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第86話:雷の咆哮と風への退却

雷の神殿の試練を越えたタクミ一行は、雷神トーラスから風の神殿の鍵を知ったばかりだった。だが、休息の暇もなく、ホール全体が不気味に震え始めた。魔脈炉の重低音が唸りを上げ、床のひび割れから赤黒い光が漏れ出し、天井の鎖がガシャガシャと激しく揺れる。壁の雷神トーラスの彫刻が崩れ落ち、空気が熱を帯び、硫黄と焦げた鉄の匂いが鼻を刺す。ガイストの声がコックピットに鋭く響いた。

「魔脈炉、異常反応! 暴走の兆候だ!」

「何!?」タクミが叫ぶと同時に、ホールの尖塔が轟音とともに裂け、雷光を纏った巨大な影が姿を現した——ゼノスだ。全高20メートルを超える機械魔獣は、魔鋼と魔脈でできた多脚の巨体を蠢かせ、雷を帯びた咆哮がホール全体を震わせた。六本の脚が床を叩き、雷撃が奔り、石屑が飛び散る。


風神の眼がタクミの左目に警告を映す。「距離10メートル!」

「ゼノス…貴族の切り札がこれか!」タクミが叫び、ストームライダーのドリルアームを起動。回転が唸りを上げ、ゼノスの胸部に突き刺さるが、魔鋼の装甲がかすかに軋むだけで跳ね返される。貴族の魔導士が尖塔の残骸から姿を現し、哄笑を上げる。「ゼルガノス・エクス・マキナで異邦人を葬れ!」

魔導士が手を掲げると、魔脈波動が空気を歪ませ、熱と圧迫感がホールに広がる。影脈会のガレンが剣を抜き、「貴族を仕留める!」と叫び、仲間と共に突進。剣が魔術の盾に弾かれ、雷鳴が戦場を包んだ。


バルドが飛び出す。

嵐の双剣が風と雷を纏い、ゼノスの脚に斬りかかる。刃が装甲を削り、火花が散るが、ゼノスが雷撃を放つ。青白い電流がバルドを直撃し、彼を壁に叩きつけた。「仲間が…やられるわけにはいかねえ!」バルドが剣を支えに喘ぎ、肩から血が滴る。

カザンが熔雷槌を手に突進。「熔鉄団の鉄は折れねえ!」

雷を帯びたハンマーがゼノスの脚に叩き込まれ、装甲にひびが入る。だが、ゼノスの多脚が反撃し、カザンを弾き飛ばす。彼は床に転がり、「まだだ…!」と歯を食いしばる。緊迫感が神殿を包み、魔脈炉の赤黒い光が脈動を加速させた。


ゼノスの雷撃が神殿を崩し、壁が崩れ落ち、天井から破片が降り注ぐ。セシルが叫ぶ。「みんなを守る!」

彼女が地の種を手に掲げると、緑の光が仲間を包み、結界が張られる。だが、ゼノスの雷撃に、場の魔脈が限界を超え、赤黒い光が爆発。衝撃波が結界を揺らし、セシルが膝をつく。「くっ…!このエネルギー…耐えられない…!」

タクミはストームライダーのスラスターを全開にし、熱風が床を焦がす。「このままじゃ全滅だ! 風の神殿に鍵があるなら、そこに行くしかねえ!」

ジンが竪琴を奏で、低く響く音色がホールを満たす。「エアリスの調和はお前らに懸かってる。負けるな!」

その詩が仲間を鼓舞し、バルドが立ち上がる。「ゼノスの心臓を貫くまで終わらねえ!」と剣を握り直した。


リアが上級魔導書を手に、エーテル・ノヴァを掲げる。「私だって!強くなったんだ!!」

彼女が深呼吸し、雷光の中で目を閉じる。「雷の王よ、詩の調べに轟け…! トーラス、降臨せよ!」

雷神トーラスが召喚され、雷槍を手にゼノスの脚を貫く。雷鳴が響き、装甲が砕けるが、ゼノスは咆哮で反撃。リアが続ける。「タクミ、剣に力を込めるよ!」

炎、氷、雷、水、風が渦巻き、魔鋼剣に流れ込む。「行くぜ!」タクミが叫び、剣を振り下ろす。全属性を纏った一撃がゼノスの胸を削り、火花と雷光が炸裂するが、巨獣は倒れず、雷撃でストームライダーを押し返す。


カザンが立ち上がり、「熔鉄団の鉄で道を切り開く!」

熔雷槌を叩きつけ、熔鉄水が爆発。熱波がゼノスの脚を包み、動きを一瞬封じた。「今だ、タクミ!」


だが、ゼノスが咆哮を上げ、多脚が床を砕く。熔鉄水を弾き飛ばし、雷撃がカザンを直撃。彼が吹き飛び、熔雷槌が床に転がる。「ぐっ…俺の鉄が…!」と呻き、動けなくなる。バルドが剣を構え、「まだだ!」とゼノスの胸に斬りかかるが、魔鋼の装甲に刃が弾かれ、逆に雷光が彼を包む。バルドが膝をつき、「故郷の…仇が…!」と血を吐く。

セシルが叫び、「エアリス・ガーディアン!」と風の精霊を召喚。風刃がゼノスの脚を狙うが、巨獣の雷撃が精霊を吹き飛ばし、結界が崩壊。セシルが「もうダメ…!」と倒れ込む。


タクミはコックピットで拳を握り潰し、歯を食いしばる。「ゼノス…強すぎる…!」

ストームライダーの装甲が軋み、警告音が鳴り響く。リアが魔導書を握り締め、「タクミ!」と叫ぶが、彼女の声も雷鳴にかき消される。貴族の魔導士が哄笑し、「跪け、異邦人! ゼルガノス・エクス・マキナが貴様らを葬る!」

ゼノスの雷撃がホール全体を包み、天井が崩れ落ち、魔脈炉の赤黒い光が爆発を予感させる。タクミは仲間を見回す。カザンとバルドが倒れ、セシルが息を切らし、ジンの竪琴が途切れ、セリカが短剣を構えるも足が震えている。

「このままじゃ全滅だ…! 仕方ねえ、風の神殿に向かうぞ! 風の翼がゼノスを倒す鍵だ!」タクミの声が雷鳴を切り裂く。


ゼノスの咆哮が神殿を圧し、魔脈炉の爆発が迫る中、一行は一時退却を決意。ストームライダーがスラスターを全開にし、仲間と共に雷の神殿を脱出。風の神殿を目指し、次の戦いへの決意を胸に刻んだ——。



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