表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/187

第50話:影脈の分岐

サンドリア大陸へ向かう荒野の道中、風が砂塵を巻き上げ、タクミたちの視界を霞ませる。砂が頬を叩き、乾いた土と熱の匂いが鼻を刺す。ストームライダーのエンジンが唸り、空を切り裂く。熔鉄団の10人が馬車を囲み、槍と斧が砂に擦れる音が響く。タクミがコックピットで魔脈石モニターを睨み、汗がスーツに染みる。

「ガイスト、魔脈感知はどうだ? サンドリアまであとどれくらいだ?」

ガイストの冷静な声がコックピットに響く。

「魔脈波動は安定。ダストホロウまで約50キロメートル。ただし、前方に微弱な魔脈反応を検出。接近中だ、タクミ。」

タクミが目を細め、モニターを拡大する。砂塵の向こうに揺れる影が映る。

「貴族の残党か…? いや、違うな。」


その時、砂風が唸りを上げ、黒いローブの集団が姿を現す。影脈会の残党——レオンの死後(第46話)、散り散りになった者たちだ。先頭に立つ女魔導士が杖を掲げ、一行の進路を塞ぐ。彼女の顔には深い傷跡が刻まれ、砂に濡れた瞳に冷たい決意が宿る。

「私はセシル、影脈会の新リーダー候補だ。レオンは死に、復讐は我々が続ける。貴族を潰すなら手を組め。」

声は低く、砂風に混じって鋭く耳を劈く。


タクミがストームライダーを着地させ、コックピットから飛び降りる。熔嵐合金の装甲が砂に映え、朝陽が銀のラインを輝かせる。彼がセシルを睨み、熱く吼える。

「禁忌魔法で死ぬ道か? レオンはそれで命を落とした。お前らも同じ道を歩むつもりか?」

セシルが杖を握り直し、目を細める。震える声に涙が一筋こぼれ、砂に染みる。

「50年前、貴族に妻子を殺されたアランが影脈会を創った。私は10年前、家族を失い、禁忌で生きる道を選んだ。貴族を潰すなら、この命を捨ててもいい。」

ローブの袖をまくり、腕に広がる黒いひび割れを見せる。禁忌魔法の代償が、彼女の体を蝕んでいる証だ。


リアが馬車から飛び降り、エーテル・ノヴァを握り潰す。砂が足元に舞い、涙が熱く頬を伝う。彼女の叫びが荒野を切り裂く。

「兄ちゃんも同じだった…! 貴族に操られて、禁忌魔法で死んだ。でも、私を救って死んだんだよ!」

声が風に震え、砂に涙が落ちる。

「兄ちゃんは私を選んでくれた。私には兄ちゃんの想いがある。禁忌なんかに頼らなくても、私たちは貴族を倒せる!」

叫びに影脈会の者たちがざわめく。セシルが一瞬動揺し、杖を下ろして呟く。

「レオンはお前を選んだのか…。私の復讐とは違う道を…。」


その言葉が火花となり、影脈会の残党が分裂する。一部の者がセシルを囲み、砂塵の中で吼える。

「貴族と戦え! レオンが死んでも、影脈会の復讐は終わらない!」

彼らが砂の彼方へ去り、足音が風に消える。一方、数人の影脈会メンバーがタクミの前に進み出て、膝をつく。リーダー格の男が頭を下げ、慎重に言う。

「異邦人、我々は貴ストームライダーの男に付く。禁忌魔法で死ぬより、お前たちと貴族を倒したい。レオンが選んだ道を信じる。」

タクミが男を見下ろし、ニヤリと笑う。

「なら仲間だ。貴族を潰すために戦え。お前らの情報も役に立つぜ!」


バルドが「デュアル・ヴォルティス」を手に、セシルの去る背中を睨む。双剣に雷が走り、砂を焦がす。

「復讐に溺れるなら、お前も斬る。」

熔鉄団の戦士たちが槍を構え、新たな仲間である影脈会の者たちと陣を組む。槍の柄が砂を叩く音が響く。タクミがリアの肩に手を置き、熱く言う。

「お前の叫びがこいつらを変えた。レオンの想いは生きてるぜ。」

リアが涙を拭い、エーテル・ノヴァを握り直す。

「うん…兄ちゃん、見ててね。私、影脈会のみんなを救うよ。」


セシルが最後に振り返り、タクミたちを見つめる。砂風が彼女のローブをはためかせる。

「貴族を潰せ。それがレオンへの弔いだ。」

彼女が砂塵の彼方へ消え、影脈会の分裂が決定的となる。タクミがストームライダーに戻り、ガイストに呼びかける。

「魔脈感知を続けろ。サンドリアで貴族の動きを掴む。影脈会の情報も解析しろ!」

「了解、タクミ。影脈会の分裂は我々に有利に働く可能性がある。セシルの動向も監視対象だ。」


一行は再び荒野を進む。ストームライダーが空を切り、エンジンの唸りが風を裂く。馬車が砂を蹴り、車輪の軋む音が響く。リアが馬車の荷台で星空を見上げ、呟く。

「兄ちゃんの星…見守っててね。私、貴族を倒して、影脈会を救うよ…。」

サンドリア大陸への道は、新たな仲間と決意を胸に続いていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ