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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
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焚火と苦手な食べ物

 あの後集めた枝に火を付けて焚火をしながら二人で適当に話しながら待っていたら、ゼンさんが見た事も無い大きさの蛇を狩って来たけど、どうやって調理すればいいのか分からなかったからとりあえず頭を落として血抜きをした後に苦戦しながら皮を剥いで、野草と一緒に煮込んで簡易的な鍋にした。

味付けも何が合うのか分からないから、バッグの中にある物の中で無難な調味料を選んで入れたけど、ゼンさんは何を食べても美味しいって言うから気にしてないけど、カーくんは微妙な顔をしながら無言で完食してくれて、もしかして合わなかったのかなって思ったけど、彼の味の好みが分からないから、今回はこれで良かったのかもと妥協する。

んー、でも出来れば次はカーくんにも美味しいって言って欲しいなぁ……


「でさ、夜間の警戒はどうする?」

「ゼンは狩りで疲れてるでだろうし夜は俺がやるから休みなよ、俺の眼なら夜間でも生物の体温で誰が何処にいるのか分かるから役割としては適してると思う」

「そうか?なら任せるけど眠くなったらいつでも起こしてくれよ?直ぐに変わるからな」

「じゃあその時は任せるよ、と言っても俺は体質的に2,3時間寝れば問題無いから皆が起きてから少しだけ寝かせて貰うよ」


 二人が私を放置してどんどん話を進めてしまうけどこれっていいのかな……、三人で旅をする以上こういうのって皆で負担した方が良いと思うし、私ばっかり楽しちゃうのも何か違う気がする。

んー、でも私が夜間の警戒をしても特に役に立てないだろうし、ゼンさんと一緒に狩りに行っても何も出来ないと思う。

それなら何が出来るのかなぁって思うと、二人に美味しいご飯を作ってあげる事?それとも疲れている二人を労ってあげて疲れを次の日に持ち越さないようにしてあげる事なのかな、一応考えてはみるけど難しいな……、取り合えず意思表示だけでもしてみるけど……


「えっと、私は夜間の警戒とかしないで大丈夫なの?」

「シャルネは旅に慣れてないんだから休みなよ、慣れて来たら少しは手伝って貰うけど……それまでは料理当番で宜しくって言いたい所だけど次からは蛇だけは止めて欲しいな、ゼンも狩って来ないで欲しい」

「あ?淡白で結構美味しかったと思うけど何が嫌なんだ?」

「美味しかったけど……見た目のせいで共食いしてるみたいで良い気がしなかっただけだよ」

「共食いってお前……、魔族と爬虫類で全然違うじゃん何言ってんだ?」


 確かに魔族と爬虫類って全然違うと思うけど、カーくんが嫌だって言うなら止めてあげた方がいいのかもしれない。

私が元居た世界だと小学校の給食の時間で好き嫌いをして食事を残してしまうと、食べ終わるまで授業を受けさせてくれず、放課後になっても食べられなかったらちゃんと全部食べ切るまで先生が教室に残って怒られるという経験をした事がある。

正直理不尽だと思うし、あの経験のせいで食べれない物が更に嫌いになった経緯があるから……カーくんが嫌だって言うなら無理をさせたくないし、美味しいと思える物をちゃんと楽しんで食べて欲しいなぁって……


「ゼンさん、理由はともかくカーくんが嫌がってるなら次から止めよう?」

「けどなぁ、好き嫌いすると折角狩った命に申し訳が無いだろ?」

「確かにそうかもしれないけど出された物に文句を言わずに食べてくれたんだからいいでしょ?、嫌いな物を全部食べるって勇気がいる事なんだから次からは無理させちゃダメだと思う、ゼンさんにも嫌いな食べ物とかあるでしょ?」

「……嫌いな食べ物?特に無いぞ?生きる為に何でも食わないと行けなかったからなぁ、そんな食う物選ぶ余裕何て今迄無かったし」


 確かにそういう理由ならゼンさんの考えが分からなくは無いけど、今は自分で食料を得る事が出来て食べる事ができるんだからこれからはそんな無理をして欲しくない。

嫌いな食べ物が特に無いとは言ってるけど好んで食べる物やあんまり自分からは食べに行かない物もあると思うし、そういう所も含めてこの旅の中で彼をもっと知って行きたいなぁ……


「でも、ゼンさんが自分からはあんまり食べたくない物ってあるんじゃない?」

「ん?あぁ……それを言うなら野菜全般だな、出来れば肉だけ食いたい」

「肉だけって、集落では野菜や野草も食べてたよね?」

「そ、そりゃあ――」


 言葉の途中で顔を赤くしてもごもごとしだして何を言ってるのか分からない。

何かゼンさんらしくないな……、それに何かカーくんが面白そうに私達を見て笑ってるしどうしたんだろう。


「ゼンさん?ちゃんと言ってくれないと分からないよ?」

「だからだな、その……」

「ふふ、ゼンはさ、シャルネが作ると何でも美味くなるからって言いたいみたいだね」

「カ、カーティスおめぇっ!!」


 耳まで顔を真っ赤にして立ち上がると、何故か私の手を掴んでテントへと歩いて行こうとする。

あれ?これってもしかして連れ込まれちゃう流れ?年頃の男女が一つテントの下で!?ってダメだよゼンさん、外でカーティスさんが見てるよ?ってその方が燃える?、まるで盛りの付いた獣っ!。


「ふふ、ふひひ」

「うわぁ……、あぁ、うんテントが一つしかないのはしょうがないけど、仮にもお姫様を乱暴に連れて行くのはどうなの?」

「うるせぇ、こいつが救世主だろうがお姫様だろうが、シャルネはシャルネだろうがっ!それに俺達が早く寝ないと明日に響くし夜間の警戒に集中できないだろ!、んじゃおやすみっ!」

「……ゼン、顔を真っ赤にして必死に言うのは何か、二人きりになる言い訳を探してるみたいで面白いから止めた方が良い」

「な、お、おぼえてろよっ!?」


……ゼンさんが私から手を離して一人でテントに入るとそのまま横になって眼を閉じる。

何かこの二人のやりとりって面白いなぁ、何て言うか兄と弟みたいな?この場合カーくんがお兄さんでゼンさんが世話の掛かる弟?んー想像すると凄い尊いかも……って思っていると『シャルネ、さっきは気を使ってくれてありがとう』と私を見てカーくんが焚火の炎に照らされながら優しく笑う。

その姿になんか私も照れ臭くなって『おやすみなさいカーくんっ!夜間の警戒無理しないでね!?』と言うと急いでテントに入るけど、その際に足がもつれて転んでしまいゼンさんの鳩尾に綺麗に肘が当たって彼の悲鳴が森にこだまするのだった。

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