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箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―  作者: 物部 妖狐
箱庭へ

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そして旅立ちへ

 キューちゃんと合流するとそこには何らかの動物の皮で作られたように見える肩から下げられるバッグがあるけど……、これはいったい何なのかな。

もしかしてだけど今から旅に出ろっていう流れ?、確かに良くある物語だと襲撃を受け大切な人達を亡くした主人公が失意のまま旅に出るって事は良くあるけど、現実ではそんな事そうそうありえないと思うし、それに今回の場合襲われはしたけど相手が可愛そうな死に方しちゃったから失意も何も無いんだけどなぁ……


「カーティスを連れて来たけど何でここにバッグがあるんだ?」

「グロウフェレス君、俺の事を呼んでたみたいだけどどんな用かな」

「二人同時に話さないでください、用向きはこのバッグを見れば分かると思うのですが……」

「いや、全然分からないよ」

「もしやシャルネ様から何も聞いていないのですか?」


 キューちゃんが驚いて目を見開くと、え?説明してないの!?っと言いたげな雰囲気で私を見て来るけど、それどころじゃなかったからしょうがないと思う。

だってカーくんの家に行ったらあんな光景が広がってる何て思わないし、ましてや子沢山過ぎて先程起きた事を忘れてしまうのはしょうがない。


「あ、え、えっと……、えへ?」

「まぁ言いたい事は色々とありますが……説明してないのはしょうがないので、では簡単に説明させて貰うのですが――」


 キューちゃんがカー君に説明しているけど、何でそんな大事な事を話さなかったんだこいつと言いたげな目で彼に見られる。

こればっかりはカー君にも問題あると思うから私だけのせいじゃないと思いたいけど、やっぱり……言い忘れてた私のせいだから、あの、えっと、ごめんなさいって心の中で謝っとこうかな。


「なるほど……、それでこのバッグって事は俺達に今から旅に出ろと?」

「えぇ、そうなります、間者が送られて来たという事は五大国の神々に居場所がばれている可能性があるので、このまま集落にシャルネ様がいるとまだ戦闘面において不安があるので、万が一の事が起きる可能性があります、なので申し訳ないのですが、旅に必要な者をここに準備させて頂きました」

「キューちゃん……、その割には小さい気がするけど大丈夫なの?」

「それに関してはご安心ください、このバッグの中は私の術が付与された札により中が拡張されておりますので、無限とまでは行きませんが普通に使う分には問題ありません、例えばですが小さい家位なら簡単に入る位のスペースがあります、それに中から物を取り出す時もバッグの中に手を入れて欲しい物を念じれば出て来るようになってますので」


 あぁ、良くあるゲームや物語に出て来るアイテムボックスみたいな物なのかな、それに家が一つ入るって事は容量が凄いだろうし、これは一人では使いきれないかも、うん、いきなり旅に出る事になったのには驚きしかないけど、色んな国にこれから行くんだから気になったお土産とかがあったら買って入れとこうかな。

設定上だとこういうのって中に入れてる限りは時が止まって長持ちするのが多いし……


「ですが、生ものを入れると腐ってしまうので早めに使うようにしてください。あ、あぁ後これは中に何が入っているのかをまとめたメモなのでこれはゼンとカーティスに渡して起きます、シャルネ様のバッグには替えの衣類と水筒等しか入れてませんのでそれ以外の物が必要な時は二人に出して貰ってください」

「……私の荷物はそれだけでいいの?」

「軽量化の術も付与しているのでカバンの重さはあんまり変わりませんが、神の子であるシャルネ様に大量の荷物を持たせるわけには行きませんので……」

「と、特別扱いしないんでいいんだよ?」

「お気持ちはありがたいのですが、ここで私が特別扱いを止めたらこの集落の住民が許してはくれないでしょう……、申し訳ないのですが集落の長としての立場があるのです」


 バッグを受け取ながら長としての立場ってめんどくさいなぁって思うけど、ここで我が儘を言うのは良くないと思うので今回はキューちゃんの顔を立ててあげた方が良いかも、だって私は出来る女だからそういう気遣いも出来るのです。

でも急な旅立ちってなるとカーくんの家族はどうなるのかな……


「あ、えっと、カーくんは大丈夫なの?」

「大丈夫ってどういう事?」

「奥さんや子供に何も言わないで旅に出ていいの?」

「あぁ……、それに関しては予め言ってあるから問題無いよ」


 特に問題が無いならいいけど、子供が小さい時って母親だけじゃなくて父親からの愛情も必要だと思う。

でも他所の家庭の事に関して外部の人が口出しするわけにも行かないし、前の世界の常識がこの世界で通じる訳がない。


「んー、分かったけど、ゼンさんは急な旅立ちになっちゃうけどいいの?」

「俺は別に構わないぞ?、それに旅に出るなら早めの方がいいしな、だから丁度良いと思うぜ」

「どうやら話がまとまったみたいですね……、ではシャルネ様いってらっしゃいませ、この世界の事を宜しくお願い致します」

「出来る限り頑張ってみるね」


……キューちゃんに見送られ集落の外に出ると後ろから鈴のなるような音がする。

驚いて振り向くと先程までそこに集落があったのに、そこには大きく開けた平地になっていて『集落は何処……?』って思わず呟いてしまうのだった。

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