村が野党に襲われてな。命を落としたのだ」


 そんな悲惨な過去が。


「たまたま生き残った私は復讐を決意した。それから私は冒険者となり力をつけて野党を捕まえる事ができた。しかし、私のように苦しんでいる人がいるならもっと多くの人を救いたい。

天国にいる妹に【ヒーローはここにいるぞ!】と届くようなヒーローになると誓ったのだ!!」


 その濃ゆいキャラの裏には深い想いが込められていた。胸が熱くなる。


「グス…良い話アルな」

「うぅ…涙が止まりませんわ」

「ミスター・M殿ーーー!!!! 感動したでござる!!!!!!」


 最初はドン引きしていた女性陣も、次第に距離を縮め、感情を共有する。


 「同士たちよ!! わかってくれて私も嬉しいぞ! そして1つ言い忘れていたのだが…」


 ガサガサッ!!


 「ケケケケケケケケケ!!!!!!」


 霧の奥から、危険度Cランクの魔物【ホブゴブリン】10体と、危険度Aランクの魔物【ゴブリンロード】が姿を現した。


 「死の大森林の由来にはもう1つあり、それなりに高ランクの魔物が多くいるからだ!」


 いや、それを先に言えよ!!!!――と思う間もなく、戦闘態勢に入る。


 「このくらいの魔物なら前衛だけですぐに終わらせるアル!」

 「同感でござるな!」

 「私も戦いましょう」

 「HAHAHA! 正義執行する!」

 「行くぞ!!!」


 ウェル、テンテン、サヤ、ココ、ミスター・Mが魔物たちを迎え撃つ。


 「八極気功拳!!【鉄山靠(てつざんこう)】!!」


 膝を軽く曲げて踏み出し、敵の足を引っ掛け背中で体当たりする技だ。


 「滅魔流(めつまりゅう)魔翔二閃(ましょうにせん)】!!」


 高速抜刀術【魔翔二閃】で斬撃を連続2回放つ。


 「迅剣【波風(なみかぜ)の太刀】」


 ココの剣技【波風の太刀】はしなやかで鋭い斬撃を放つ。


 「正義の鉄槌!!!!! ヒーーーーローーーーーーーーー!!! ナーーーーーーーーックルーーー!!!!!」


 ミスター・Mの腕が黒く硬化し、【ヒーローナックル】として敵を殴打する。


 「HAHAHA!! 悪を滅ぼす固有魔法【メタル】。金属に硬化し鍛え上げられた筋肉は骨をも砕く!」


 固有魔法【メタル】により、攻撃力と防御力が強化されているのだ。


 ホブゴブリンは瞬く間に倒され、残るはゴブリンロードのみ。


 「あとはお前だけだ!! ラーニング3つ同時発動! 【剛剣】【ファイヤブレス】【獣剛腕】。合成!!【獣炎の剛剣】!!」


 ズガーーーーーーン!!!!


 「グオオオオオオオオオオ!!!」


 一撃でゴブリンロードを打ち倒すウェル。


 「HAHAHA!! さすがはウェルくんだ! 危険度Aランクの魔物を一撃とは!!」


 A+2の冒険者の実力に、ミスター・Mも感服する。


 「さぁ! 神殿はもうすぐだ!」


 こうして再び歩を進め、森の奥深くにある神殿へと近づく。


 「これが調査の神殿か…」


 古びた石造りの建物は蔦で覆われ、苔に覆われた柱が歴史の重みを感じさせる。森の湿気が建物の隙間からも染み込み、木漏れ日がかすかに光を差し込む。


 「HAHAHA! 驚いたであろう!! 我々も発見した時もそうであった! これがなんのためにいつ作られたのか全くわかっていない!!」


 先行していた冒険者ギルドも、調査はあまり進んでいないという。目的も用途も不明、謎に満ちた神殿だ。


 「そしてこの神殿が4つあるうちの1つ。火の【イグニス】だ!」


 神殿は四つ存在する。


 火の神殿【イグニス】、風の神殿【アニマ】、水の神殿【アクア】、土の神殿【ソルム】。


 俺たちは今、目の前に立つイグニス神殿の調査を始める。しかし、そこには予想を超えた危険が待ち受けており、全滅の危機が迫っていることを、この時点ではまだ知る由もなかった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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