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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
箱庭へ

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33/73

セイラとゼン

 お茶を飲みお会計を終えて家に帰る最中……。


「あなた……、あなたねぇ!」


 前方から大きな女性の声が聞こえたかと思ったら、銀色の髪にかわいらしい淡いピンク色の髪をした短い髪の女性がいた。

ただ……それだけならまだ良かったけど、個人的に見逃せない事があって


「ち、痴女の女の子だぁっ!」

「ち、痴女ぉ!?」


 ノースリーブの着物は多分横から見たら、見えてはいけない部分が見えそうだから手を突っ込みたい。

あの腕が出ている場所に隙間が空いてるという事は手を突っ込んでもいいという事だと思う、間違いなくそうな筈っ!。

更にはスカートっ!太ももが見える位に短くて屈んだりしたらもっと見せてはいけない所が見えてしまう筈っ、若い女の子がそんな恥ずかしいかっこをするなんてさっすがファンタジーだよね。

いやね?首都にファンタジー世界なのに露出の少ない服装の人達ばかりで勿体無いと思ってたの。

だってそうじゃない?私の知ってるのって女の子がこんな恥ずかしいかっこしてたりするし、あ、でも今はそれよりも


「ふ、ふひ……み、見える前にわ、わた、私で隠さなきゃ!」

「は?え!?……な、何この人!?急に抱き着いて来て頭おかしいんだけど!」

「ち、痴女さんがそんな恥ずかしいかっこ、してるからっ!」

「そんな事されたら脱げるから止めてっ!」


 脱げるなら尚の事私で隠さないとって思うじゃない。

こんな時にゼンさんは何をやってるの?、どう見てもさっきあなたの事指差してたから知り合いの筈だよね。

それならこんな腕を全部出して露出度が高い服装をしてるんだから、上着でもなんでもいいから渡して羽織らせてあげて欲しいな……。


「ゼンさん、なんでこの人に上着の一つや二つ、いや着てる物全部羽織らせてあげないの!?」

「ばっか、全部渡したら俺が全裸になるだろうが」

「じゃあ、上に着てるの全部でいいから!」

「だ、誰がこんな野蛮人の匂いがついた服を着なきゃいけないのよ!?っていうかあなた誰?ゼンとはどういう関係なの?」

「……え?わ、わた、し?」


 抱き着いてる私を必死に剝がそうとしながら、どんな関係かと言われるけど……私達の関係は旅をしてる仲間な気がする。


「お、おなじ目的で……た。たびをしてるなか、ま?」

「あぁ……保護者と保護対象みたいな感じだな」

「え?つまり……私が保護者?」

「いや、俺とカーティスが保護者だろうが」

「へぇ……随分仲が良いのね、あ、あとあなた、涎を垂らすのをやめなさい、私の脚が汚れて気持ち悪いんだけど!」


 あ……つい太ももの感触が気持ち良すぎて涎が、これ以上女の子の肌を汚すわけには行かないから名残惜しいけど離れる。

それにしても本当に露出が凄いなぁ、でもこの人って誰なんだろ。


「ご、ごめ……なさ」

「何よあなた、ゼンと話す時とは違って妙に大人しいじゃない」

「え、あ……へひ」

「あぁ……こいつは初対面の相手だと人見知りが酷くてさ、セイラからしたら気に入らないタイプだと思うけど大目に見てくれると助かる」

「確かに私はうじうじしてるタイプは嫌いだけど……それにしても凄い美人な人ね、肌もきめ細やかだし髪の毛も絹みたい、それに顔つきもだけどまるでお人形みたいに整って凄いんだけど、さっきのヤバい顔をみちゃったせいで見た目が良いのに印象は最悪だわ」


 ……見た目をほめてくれるのは嬉しいけど、行動のせいで印象が最悪ってそんなに変な事しちゃったかな。

だってあんな服装してたらお姉ちゃん心配になるし、抱き着いたら良い匂いがしたし……脚はぷにぷにして触り心地が良くて最高だったから、こうなるのはしょうがないと思うんだよね。

でも謝った方がいいと思うから、ちゃんと謝罪しよう。


「え、えっと……ごめんね?」

「別にいいわ、ところであなたの名前は何ていうの?私はセイラ、聖の羅と書いてセイラって読むの、姓はあるけど名乗る程でも無いわ」

「まぁ、おめぇには似合ってねぇからなぁ」

「あんたは良いわよね、斬に裂と書いてキリサキだもの……見た目と性格に合ってていいじゃない、私なんて清楚な性格して無いのにあんな苗字よ?いい加減にして欲しいわね」

「……あの、えっと、私のな、まえ」


 目の前で仲良く話し始めるせいで、全然名前を言う事が出来ない。

ちゃんとシャルネ・ヘイルーンですって言いたいのにタイミングが無い、ダメだ何か疎外感を感じて泣いちゃいそう。


「ん?あぁ、わりぃシャルネ、だからそんな顔をすんな」

「ご、ごめんね?別にあなたを無視するつもりは無かったの、ゼン!あなたが割り込んで来たからよ?」

「ば、俺のせいかよ……、いやわりぃ俺のせいだよな」

「ね?この戦闘馬鹿がこう言ってるから、名前を教えて?」

「シャ、シャルネ・ヘイルーン……です」


……私が名前を言うとセイラさんが驚いたような顔をして『あ、あなたがマチザワが言ってたシャルネさんなのね?』と言いながら私の手を掴む。

一瞬の出来事で何が起きたのか分からないで体が竦んでしまうけど『あなたの名前を聞いて用事を思い出したわ……、首都に戻って来たのにいつまでも顔を出そうとしない、そこの馬鹿とシャルネさんをプリムラスグロリア様の所に連れて来るように言われてたのよ、だから行くわよ?』と笑顔で笑いながら言うセイラさんを見て、私はこの子可愛いなぁという事しか考えられなくなるのだった。

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