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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
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イケメンの内、一人はエッチでした。

 イケメン二人が私に着いて来てくれるこれってもう勝ち組なのでは?って感じでテンションが上がる。

だってさ、片方は剣を持った剣士風のイケメン、キリサキ・ゼンさんで、もう一人はカーティスさん……、こっちは何て言えばいいのかな、雰囲気がエロい、とにかくエッチ!、服装の上からでも分かる細いけど鍛えられた体に、紫色の髪と青い瞳が良い……、でも何だろう髪を降ろしているよりも片方だけ後ろに流した方がもっと……、よしっ!


「族長連れて来たぜ?って……うぉっ!?」

「えっと君は……って何するんだ!」

「ちょ、ちょっと黙って」

「黙ってって君はいったい何なん――」

「静かにして」


 驚いた顔をしている皆を無視して、カーティスさんの左側の髪を手で後ろに流してみる。

うん、やっぱりそうだ、セクシーっ!ナイスセクシーだよカーティスさんっ!、整った顔立ちに切れ長の瞳、細マッチョのエッチな体、そこに髪を後ろに流す事で隠れている耳を全部出して事で……、さっき感じた雰囲気がより一層魅力的になった。

この世界ではどうか分からないけど、元の世界の基準で考えるとコンビニとかに置いてある男性モデル雑誌の表紙に居てもおかしくないものっ!、買った事無いけどっ!。


「ふ、ふひ、ふひひ、エッチですわぁ」

「……な、何だこの人っ!」

「変わった所がありますが、神の娘様ですよ……、ゼンから聞いていませんか?」

「聞いてはいるけど、いきなり人の髪を触る人だなんて聞いて無いよ」

「ね、ねぇっ!あなたカーティスって言うんでしょっ!これからあなたはカーくんねっ!」


 カーティスって名前もかっこいいけど、個人的にこれから一緒に旅をするのなら愛称で呼んだ方がいいと思うから、カーくんって呼びたい。

きっと許してくれると思うし、私は信じてる、だってこの人押しに弱そうだもの。


「キューちゃんに続いて、次はカーくん……、くっやばい」

「ゼン……、あなた何を笑っているのです?」

「あ、い、いや何でもない、何でもないけど、くぅっ!」

「俺が、俺がカーくん?何なんだこの人は……、これが魔神と天神の間に産まれた娘様?」

「そ、そうだけど、カーくん呼びって、い、いや、ですか?」


 読みを間違えてしまったのかな、押しに弱そうだったのに何だか困ったような顔をしてる。

んー、んー?おかしい、異世界転生物ってこういう時相手が私に一目惚れしたりして、こういう時上手く行ったりするものじゃないの?


「い、嫌じゃ……、ない」

「良かったっ!これから宜しくね、カーくんっ!後髪型は今日から私がやったように片側だけ後ろに流して置いてね?」

「わ、分かった」

「ふふ、シャルネ様とカーティスが仲良くなれたみたいで安心致しました」

「仲良くって……、グロウフェレス君それって本気で言ってる……、ぽいなこれ」


 キューちゃんが私達の方を見て笑顔を作ってくれるけど、気付いたら何時の間にかまた眼を閉じてしまっている。

残念だなぁって思うけど、彼の綺麗な瞳を見つめていられるのは私だけって思うとなんか特別感あるからこれでいいのかも?、私だけの宝石の瞳って何か素敵っ!


「取り合えず顔合わせの結果、性格的が相性が良いのが分かりましたから、ゼンとカーティスはもう各々の仕事に戻っていいですよ?」

「も、戻っていいって、私もゼンさんの家に帰っていいの?」

「シャルネ様……、年頃の男性の家に二人きりになる事は魔神様の右腕である私が許しませんよ?、ですので私の家で暫く一緒に暮らしましょう」

「え?、で、でも、私、ゼンさんともっと一緒に居てお話ししたいし……、それにあの汚い部屋を掃除したい」


 正確には掃除して、年頃の男の子が隠しているだろう人に言えない秘密を暴いて、もっと彼の事を知りたいなぁって……。

そんな事を言ったら怒られてしまうと思うけど、多分こう言えばキューちゃんはきっと許してくれるかも?


「……ゼン、あなたまた部屋を散らかしているのですか?」

「お、おぅ……、片してるぞ?」

「ベッドの下に脱ぎ散らかした肌着が何枚か落ちてたよ?」

「お、おまっ!今それを言うのかよっ!」

「で、でも、あの、ほんとの、こと……だし?」


 そんな私達のやり取りを見たカーくんが戸惑った顔をしていたけど、途中で小さく笑ってしまっている。

あ……、その笑顔はヤバい、イケメン過ぎる、笑ってもイケメンとか何なの?って思うけど、この笑顔が旅立つようになったら近くで見れると思うと、幸せかもっ!


「ゼン、出会ったばかりの女性、しかも神の娘様にそんな気遣いをされて恥ずかしくないのですか?」

「しょうがないだろ?、集落の外に出て怪しい人物がいないか見回りするのが忙しかったんだから、現にシャルネをここに連れて来れただろ?」

「それとこれとは別です、シャルネ様……、本当に私の家じゃなくて彼の家でいいのですか?」

「う、うん、私ゼンさんと一緒に住みたい、それにこ、これから一緒に旅に出るなら、相手の事深く知っておいた方がいいでしょ?」

「……確かにそうですね、分かりました許可しますが……、彼から何かされたら直ぐにこの家に来てください、ゼンも若気の至りで間違いを起こさないようにしてくださいね……、もし傷物にするような事がありましたら私が魔神様に変わり、あなたを処刑しますので」

「いや、しねぇよっ!俺はそう言うのは好きになった相手としかしないって決めてんの分かってんだろ?だから信じてくれよぉっ!」


……傷物にってキューちゃんは心配性だなぁって思いつつ、解散になった私達は各々自分の家に帰って行った。

そしてゼンさんの家に着いた後に、彼が私をおいて何処かへ行ってしまい……、暇だなぁって一人寂しくしていると、暫くして大きな猪を仕留めて帰って来て『これを焼いて夕飯にしようぜ』という血まみれのゼンさんを見て言葉を失ってしまう。

もしかして、お世話になる家を間違えたのかもしれない……と思っていると、その予感が当たったみたいで、夕飯は臭みのある食べづらい夕食が出て来るのだった。

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