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第72話:水神の祭壇と嵐の戦場

水の神殿の奥へと進むタクミ一行は、やがて神秘的な祭壇に辿り着いた。青い魔脈が螺旋状に石床を這い、中央の祭壇には水晶のように透き通った水が浮かんでいる。壁には古代の壁画が薄れた色彩で刻まれ、水神アクエリアが海を鎮める姿が静かに佇んでいた。静寂の中、祭壇の水面が揺らぎ、淡い光と共にアクエリアの幻が現れる。波のような衣が穏やかに揺れ、深く澄んだ声が響く。

「試練を乗り越えし者たちよ。水の絆を以て、エアリスの調和を取り戻す意志を示した。その心、我が力と共にあらん。」


ジンが一歩進み出て、「水神の杯」を手に持つ。アクエリアの幻が彼に視線を注ぎ、静かに手を差し伸べる。杯から溢れた水が祭壇に流れ込み、光の粒子がジンを包み込む。魔脈が共鳴し、低い唸り音と共に水流が渦を巻く。ジンが目を閉じ、竪琴を胸に抱くと、アクエリアの幻が彼に近づく。


ジンが深呼吸し、アクエリアの手を取る。すると、彼の周りが青く輝き、水の粒子が舞い上がる。静かに、だが力強くジンが唱える。

「我が癒しの水に誓い、生命を護りし絆を結ばん——アクエリア!」

その言葉に呼応し、祭壇の水が渦を巻き、神殿全体が柔らかな水音で満たされる。アクエリアが静かに頭を下げ、契約が成立する瞬間、ジンの胸に温かな力が宿る。水の輝きが収まり、彼の瞳に深い青が宿る。アクエリアが実体となって現れ、水の槍を手に持つ姿でジンの傍に佇む。神秘的な力が神殿に満ち、ジンが息を整える。

「これが…水神の加護だ。エアリスの平和を歌う力だ。」


タクミがジンの肩に近づき、軽く笑う。

「ジン、お前がその力を手に入れたなら、俺たちも心強い。」

リアが目を輝かせて言う。

「ジン、すごいよ! 水の精霊を従えちゃうなんて!アクエリアが仲間を守ってくれるね。」


一行は祭壇を後にし、神殿の出口へと向かう。


神殿を出ると、嵐の港「ストームヘイヴン」が貴族の魔獣軍に襲われていた。灰色の空の下、海風が唸り、桟橋が魔獣の咆哮で震える。熔けた溶岩を纏う「ヴォルガノス」、風を切り裂く「シエルフィス」、大地を揺らす「ガイアロス」が群れを成して進軍し、貴族の制御装置が赤く点滅している。港の鉄骨が溶岩で歪み、市場の屋台が風刃で吹き飛び、村人たちが逃げ惑う。


影脈会の残党——ガレン、ザイン、ミラ、カイル、ダインが現れ、タクミに駆け寄る。ガレンが剣を構える。

「タクミ!無事か!?港方面の海の底から癒しの光ともとれる光が立ち上ったと思った瞬間、貴族と魔獣が急に現れたんだ!一体どうなってるんだ!?ひとまず俺達は魔法で援護するよ!」

ミラが回復魔法の準備を始め、カイルとダインが槍を構える。

「貴族の魔獣、ぶっ刺してやるぜ!」


それを聞いたタクミがガイストに

「もしかして俺たちが水の神殿の水神の杯とアクエリアを手に入れたのが原因か?」

ガイストが応える。

「いや、それは考えずらいな。アクエリアと貴族達が連動してるとは思えない。」


そしてすぐにガイストがコックピットから分析を始める。

「魔獣反応、複数確認。ヴォルガノス、正面30度から溶岩弾接近。シエルフィス、左45度上空から風刃。ガイアロス、後方15度から地震波。タクミ、右に15度旋回して高度5m上げろ。ヴォルガノスの弱点が目の前に出る!」

タクミがレバーを引く。

「ストームライダー、飛べ!」

機体が右に旋回し跳躍すると、溶岩弾が足元を掠め、風刃が背後で空を切る。ガンランチャーが火を噴き、ヴォルガノスの群れに弾丸が炸裂。シエルフィスが墜落し、タクミがドリルアームを構える。

「そこだ! フル稼働!」

ドリルが制御装置を貫き、ヴォルガノスが崩れ落ちる。


リアがエーテル・ノヴァを掲げ、雷撃を放つ。

「貴族にこの街までやらせない!」

雷撃波がタイタノスを麻痺させ、炎の渦が岩石鎧を焼き尽くす。彼女の瞳に兄レオンの影がよぎる。ガイストが続ける。

「タイタノス、左腕から岩石弾接近。左に10度回避して前進しろ。背後の制御装置が露出する!」

タクミが機体を傾け、岩石弾をかわすと、リアの魔法が制御装置を直撃。タイタノスが膝をつく。


バルドが双剣を構える。

「ストームヘイブンは俺が守る!」

風と雷の双刃がテンペスタを両断し、ガイストが援護する。

「テンペスタ、右翼から雷撃。後退5mで回避可能。首の制御装置が弱点だ!」

バルドが後退し、雷撃を避けて首を斬る。テンペスタが崩れる。


ジンが竪琴を奏で、力強い旋律を響かせる。

「エアリスの歌が戦争を終える!」


ジンが竪琴を手に両腕を天に掲げると、彼の周囲に青い魔脈の光が渦を巻き始める。「水神の杯」が青く輝き、水の粒子が空へと舞い上がる。風が唸るように吹き抜け、ジンが力強く、だが優雅に詠唱する。

「癒しの水よ、詩の調べに舞え…!」

水の渦が空に広がり、神殿の魔脈と共鳴する低く深い響きが戦場を包む。ジンが目を閉じ、竪琴を一気に爪弾くと、清らかな音色が港の喧騒を貫く。彼が額に汗を浮かべながら叫ぶ。

「アクエリア、降臨せよ!」

澄んだ水の流れが天から降り注ぎ、青い光の柱が大地を照らす。水神アクエリアが現れ、透明な水流を纏った姿で水の槍を手に持つ。彼女が翼のように水を広げると、柔らかくも力強い水の嵐が戦場を駆け抜け、ヴォルガノスの溶岩を冷やし固め、シエルフィスの風刃を飲み込む。敵の魔獣が浄化され、制御装置が次々と砕け散る。

タクミが目を丸くして呟く。

「すげえ…!」

リアがエーテル・ノヴァを握り締め、目を輝かせる。

「ジン、すごいよ! アクエリアが…美しい!」

カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、豪快に笑う。

「これぞ詩人の力だな! 貴族なんざ水に流されちまえ!」

ジンが息を整え、額の汗を拭う。アクエリアが彼の傍に佇み、水の槍を構える。戦場に希望の光が広がり、仲間たちの士気が一気に高まる。


カザンが熔雷槌を振り上げる。

「熔鉄団は家族の盾だ!」

ガイストが分析を加える。

「ガイアロス、前方10度から地震波。左に3m移動で腹部が露出!」

カザンが左に飛び、地震波を避けると、ハンマーがガイアロスの腹部に叩き込まれ、大地の魔獣が砕け散る。


戦場に静寂が戻り、タクミがストームライダーから降りる。

「これで水の神殿は制覇だ。ゼノスに一歩近づいたぜ。」

ガイストが報告する。

「エネルギー残量77%、ドリル稼働率86%。水の魔脈で効率3%向上。次に備えろ、タクミ。」


ジンが杯と竪琴を手に持つ。

「アクエリアの力で、俺も戦える。貴族に奪われた平和を取り戻すよ。」

リアが微笑み、バルドが剣を収め、カザンが熔鉄団を鼓舞する。元影脈会のガレン達も決意を新たに頷く。嵐の港を背に、タクミ一行はゼノスへの道を切り開いた。大陸の戦争は激化し、次の試練が待っていた。



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