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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
箱庭へ

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32/73

巻き上げたお金で

 あの後、ゼンさんへの挑戦者さんがどうなったのかというと……一方的にぼこぼこにされて、金品を巻き上げられて敷地外に捨てられていた。

その光景を見て最初は可哀そうに思ったけど、次の日もそのまた次の日もと同じように他の人が挑戦してきては金目の物を取られているのを見ていたら、馴れてしまった。

そして今は……


「どうだ?これが桜団子美味いだろ?」

「……美味しいけど人から巻き上げたお金で食べていいのかな」

「いいんだよ、昔から俺に挑む奴は負けたら金目の物を差し出す事になってるからな」


 そう言う事ならしょうがないと思うんだけど、それよりもゼンさんに連れて来て貰ったお店で食べている桜団子の味が気になる。

正直に言うと何ていうかあんまり美味しくない、、いや?この世界基準で考えたら美味しいのかもとは思うけど、転生前にいた世界のお菓子が美味しすぎたのが原因なのかもしれない。

だってさ、コンビニで食べれるスイーツとかちょっとだけ高いなぁって思う事あったけど月に一回の自分のご褒美で買って食べると……あんなに凄い美味しかったんだよ?、それと色は桜色で綺麗だけど中に、乾燥してちょっとだけ固くなった甘い餡子、想像と違い過ぎて物足りない気持ちが多すぎる。


「あ、そういえば……気になったんだけどどうしてあの幽霊さんは死んでアンデッドになったの?」

「ん?あぁ、あいつは不慮の事故っつうか何っていうかなぁ……、同じように俺に挑んで来たのは良いんだけど、打ち所が悪すぎて死んじまったんだよなぁ」

「……そんな死に方をしたのに何でゼンさんの面倒を見てくれるんだろうね?」

「それに関しては俺も最初は気になったけど、今はどうでもいいかなぁ……ほらあいつ男剣士だろ?多分だけど自分よりも強い奴に仕えるとかそんな感じなんじゃねぇかな」


 ……男剣士?あの姿はどう見ても女性なんだけど、もしかしてゼンさん勘違いしてる?

もしそうだったら何か幽霊さんが可哀そうかもって思うけど、この人の事だから深く気にしなさそうだなぁ。


「それにしてもここ数日やけにあのアンデッドの事気に掛けるな、どうしたんだ?」

「実は……旅に着いて来てくれたらなぁって、ほらちゃんとした料理が出来るの私くらいでしょ?」

「……料理?それなら別に俺やカーティスでも出来んだろ?」

「カー君ともかく、ゼンさんのあれは料理とは言えない気がするなぁ、ほら基本味付けしないでお肉を焼いて食べるだけなのはちょっと……」

「ん?いや、食えれば良くねぇか?確かにシャルネのように味付けすればもっと美味くなるけどさ、そういう手間をかけるのは俺には合わねぇよ」


 そんな自慢気に言われてもなぁとは思うけど、ゼンさんに合わないのは確かだから何とも言えない。


「……だから幽霊さんにも来て欲しいなって」

「いや、それは無理だと思うぞ?あいつはあの家に憑いてるからな……ほらあの血の付いた壁を見たろ?」

「それならあの血が付いてるところを持っていけばいいんじゃない?」

「あぁ……どうだろうな、やった事ないから分かんねぇけど首都を出る時に試してみるか」

「うん、お願いね?」


 家に憑いてる幽霊さんが壁の一部を剥がして持ってくるだけで、本当についてくるのかなって言う疑問はあるけど、これで来てくれるならこれから先の旅が少し楽になるかなぁ。

……でも、私があの家でご飯を作ってると毎回隣に現れて、あれこれ指示を出して来るから姑さんみたい。

あ、そういえばこの前の事はちゃんと謝って、それ以降何かある時は筆談でやり取りするようになったけど、もはや内容がゼンさんの好きな味付けから手軽に作れる質よりも量を優先した物になってるあたり……何か吹っ切れたのかも。


「あ、そういえばゼンさん」

「ん?どうした?」

「私達っていつマチザワさんの所に行って、プリムラグロリアスっていう神様に会うの?待たせ過ぎるのは良くないと思うんだけど」

「あぁ、そんな直ぐじゃなくていいんじゃね?、ほら屋根に目印をつけてっからそのうちマチザワ達も気付くだろうし……そのうち迎えに来るだろ?だからその間ゆっくり休もうぜ?」


 私としては旅の疲れを癒したいからゆっくり出来るなら嬉しいけど……、人を待たせてるんだから早く行ってあげた方がいいと思うんだけどなぁ。

そう思いながらお店に出して貰ったお茶を飲むけど、こっちは桜団子とは違って美味しい。

もしかしてだけど……お茶と一緒に食べたらもっと美味しかったのかも?


「ゆっくりって……迷惑かけたりしない?大丈夫?」

「大丈夫も何も日付の指定をしなかったあっちが悪いんだろ?……それにだ、一度俺達は捕まって投獄されてんだぞ?どんな奴が捕まって脱獄したか特徴が上に報告されてるだろうし、直ぐに来んだろ……けど今はそれ以上に探さなきゃいけねぇ奴もいるしな」

「探さなきゃいけない人?」

「カーティスだよ、あいつ俺達と離れてから一向に合流する気配がねぇだろ?自分の女を安全な場所に移したいっていうのは分かるけど、何やってんだ?」


……確かに、カー君と分かれてから三日位立ってるのに未だに何の連絡が無いのっておかしい気がする。

ゼンさんの家なら大きくて目立つし、目印を付けてから直ぐに人が尋ねに来るって事は首都の中で帰って来てると噂になってるんだと思う。

それなら何で合流しに来ないのだろうか、もしかして何かあったんじゃないかと不安になりつつお茶を飲み干すのだった。

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