表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
箱庭へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/73

そして脱獄してしまいました

 壁が塵になるなんて何をしたらそんな超常現象が起きるのか……、剣と魔法のファンタジー世界じゃないのにって一瞬思ったけど、この世界が元居た世界とは違うそのファンタジーな世界だよと一人で勝手に悩んで冷静になる。


「なにぼさっとしてんだシャルネ、行くぞ!」

「うん……って、ゼンさん!?何で私を抱きかかえるの?私重いよ!?」

「何でってそりゃあ、この首都の地理に詳しい俺がシャルネを運んだ方がいいだろ?」


 理屈は分かるけど何でお米様だっこ!?出来ればお姫様、お姫様扱いでお願いします!。

ほら私魔神と天神の間に生まれた特殊な存在でしょ?しかも二つの種族が跪く程の……、つまり私はお姫様、そうプリンセスだから運ぶなら特別扱いして欲しいんだけど!?、こう何ていうか大切に扱って欲しいなぁって……でもそれよりも詰所を出た私達を首都の人達が指を指して見ているけどその視線の先がどう見ても……


「私スカート履いてるから、中が下着!みえっ!」

「こんなん気にする暇ないだろ、それにそんなフリフリなスカートの服を着てるからだろ?」

「これは……お父様とお母様の趣味で私の好みじゃ……かわいいけど!」

「かわいいって気に入ってんじゃねぇか!まぁ似合ってるのは分かるけどな」

「かわいい!?え、あっ、ありがとう!」


 かわいいって言われた……嬉しいっ!でもやっぱりお米様抱っこは恥ずかしいからやだ。

そんな事を思っても間にも周りの景色が変わって行き人ごみのない場所に出ると、ゆっくりを私を降ろして……


「ここまで来たら大丈夫だろ……、それにしても外はあんな壁が出来たけど中はなんも変わってなくて良かったな、おかげで迷わずにここまでこれたしよ」

「それは良かったね……、でも私は色んな人に恥ずかしいところ見られて嫌な思いしたけど」

「あぁもう悪かったって、今度何か美味い物食わしてやるから機嫌治してくれよ」

「……美味しいのって?」

「この首都には【桜団子】っていうのがあってさ、栄花の神【プリムラスグロリア】の象徴である桜を使った団子なんだけどさ結構美味しいらしいぞ?」


 美味しいらしいぞって……食べた事ないのに勧めるのかな。

でも元居た世界でも桜色の花見団子とかあったから同じような物なのかも?、それにこの静かな場所に来て思うけど、遠くに大きな神社みたいなものがあるし……もしかしたらこの国は私が居た世界の古い時代に近いのかもしれない。


「……なら沢山食べるけどいい?」

「あぁ、まぁ手持ちの金はあんまりないけど俺なら充分に稼げる自信があるから食わせてやるよ」

「稼げるって何をするの?」

「腕試しだよ、俺はここでは三英傑と呼ばれてるからな顔は知られてるし、俺達を倒して名を上げようという奴らもいる……、まぁ外の様子を見ると問題起こしたらめんどくさい事になりそうだからな、場所を選んだ方が良いかもしれないな、例えば俺の家を使うとかな」


 ゼンさんの家が首都にのあるって……


「首都を出て集落に引っ越したんだから……もう誰か住んでるんじゃ?」

「いや、マチザワやセイラの事だからいつ俺が戻って来ても良いようにしてくれてる筈だぜ?」

「……そうなんだ?」

「あぁ、何だかんだ一緒に戦ったり飯を食ったりした仲だからな、あいつ等のする事は分かるんだよ、んじゃとりあえず移動するぞ?」


 ゼンさんが歩き出すのに合わせて隣を歩くけど、時折隣を見て歩く速度を合わせてくれる。

こういうところ優しくて良いなぁって思うけど、普段の行動とのギャップが違い過ぎてちょっと笑いそうになっちゃう。

だってどう見ても俺に着いてこいっていう性格をしてるのに、何だかんだちゃんと周囲を確認して周りに合わせようとしてくれるんだもん、何ていうかちょっとつんつんした性格の犬?いやでも雰囲気的にはワイルドなところがあるから狼っぽいかも……


「へぇ……なんか良いねそういうの」

「そうか?……まぁ、これから先旅を続けるうちに俺達もそうなるだろ」

「うん、そうなりたいね……、あっ!そういえば取られちゃった武器取り返して無いけど大丈夫なの?」

「ん?あれは安物の量産品だから別にいいよ、むしろ俺には心器があるからな」


 そう言って二本の剣をまた何処からか取り出す。


「……心器?」

「ん?あぁ知らないのか、心器っていうのはそうだなぁ魔力で作った武器みたいな感じだな、自分の心の中で思い描いた物に魔力で形を作って使い慣れた武器や道具にする魔法だな」

「何それ凄い便利そう、ファンタジーって感じがする!」

「ファンタジー?何を言ってるか分からないけど、そんな便利なもんじゃないぞ?性能は術者の精神状況で変わるし、心が弱い奴が使ったら直ぐに壊れちまう、しかも壊れたら魔力そのものがダメージとして術者に戻って死んじまうからな、正直戦い馴れた奴以外が持つもんじゃないな、そういう意味ではシャルネは使わない方がいいと思うぞ?ほらおまえ直ぐに精神面ぶれるしさ」


……かっこいいから使ってみたいと思ったんだけど、そう言われたら使わない方がいいかも、あ、でもゼンさんが心器を出す時の感じ何だかあれに似てるかも、ほら背中から翼を出す時の感覚、あれとそっくりな気がする。

ゼンさんとお揃いの能力って特別感あっていいかもとニヤニヤとしていると『ほら見えて来たぜ?ここが首都での俺の家だ』とゼンさんが広い道場のような建物に向けて指を指すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ