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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
第三章 薬国での出会い

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旅立ってから……

 栄花から旅立っていったいどれくらいの月日が経過しただろうか。

野営をして皆で美味しいご飯を食べて、寝るまでの間綺麗な星空を眺める日々が続いたけど、一向に『薬国メイディ』に着く気配が見えない。

楽しいけど、何て言うか……遠すぎない?遠すぎるよね?だってさ、野営以外にも道中で町や村によって食料品とかの書いたしをするついでに、泊まれるところを教えてもらったりするけど、そこにはお風呂とかないから汗を流せないのが嫌だ。


「……シャルネ、大丈夫か?」

「んー、お風呂入りたーい、洗濯したーい」

「……この前、川で身体を拭いたり、洗濯しただろ?」

「それはそうだけど、ほら暖かいお風呂に半身浴で浸かったりしたいし、洗濯した服を陽に干してちゃんと乾いたのを着たいなぁって」


 旅の道中で川を見つけて綺麗だったら、そこで洗濯をしたりとかはするけど……洗濯用の洗剤とかはこの世界にはないみたいだから、匂いについては我慢するしかない。

それに……栄花の首都スメラギにいた時に、毎日洗濯をしているとたまたま尋ねに来たセイラさんに話したら


『そんな事をしたら服が直ぐに傷むじゃない!洗濯なんて月に一回か二回で充分よ!』


 と言われた事があるから、この世界ではこれが普通なのかもしれない?

というかそもそも、洗濯をするのに洗剤じゃなくて灰汁とかを溶かした水を使う事に驚いたけど……慣れたらそれ程気にする事は無くなったけど、毎日洗濯をしたせいでゼンさんの家に有った物を全部使いきってしまったのはちょっとだけ悪かったかなぁって反省はしてる、けど綺麗な服を着たかったから後悔はしてない。


「……シャルネ?何処か遠い眼をしてるけど大丈夫かい?」

「カー君、大丈夫だよ?ただちょっとしっかりと洗濯をして、清潔な服をそろそろ着たいなぁって」

「ん?あぁ……そういえば、最近は全然洗濯とか出来てないね、ゼン、ここら辺に川とかあったりするかい?」

「……あるにはあるけど、人が使えるようなところはねぇな、何か混ざってやがる」


 カー君の問いかけに、ゼンさんが耳を澄ますような仕草をした後に遠くを見るような仕草をする。

それで川の場所が分かるんだなぁって関心するけど、何かが混ざってるってどうやって分かったんだろ。

もしかして魔法の力とか?それともこう……ファンタジーあるあるの、気の力がーとかそういうのかな。

そういうのって夢があるって言うか、こういう世界あるあるだと思うから気になるかも。


「ゼンさん、どうやって川の場所とかが分かったの?」

「ん?あぁ……、そっかシャルネは知らなかったっけ?」

「……ゼンさん?」

「魔力を使って身体機能を強化してんだよ」


 魔力を使って身体機能を強化って、それってなんか設定的には良くありそうな感じ。

個人的には気の力でとかの方が良かったけど、これもこれでファンタジーとして成り立ってそうだから、まぁ……妥協範囲かも。

それにしても魔力で強化かぁ、ちょっと面白そう。


「それって私にも使う事って出来る?」

「出来ると思うぞ?ただ……」

「ただ?ゼンさん何かあるの?」

「肉体強化は使い分けが面倒なんだよなぁ、肉体全体を強化する近接系は便利だけど痛覚が鈍くなる以外に特化したものはねぇし、さっきやったみたいに視力や聴覚等の五感を高める斥候系は周囲の感覚に敏感になる変わりに痛みに敏感になるしなぁ」

「痛みに敏感ってどういう事?」


 ……質問をして見たけど、ちょっとだけめんどくさそうな気がして来た。


「例えば足の小指をぶつけた時のあの痛みがあるだろ?あれの酷いのが少しでも怪我をするような事があったら全身に来るような感じだよ」

「……想像するだけで嫌かも」

「だろ?けど良いところもあってさ、運動神経も強化されるから全体的に動きが早くなるおかげで逃げるのには使えるな、後はまぁ……視力と腕力に指先の器用さをとにかく強化する狙撃特化もあるっちゃあ……ある」

「何それ、遠距離から弓とかで攻撃とか?」

「……そんな感じだけど、シャルネには向かないと思うから止めといた方がいいと思うぞ?」


 ……止めといた方がいいって言われると逆にやってみたいと思ってしまう。

だって、頑張って才能が無い部分を伸ばして一流になるとかって凄いかっこよくない?努力をする主人公みたいでいいよね?そう思わない?思うよね。

それに下心がある訳じゃないんだけど、ゼンさんに手取り足取り色々と教えて貰って今よりも親密な関係になれたらなぁって。


「でもちょっとやってみたいかも」

「あぁ、そこまで言うならメイディに着いたら教えてやるよ、ただ……安全が確保出来たらだけどな」

「うん、よろしくねゼンさん!」

「……楽しそうに話してるところ悪いんだけど、メイディに着く前に一度身体を清めて綺麗にした方がいいかもしれないね」


……清めた方が良いと言われても、さっきゼンさんが人が使える水は無いって言ってたんだけど?っておもってカー君の方を見ると、急に私の頭に手を置いて『これは俺の奥さん達の一人に教わったんだけど、【奇跡】と言われていてね、ほらこうやって魔力を一か所に集めて身体や服の汚れを綺麗にするようにイメージをするんだ』というと、身体が光に包まれて行く。

そして、全身を覆っていた魔力が輝きを失うと、服の汚れとかが全て綺麗になくなっていて……、こんな便利な事が出来るなら最初からやれと言いたくなるのだった。

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