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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
箱庭へ

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気まずい会話

テントが組み立て終わると、カー君が少しだけここで待つように言ってどこかへと言ってしまう。


「あ、あの……」

「ひっ!」

「ご、ごめんなさい」


 黙ったままだと気まずいから一緒に逃げて来た妊婦さんに話しかけてみるけど、怖がられてしまって更に気まずくなる。

えぇ……ちょっとこういう時どうすればいいの?、カーくんみたいに気さくな対応出来ないし、ゼンさんみたいに誰かを引っ張れるわけじゃないから悩んじゃうけど、私に出来る事って何かな……。


「……謝らないでいいわ」

「えっと、ごめんなさい」

「だから謝らないでいいって言ってるでしょ?、聞きたいことがあるんだけどいい?」

「聞きた……いこと?」

「えぇ……さっきの方って親って言ってたけど、結婚してるの?」


 もしかしてだけどカーくんの事を聞きたいのかな、やっぱり助けて貰った時の反応的に一目惚れとかしちゃったのかなって思ったけど、まさかとはねぇ。

いやぁ、イケメンってこういう時得だなぁって思うけど……、既に沢山の奥さんがいて数えきれないくらいの子供がいるから、望みは薄いと思うけどなぁ。


「し、してるよ?……それ、に沢山の奥さんとこど、もがいる、よ?」

「そうなの……、普通は奥さんは一人だけどあんなに素敵な方だとやっぱり常識では測れないのね」

「え、あ、そ、そうだね」

「決めたわ、私この子を産んだら……あのお方の奥さんの一人になるわ!」


 嬉しそうにそういう妊婦さんの顔を町から上がった炎が照らし出す。

一瞬驚いてびくってしてしまうけど、ゼンさんちょっと暴れすぎじゃないかな……


「本当に町が消えるのね」

「……なん、でうれ、しそうなの?」

「何でって、私を苦しめた町が消えるからよ……、それに私こそ疑問なんだけどあの方とお話ししてる時は堂々としてるのに、どうして私と話すときはおどおどしてるの?」

「……わた、し馴れない人、と話すの苦手で……ごめんなさい」

「人見知りが激しいって事?……いつか治るといいわね」


 なんか変な気遣いされてるなぁって思うけど、この人が言うようにいつか治ったらいいなぁ。

この世界の争いを止めなきゃいけないから、いつかじゃなくて直ぐに治した方がいいんだろうけど、まだちょっと勇気がない。


「あれ……?」

「どうしたの?」

「な、なんか町の方から……」


 男性達の怒号や悲鳴が遠くから聞こえた気がするけど気のせいかな……。

ゼンさんの強さを考えると気づかれる前に殺してしまう気がするから悲鳴も何もない筈なんだけど……


「へ、へびだぁ!?うわぁっ!?町長の家がひとのみにされた!?」

「まて、俺たちの方にも来るぞ!町から出て逃げるんだ」

「無、無理だ、あいつ人を飲み込みながらこっちに向かってく……う、うわぁ!?」

「や、やめろぉ!お、おれを食うよりもこの町にいる女を食えばいいだろ!?男よりも肉付きがいいだ、く、くるなぁ!」


 なんか悲鳴が近づいて来たかと思うと、ずしんという音がして地面が揺れる。

そしてガラガラと何かが地面に転がるような騒音がなると木片が周囲に散らばった。


「……え?なに、何が起きたの!?」

「わ、わからない、かな」

「それは私もだけど、抱き着くのはやめてくれる?その……あなたの側は怖いから」

「あ、ご、ごめんなさい」


 散らばった木片からガサゴソと何かをしている音がしたかと思うと、そこから大量の木材を両腕に抱えたカーくんが出てきて……


「待たせてごめんね、夜は冷えるから焚火に使えそうな物を拾ってきたよ」

「あの……さっきの音や声は?」

「なんだか騒ぎに乗じてとても巨大な蛇の姿をした魔族が攻めて来たみたいで、町の方で暴れてたみたいでさ……、でも俺が追い払ったからもう大丈夫だよ」

「追い払ったって、あなたは大丈夫なんですか?」

「ん?大丈夫だよ……、こう見えて俺は結構強いんだ」


 ……強いも何も、その蛇の魔族ってカーくんの事だと思うんだけど触れたらめんどくさそうだなぁ。


「……素敵、あのあそこの子に聞いたんだけど、あなた様は沢山の奥さんとお子さんがいるんですよね?、もしよければ──」

「あなた様じゃなくて、カーティスと呼んで欲しいな……、それより俺からもお願いしたいんだけど、そのお腹の子と合わせて家族になってくれないかな?君さえよければ安全な場所についたらお互いの将来について話し合おう」

「うれしいですけど……お、お腹の子も?でもこの子はあの町の血を半分受け継いで……」

「そんな事関係ないよ、お腹の子に罪は無いし俺からしたらその子も大事な家族だからね、ちゃんと大きくなるまで面倒を見るから安心してほしい」

「……はい、はい!」


……うわぁ、何かラブコメ的なようなものが始まって、トントン拍子に新たな奥さんを掴まえてるの、何ていうかいやらしいなぁって感じでじとーっとした目で二人を見る。

ちょっと、この世界を救う主人公は私なのに勝手に二人の世界に入るの止めてくれない?って言いたいけど、そんな事言ったらどう見ても浮いた人になっちゃうからどうしようかな……と思っていると町の方角から全身を返り血で染めたゼンさんが『わりぃ、思いの外手練れが数人いて遅くなっちまったよ』と笑顔で出てきて驚きの余り悲鳴を上げてしまうのだった。

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