123.空飛ぶクジラの豪華客船
第8章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
ブルガンリルム王国にある【シーサイドタウン】の港町――。
俺たちが所属する冒険者ギルド【ルミネスゲート】から歩いて30分ほどで、ブルガンリルム王国最大の港町に到着した。
「海だーーーー!!!!」
はしゃぐ美少年と美少女たちの声が港に響く。
Sランククエスト、神殿調査のため、海を渡る手続きを済ませてから港にやってきた。
海の向こうには【死の大森林】が広がり、目的の神殿が四つ点在しているとのこと。
【死の大森林】は隣国ジェノケル王国にあるため、ウェルたちにとって初の国外クエストである。
「国王直々のクエストだから、手続きはすんなり通ったね!」
ブルガンリルム王国の国王ヴィヴィアンが、ウェルたちに国外クエストを直接依頼したのだ。手続きもほぼ完了済みで、さらに船まで用意してくれたという。ありがたや。
「ジェノケル王国は船で行くアルか?」
誰もが当然そう思う。目を凝らしても港には船が見当たらないのだ。
「う、上を観るでござる!!」
サヤの一声で、全員が見上げる。
「な、なんだこれはーーーーーー!?!?!?」
視線の先には、悠然と空を舞う【空飛ぶクジラ】がいた。
「…魔物でござるか…早速退治するでござる」
サヤは抜刀の構えを取り、警戒を示す。魔物なら大惨事は避けられない。
「ま、待ってくださいませ! あ、アレを!!」
リーズが指差す。クジラの背に街があり、人々がこちらに手を振っている。
「おーーーーい!!!」
その声に聞き覚えがある。
「私がこの船【オートンシップ】を手配したジョーディ・ロッドフォードだ」
「(お兄様!!)」
「ジョーディさん!」
リーズは心で、俺は声に出して反応した。国王は公爵家ロッドフォード家に国外移動の手段を手配させていたのだ。
空飛ぶクジラは静かに着陸し、ジョーディさんも俺たちに挨拶に来た。
「初めまして、私はロッドフォード家の次期当主ジョーディ・ロッドフォードという。ウェルくんには世話になったので、公爵家総出で手配した」
ジョーディ・ロッドフォード――リーズの兄で、公爵家の次期当主。
彼もまた愛する妹の暗殺を企てた者たちである闇ギルド【ナハト】と因縁がある。さらに長年仕えた執事も殺されている。
だからこそ、協力を惜しまないのだろう。そしてそれだけでなく、久しぶりに妹の顔が見たかったという理由もあるだろう。
「よろしくなのじゃ!」
俺とリーズだけでなく、テンテンやエリスもジョーディがリーズの兄であることを理解している。サヤにはまだ説明していなかったな。後で話すことにしよう。
普段なら妹の名前を叫びながら飛びつきそうなものだが、さすがに人前では自重しているようだ。
プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル。
めっちゃ耐えてる!?!?!?
プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル…ばっ!!
無言でリーズに飛びつこうとした――耐えきれなかったか!!
ゲシ!!!
「ぷれぺば!?」
リーズの無言の回し蹴りがジョーディさんの顔にクリーンヒット!!
ズザザザザザーーーーっ!!!!
ザッバーン!!!!
ジョーディさんが海に落ちた!!!
えええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?
俺だけでなく全員が驚愕した。
「あら大変ですわ! 公爵家が足を滑らせて海に落ちてしまいましたわ!」
「いや、それムリがある!!!」
思わずツッコミ。
ザバーン!!!
ジョーディさんは自力で海から上がってきた。
「…さぁ、船内へ案内しよう!」
ずぶ濡れのまま、何事もなかったかのように振る舞われても…。
全員がクジラの背中の上に案内される。
「中は凄く豪華アルな!!」
空飛ぶクジラの背にある施設は、巨大なクジラの背とは思えないほど優雅で、木製の床や磨かれた手すり、暖色のランプが並び、豪華な客船そのものだった。
トットットッ。
1人の聖女が歩み寄る。
「お初目にかかります。私はこの海の精霊【ビスマルク】を使役する【カイデナ】と申します。以後よろしくお願い致します」
このクジラは精霊だったのか。言われてみれば霊力を感じる。多分、霊力の使えるリーズもこのクジラが精霊とわかっていたのだろう。
「すごいなぁ。こんな大きなクジラを使役するなんて!」
俺は思わず感嘆の声を漏らす。
「お褒めに預かりありがとうございます。おかげ様でかなり稼げて生活には困りません」
いきなりお金発言!? 聖女の格好でお金の話はすごいギャップだ。
確か霊力を扱える聖女ってトップクラスなんだよな。
それでも副業と生活費が稼げない人もいるのか。
「そうだ! せっかくの豪華客船なのだから、君たちにはこれを貸しだそう」
ずぶ濡れのジョーディさんが着替えを用意してくれた。いや、先にジョーディさんが着替えて!
20分後――。
「おぉ! みんな似合っているよ!」
全員が正装に着替え終わった。
「妾はいつもと変わらんな」
「久しぶりのドレスですわ」
「ドレスとか着慣れないからちょっと恥ずかしいアル」
「この服…ヒラヒラで動きずらいでござる」
「メイド服ばかりでしたが、たまにはこういうのもいいですね」
美女、美少女たちのドレスアップ――。悪くない、いや、凄くいい。
そして、ココの豊満さがいつもより目立つ――おっと、睨まれたのでこの辺にしておこう。
「おや、ウェルくんもかっこよく決まっているよ」
「え? そ、そうですか?」
ジョーディさんの褒め言葉に照れる。
「素敵ですわウェル!」
「…う…うん、かっこいい…アル」
「ま…まぁ…馬子にも衣装じゃな」
褒める美少女たちの微妙な反応に困惑しつつも、俺たちは空の旅を楽しんでいた――。
だが、その時――。
空の上に、魔物の気配が迫りつつあった。
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