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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
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暴食と施し

 取り合えずこの炎に当たっても暑いだけで怪我をしないみたいだからどうしようかな……

私は武器を持っていないからどうやって戦えばいいか分からないし、これってもしかして最初からクライマックスって奴なのでは……、いやでも天神さんと魔神さんが作った身体だから何かしらの能力がある筈だ……、あるよね?。


「シャルネ様、試しに相手を攻撃するイメージをしながら魔神様の羽が生えてる方の腕で炎を殴ってみてください」


 相手を攻撃するイメージって、私今迄相手を殴った事も無ければ蹴った事すらないのにどうやって相手に危害を加えろっていうの……?、取り合えずこうていっ!って感じではたくようにしてみたらいいのかな、取り合えずやってみよう。


「え、えいっ!」

「おぉ、これはっ!」


 左手に触れた炎が一瞬にして塵になって消える。

それはまるで今迄そこにあった物を否定するような感覚で、ここにあった物を世界から消してしまうかのような感触で、更に例えるなら存在を喰らってしまったような食感があった。

何だろうこれ……、どういえばいいのか分からないけど、私の中から謎の活力が満ちて来て気持ち悪い。


「あ、あのこれ……わ、わたし!?」

「シャルネ様が今行なったのは暴食の腕によるエナジードレインです、その腕で相手に攻撃をするイメージをしながら触れる事で相手の生命力を一方的に奪う事が出来ます、魔力を使った攻撃の場合はその術に込められた魔力を吸収出来るという事ですね」

「キューちゃん、それだと右の天使の羽が生えた方だと何が出来るの……?」

「そちらの方だとそうですね……、相手に攻撃するイメージをしながら私を右腕で殴ってみてください」

「いいの……?」

「どうぞ、そうしないと戦闘の指導にならないので」


 取り合えず言われた通り右腕でキューちゃんを殴ってみる。

すると今度は私の中から何かが出て行く感覚があり、大切な物が身体の中から失われていく不快感、そして視界が明滅して立つことが出来なくなる。

うえぇ、凄い気持ち悪い、何て言えばいいんだろう頭の中をミキサーでかき混ぜられて、その後に内側から圧迫される感じ?、とにかく無理気持ち悪い。


「な、なにこれ……」

「今行なったのは施しの腕です、シャルネ様の中にある生命力を相手に渡す事で傷を癒す事が出来ます……、ただ使い過ぎるとご自身の命を使い果たしてしまうのでご注意ください」

「そ、そんなのどうやって戦いに役立てろっていうの……?」

「暴食の腕で敵の生命力を奪い、施しの腕で奪った生命力を使い味方を癒すという方法が考えられますね」

「な、るほど?」



 つまり暴食の腕を使う事で私の生命力を回復させて、余った分を回復に回せば良いのでは、それってもしかしてだけど私って凄い強いのでは?、使い方を間違えなければ怪我をしても直ぐに回復出来るし、ゼンさんやカーティスさんだっけ?その人が傷付いたら治してあげられる。

まるで攻撃と回復が両方できる勇者様だっ!、つまり物語で例えると主人公、私ってかなり偉いっ!。

でも戦闘に負けたらきっと、おぉシャルネよ負けてしまうとは……とか言われちゃうんだろうなぁ、それだけは嫌だなぁ。


「ただこの施しの腕、怪我がない物に使うと過剰な回復を起こしてしまうらしいのでご注意ください」

「過剰な回復?」

「えぇ、回復をし過ぎると逆に体がダメージを受けてしまう状態になるので非常に危険ですから止めてくださいね?」

「は、はい」


 むしろそれって凄い強いんじゃないかな、相手がぎりぎり死なないラインで過剰回復をさせてダメージを与えつつ、暴食の腕で生命力を吸い続ければどんな相手も従順になりそうな気がするけど、これってやっては行けない事?だって悪い神様達と戦うならこれって凄い使えると思うし、何よりも無理に殺さなくても私の言う事を聞くようにすれば平和だよね。

あれ?もしかして私って頭が良い?、照れるなぁ……、あっちの世界の経験がこっちでも生きちゃうの偉いなぁ。

だって私がそうだったもの、子供の頃は死なないぎりぎりのラインで生かされて言う事を気かされて奪われて来たから、それがどれくらい効果がある事かをちゃんと理解してる。

こういうのってさ、やった方は全然覚えてないけどやられた方がしっかりと身体と心で覚えてるから、どうすれば相手に効果的な行動が出来るかも分かるんだ。


「とりあえず今日の戦闘の指導はここまでにしましょう、取り合えず羽をしまうイメージをゆっくりとしてみてください」

「え、えっと……」


 言われた通りにして見ると、背中と頭にあった羽の色が薄くなって行き、空気に溶けるように消えてしまう。

あぁ、私の綺麗でかっこいい羽が、出来ればずっと出しておきたいのに何でしまわなきゃいけないんだろ。

世界を旅するのに目立つからダメなの?、もしそうだったら私の姿を見てからかってくる人達全員、暴食の腕で痛めつけて分からせてあげるのにっ!


「おや?、彼の方も丁度良いタイミングだったみたいですね、カーティスを連れて来たみたいですよ?」

「ほ、ほんとですか?」


……キューちゃんが見ているだろう場所を見ると、チョコレートブラウンの髪色の男性と薄紫色の髪の人がこっちに歩いてくる。

えっと遠目で良く分からないけど前者がゼンさんで、後者がカーティスさんなのかな。

良かった私が思っていたように二人共イケメンだっ!、これでイケメンと美少女の理想的なパーティーが作れるねっ!

そんな事を思って心を躍らせながら私は彼等がこっちに来るのを待つのだった。

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