これからの予定
森の中で野営の準備ってどうするのかな、私にも出来ることって何かあるかなって見守っていると、ゼンさんがテントをバッグから取り出して組み上げていく。
そしてカーくんが地面に金具を突き刺してテントに繋がっている紐を固定する。
「へぇ、二人共手際いいね?」
「まぁ、何だかんだあの集落に住み着くまでは野営暮らししてたからなぁ、それよりもカーティスが出来る事の方が意外な気がするけど?」
「あぁ……、俺の場合野菜を育てる過程で覚えたんだよ、季節外の野菜を育てる際に透明な布で作ったテントを貼って気温と湿度を合わせるとかやってる内に出来るようになってた感じかな」
「へぇ、何だかわからないけどすごいね」
昔テレビで農業関連の番組がやってたのを見た時に、温室栽培だっけそれについて説明してた記憶があるけど全然内容を覚えてない。
それに素人が見様見真似でやってしまうと良くない結果になる事が多いと思うから、そういう意味でも興味がそこまで無かったのかも?
「んじゃ、テントの用意出来たから俺はそこらで今晩の飯でも飼ってくるわ」
「え?ゼンさん、明日からの事話した方がいいんじゃ……」
「あぁ……、俺はそういうのに向いてないからシャルネとカーティスに任せるわ」
「え、あ、もう……行っちゃった」
ゼンさんが剣を持って森の奥へと歩いて行ってしまう。
んー、こういう大事な話し合いって皆でやった方がいいと思うんだけどなぁ……
「……あぁ、彼は頭脳派と言うよりは肉体派だからしょうがないのかもね、暫く一緒に暮らしてたシャルネも思い当たる所が沢山あるんじゃない?」
「大雑把な性格で掃除は出来ない……、料理は灰汁を取らないから酷い味だし、指摘しても平謝りで結局は私がやる事になったりして世話の焼ける人だけど……、そこまでじゃってあれ?ゼンさんが頭使って動いてる所見た事無いかも」
「俺が指摘するまで気付かないって、シャルネは今迄彼の何を見て来たんだい?」
「何って、住まわせてくれるし、ベッドを譲ってくれて……毎日美味しいご飯になる食材を狩って来てくれる頼もしい人?」
「あぁ、うん、そっかぁ……、あのゼンあってこのシャルネありって感じで相性が良いのかもねっと、ちょっと一緒に木の枝を集めようか」
カーくんが着いてくるようにジェスチャーをしてくるけど、まさか日が暮れて暗くなって来てるのに私みたいな美少女を誘って二人きりになろうとするなんて、手を出す気は無いとか言ってたけどやっぱり私に気が合ったりするのかな、ほら奥さんが沢山いて既に子供沢山いるから更に増えても関係無いだろうし。
でもなぁ、この世界に来てからモテちゃうと困っちゃうなぁ、ほら私には食い扶持に困らない程度の生活を送らせてくれるゼンさんがいるしなぁ。
「ふひひ……、これが異世界ハーレム現象なのね」
「……何を言ってるのか分からないけど、その緩み切った気持ち悪い顔を止めた方がいいよ、元が凄い美少女なせいで凄い酷い事になってるから」
「……どういうことなの?」
「説明するのがめんどくさいからさっさと枝を集めながら話をしよう、早くしないと食材になる動物を狩って来たのに調理せずに食べる事になるよ」
「……それはやだ」
説明するのがめんどくさく感じる位の酷い顔ってどんな表情なのかと凄い気になるけど、確かに調理せずに生でお肉を食べるのは嫌だ。
そんな私の気持ちを察してか、小さく笑うと枝を拾いながら森の奥へと移動して行くカーくんを急いで追いながら、同じように枝を拾ってはバッグの中に入れて行く。
「まぁ、ここから先何処に行くかって話なんだけど、とりあえず最初は栄花の首都スメラギに向かう事になると思う」
「スメラギ?何かかっこいい名前だけど……、首都っていきなり行っちゃっていいの?お話のセオリーだと道中様々な町や村を通ってやっと到達する場所だと思うんだけど」
「セオリー?何を言ってるのかは分からないけど、テントを立てている時にバッグの中を見たらグロウフェレス君が俺達に宛てた手紙が入っていてね、ほらこれを見たら分かると思うんだけど」
……差し出された手紙に目を通すと
【首都スメラギにて、マチザワ・アンジュウロウ殿とカミアリヅキ・セイラ殿に会い、栄花の神【命神・プリムラスグロリア】の協力を得てください、その後の事はお三方の判断に任せます】
……と言うように書かれていたけど、その後の事に関しては何も書いてない辺りプリムラグロリアさんが何かヒントをくれるとかなのかな、ほらゲームとかで良くある偉い人の所に行くと冒険のヒントになる事を教えてくれるとかって言うのあるよね。
そんな感じで色々と役に立つ情報を話してくれて、次に五大国の何処に行って何をすればいいのかを考える事が出来ると思うし、マチザワさんやセイラさんの二人はゼンさんの友達見たいだからきっと良くしてくれる筈。
ふふ、そう思うと旅って凄い面白いかもってワクワクしてしまうのだった。




