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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
第二章 修行、そして旅に出る

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森へ訓練に

 翌日、何時ものように朝からゼンさんへと挑戦しに来た人達を倒して有り金を巻き上げてる最中にカー君が荷物を持ってやって来て……


「思ったよりも広くて住みやすそうだね」

「そうか?俺からしたら戦って飯食って寝るだけの馬車だから、そうとは思わねぇけど?」

「敷地に対して建物は確かに大きさが見合ってない気がするけど、俺からしたらテントを張れるスペースがあるなら充分だよ」

「へぇ……まぁそんなもんか?」

「そんなもんだよ」


 そう言うと外の調理場の近くにテントを張り始める。

あそこは……幽霊さんの場所なのに勝手にそんな事していいのかなって焦ったけど、驚いた様子で出て来た彼女がカー君の姿を見て、首が無いのに照れたような仕草を見せた辺り問題無いのかもしれない。

こういう時……イケメンって便利だよねって思うけど、世の中不公平だなぁって感じ、だってさ、容姿は生まれ持った物でそう簡単に変えられ無いのに、顔の良し悪しで人によっては露骨に対応が変わるんだもの、もはや不公平を超えて理不尽じゃないかな。


「さて……三人揃ったし行くぞ?」

「行くって何処に行くの?」

「あ?そりゃあ勿論……狩りだよ、人間よりも身体能力や咄嗟の判断力高い動物達を狩った方が良い訓練になるからな」

「なるほどね……、確かにそれならシャルネには良い経験になりそうだ」

「だろ?それに……首都の外には好戦的な奴らが潜んでたりするからな、あいつらはこんなご時世でも躊躇なく人を殺したり出来る奴等だし、とはいえ滅多に人前には出て来ないけどさ……もし運悪く奴等と遭遇出来たら良い実戦経験を積めるぜ?」


 ……私知ってる、こういう時って言葉にするとフラグが成立して、その運悪くの部分が確実に起きるって事になる。


「……えっと、それなら何かお弁当とか用意した方がいい?」

「いや、食い物は現地で調達するからんなもんはいらねぇよ、武器だけ持っていけば充分だ」

「あ、うん……そういえばカー君って武器を持ってるところ見た事無いけど、どういうのを使うの?」

「……ん?あぁ、そうだね、該当するような物を使った記憶が無いからどうしようか」

「お前は集落にいた時、人間用の農具を使ってたからそれでも使ってろよ」


 ゼンさんがそう言うと、その発想があったかみたいな顔をしたカー君がお財布を取り出す。


「それなら向かう道中で適当な農具を買うよ」

「ならさっさと行こうぜ?」

「農具を武器って、私の大鎌よりも意表を付けるんじゃ……」

「……ん?あぁ、そうかもしれねぇけど相手の意表を付く方法が複数あっても別にいいだろ?」

「……えぇ?」


 そんなやり取りをしながら皆で家を出ると、そのまま首都の外へと向かう。

その道中で見つけた農具専門のお店でカー君が、まるで幼い子供がするような表情をあのイケメンに浮かべながら様々な農具を物色し始めたかと思うと、先端が剣のように鋭く尖った柄の長いスコップを手に取ると……


「このスコップの先端を剣のように鋭くして欲しい」

「……は?」

「だから、先端を鋭くして欲しいんだ……ダメかな」

「あの、えっと……ここは農具専門店で武器やじゃないんで」

「そうだよね……無理なお願いをして悪かったよ、じゃあこれを複数本買わせて貰うね」


 という無茶ぶりをして複数本の同じ長さのスコップを購入して、空間が拡張されているバッグの中へとしまっていく。

それを見た店員さんが驚いたような顔をして、バッグを見ていたけど何も知らなかったらあんな大きな物が入るとは思わないだろうからしょうがない気がする。

そんなこんなでお店を出るとそのまま首都を出て近くの森へと向かうと……


「カーティスお前さ……そのスコップの先端を鋭くして欲しいって何するつもりだよ」

「ん?あぁ……こういう農具って先端が予め鋭くなってて硬い地面を耕したり、木の根を切るのに使うのだけれど、もっと肉厚にして剣のように鋭く出来たら便利じゃないかなぁって」

「それもう……スコップじゃなくて槍や薙刀じゃねぇか?」

「あぁ、ほら剣のように鋭かったら刺したり切ったり出来るし、打撃とかも色々出来るかなって」


 ゼンさんが周囲を警戒する仕草をしながらそう言うけど、確か……スコップって最強の近接武器だって言われてるのを昔インターネットの記事で読んだ事がある気がする。

だから結構強いと思うんだけどな……


「スコップって武器として使うと凄い強いんじゃない?」

「シャルネ……馬鹿言うな、戦闘訓練を受けてない奴等どうして使うなら確かに強いだろうけど、ナイフの方が武器としては優れてるぞ?」

「へぇ……?」

「柄の長い武器の内側に入り込まれた際にどうしても不利になるし、武器として使える部分が刃の部分しかない、それにナイフの軽さや使い勝手の良さ……それに何よりも出来る事が多い」

「じゃあ……カー君がスコップを武器にしたのって間違いだったって事?」


……思わずゼンさんに聞いてしまったけど、『いや?むしろ農具を武器にするなら全部使った方が良くないか?スコップやクワ、スギ、ナタや斧、状況に合わせて使えるなら面白そうだ』と言い出して、それならカー君が農具を買う前に言えと言いたくなるのだった。

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