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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
箱庭へ

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26/73

首都に着いたら……

 皆で朝ご飯を食べた後、ダニエラさんの体調に気を付けながら少しずつ進んで行く事になったけど……その間に特に何かがある事も無く平和な旅が数日続いた。

今は森とかを抜けて人が通る為に作られただろう、周囲が木の柵で覆われたりしている街道みたいな場所を歩いているけど……


「シャルネ、もうすぐ首都に着くからそうしたら宿を取って休めるぞ?」

「うん……」


 以前立ち寄った町でゆっくり休めると思ったけどあんなことになったし、首都って言われても同じような事になる気がして不安になる。


「シャルネさん、首都は地方の町と比べて治安も良いらしいし法もちゃんとしてるみたいだから安心出来ると思うよ?」

「あ、あの、えっと……はい、そ、そうだと、いい……な?」

「全然私に馴れてくれないのね……まぁいいけど」


 馴れないんじゃなくて、こう妊婦さんに対してどう対応すればいいのか分からないだけなんだよね。

こう……カー君みたいにスマートな対応や気遣いが出来るなら良いんだろうけど、私が距離感間違えたりしたり、何等かで興奮して背中から翼が出てしまった時に触れてしまったらやだなぁって……、それならちょっとだけ距離を取っておいた方がいい気がするし、難しいっていうか……。


「そん、な……事ないよ?だって、ご飯美味しいし……」

「そういえばあなただけ人一倍ご飯を食べてたわね……、太るよ?」

「び、美少女は、ふと、らないんですぅ!」

「美少女なのは認めるけど、自分で言うのは止めなさい痛いから……、ほんっと見た目はこんなに綺麗なのに凄い残念よねあなたって、この前はスプーンとフォークを見て何を考えてるのか、緩み切った顔して涎垂らしてるし……」

「そ、それは……わー!なんでもないの!わーわー!」


 あの時はただ、この世界に来て二次元の作品に触れる事が無くなってしまったから、ちょっと特殊なカップリングの妄想をしてただけで、緩んで何てなかった筈なのにおかしいな……。

スプーンをカー君、フォークをゼンさんに見立てて脳内でアニメーションさせてただけであって、何もおかしい事はしていない筈、むしろ健全!私間違えてないよね。


「ふふ、そういうところはかわいいのと思うわよ?」

「あ、ありがとうござい、ます?」

「さ、見えて来たわよ?ここが栄花の首都スメラギ、この国で一番栄えそして花のように美しい場所よ」

「わ、わぁ……すごい」


 私が最初に訪れた集落や町とは違って、周囲を石の壁で覆われた立派な城塞都市が目の前に現れる。

そして入り口に当たるところには武装した人達が沢山いて首都に入ろうとしている人達を監視しているのが見えて、ちょっと怖い。


「へぇ、凄いね……、首都に来た事なかったけどここまで立派な場所だとは思わなかったよ」

「大分変わったなぁ、俺が居た時はまだこんな立派な物なかったから驚いたわ」

「ここにマチザワさんがいるんだね……、それにゼンさんも前までいた場所……つまり里帰り?」

「里帰りって程でもないけどな……、俺はただ強い相手と戦いだけだったから故郷って言うよりも雇われ先みたいなもんかな」


 あぁ……という事はゼンさんからしたら、前の職場に顔を出したようなものなのかな……。

私が同じ立場になったらと思うと嫌だなぁ……、正直会社を辞めるってなったら良い印象を持たれる退職の仕方を出来る自信が無いから、こういう時どう反応すればいいのか分からないなぁ。


「んー……なんかごめんね?」

「何謝ってんだ?……まぁいいけど、とりあえずあそこの列に並ばないとな、あれを見る限り並んで門に入らないといけないみたいだしさ」

「うん、あ……でも長い間待つってなったらダニエラさんの体調は大丈夫なのかな」

「あぁ、それなら俺が背負うから大丈夫だよ、ダニエラ……おいで」

「はい……カーティス様」


 カー君がバッグの中から背負子を取り出すと優しくダニエラさんを座らせて、動かないように固定するとゆっくりと立ち上がる。

ここまでの道中も歩くのが辛そうになった時に、こうしていたけど……何ていうか用意がいいなぁって思いながら列に並ぶけど、何だか変な視線を感じてしまう。


「……なんか視線を感じるんだけど」

「そりゃ、こんな美少女が来たらなぁ……」

「もしかして私のせい?」

「一度周囲の声に耳を傾けてみろよ」


 言われるがままに周囲の声を聴こうとして意識を集中してみると……


『あの綺麗な子は何処のお貴族様だ?』

『……本当に綺麗な子だな、それに隣にいる戦士も手練れだしこれはどこかの国のお姫様かもしらないぞ?』

『お姫さまって五大国の王族って事か?あの神達の言いなりになってる奴らがここに来るわけないだろ』

『あれが……シャルネ・ヘイルーン、俺達の抹殺対象……見つけた』

『な?あんたいきなり武器を取り出して……、そこの綺麗な嬢ちゃん逃げろ!』


 ……何か毒々しい色の液体が付いた剣を持った黒いフードの人が走ってこっちに来る。

あれ?この流れ集落でも似たような事があった気がするんだけど……と思って見ていると『抹殺対象だか何だか知らないが、こんなところで武器を出すなんて良くねぇな!』とゼンさんが私の前に出て一瞬で相手を組み伏せるのだった。

 

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