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第35話:嵐を切り裂く翼

焔嵐大陸の夜が熔鉄団の地下工房を包み、炉の赤い光が壁に揺らめく影を刻む。熔けた鉱石の焦げた匂いが漂い、熱気が頬を炙る。鉄槌の響きが静まり、工房に重い静寂が広がる。タクミがストームライダーの設計図を広げ、煤けた指で紙を撫でながらカザンに目をやる。

「ストームライダーの設計が進んだ。お前らのおかげだ、カザン。熔鉄団の技がなけりゃ、ここまで来れなかったぜ。」

その声に、感謝と疲れが滲みつつ、決戦への期待が宿る。


カザンが大槌を手に持ったまま、豪快に笑い声を響かせる。

「礼なんざいらねえよ、タクミ。熔嵐谷の仇を討つためなら、鉄を貸す価値はある。お前らが次に貴族を叩く番だ。俺は工房でガッチリ支えるぜ。」

その笑いに、熔鉄団の魂と仲間への信頼が轟く。


リアが「エーテル・ローブ」を着て、「エレメンタル・トーム」を胸に抱える。炉の熱気を浴びながら、目をキラキラさせて言う。

「私、氷も雷も覚えるよ! この本、すごい魔法がいっぱい書いてあってさ、タクミやバルドと肩並べて戦えるくらい強くなりたいんだ!」

その声が弾み、ローブの裾が微かに揺れる。


タクミが設計図を畳みながら、軽く鼻で笑う。

「お前、魔法に夢中すぎだろ。いいぜ、貴族にぶつける技をどんどん増やしてくれよ。ガイスト、どう思う?」

その口調に、リアへの信頼とからかうような軽さが混じる。


ガイストがコックピットから低く応じる。

「リアの魔脈適性は高い。氷と雷を習得すれば、俺の戦闘予測がさらに正確になる。お前の設計も活きるぜ、タクミ。」

その合成音に、珍しく認める響きが宿る。


タクミがガイストに目をやり、ニヤリと笑う。

「お前、褒める気になったか? ストームライダーが飛べば、お前も本気出すんだろ?」

ガイストが静かに返す。

「当然だ。貴族を潰すなら、俺の計算もフル稼働だ。」

その冷静な声に、戦への準備が滲む。


バルドが「フレイムガード・アーマー」を着て、「デュアル・ヴォルティス」を握りながら近づく。静かだが鋭い声で言う。

「俺は剣技を磨く。魔鋼機に負けねえ刃にするまで、止まるつもりはねえ。」

その瞳に、シンダーリーヴスの復讐が冷たく燃える。


カザンがバルドに目をやり、頷く。

「その双剣なら、貴族の鎧もぶち抜ける。熔鉄団の魔鋼石が活きてる証だぜ。」

その声に、職人としての誇りが滲む。


タクミが設計図を睨み、炉の火を見つめながら呟く。

「熔鉄団と俺たちで…貴族を潰す。鉄都ガルザードを落とす準備が、やっと整ったな。」

その言葉に、重い覚悟が宿る。



遠くの鉄都ガルザードでは、騎士団長が貴族長に膝をつき、報告する。

「異邦人が焔嵐大陸で動き出しました。熔鉄団と結託し、何やら新しい魔鋼機を完成させた模様です。」

影脈会の黒いローブの男が闇の隅から冷たく進言する。

「次の魔獣を放て…ヴォルガノスを群れでな。異邦人の力を試す好機だ。」貴族長がワイングラスを傾け、唇を歪めて命じる。

「熔鉄団のアジトを焼き払え。異邦人を潰す。」

暗闇の中、溶岩の目が赤く光り、ヴォルガノスの群れが動き出す気配が低く唸る。


朝陽が焔嵐大陸を照らし、熔鉄団の工房が再び活気づく。陽光が工房の入り口を薄く染め、炉の熱気が外の冷たい空気と混じる。タクミがストームライダーの最終調整に取り掛かる。熔鉄装甲で覆われた流線型の機体は、嵐魔鋼で強化され、翼のようなフレームが鋭く広がる。魔脈水タンクと風魔コアが搭載され、機体全体が青白く脈打つ。タクミがレバーを握り、汗が額を伝う。

「飛ぶぞ、これで。貴族の城を叩ける機体ができた。」

その声に、興奮と緊張が混じる。


カザンが熔鉄団の戦士たちと機体を囲み、笑う。

「熔鉄団の技術の結晶だ、タクミ。壊すなよ。熔嵐谷の仇を乗せてるんだからな。」

その笑い声が工房に響き、戦士たちが頷く。


タクミがリアを見て言う。

「リア!風を頼む!」


リアがエーテル・ローブを軽く広げ、風魔法を放つ。ローブの裾が自然に揺れ、魔脈が彼女の手から流れ込む。

「風を…コアに!」

風魔コアが眩しく輝き、冷風が機体を包む。ストームライダーが地面から浮かび上がり、工房の天井近くで静かに停止する。彼女が目を輝かせて叫ぶ。

「やった! タクミ、私も一緒に飛べるよね、ねえ!」

その声に、無垢な喜びが弾ける。


タクミが「マグナ・ヴェスト」を着て、コックピットから笑う。

「お前は魔法で援護してくれよ。飛ぶのは俺とガイストの仕事だ。」

その口調に、仲間への頼もしさが滲む。


バルドがデュアル・ヴォルティスを手に、機体を見上げる。

「俺の剣も試したい。貴族の魔獣を地上で斬り刻むぜ。」

その声は低く、冷たい決意が刃に宿る。


ガイストがコックピットから報告する。

「稼働率92%、魔脈伝導率165%、冷却効率135%。初陣準備完了だ、タクミ。」

タクミがレバーを握り、ガイストに言う。

「お前、92%で満足か? 初陣なんだから100%まで持ってけよ。」

ガイストが少し間を置いて返す。

「魔脈水の調整をリアに頼めば、95%までは上げられる。お前の命令次第だ。」


タクミが笑いながらリアを振り返る。

「ほら、ガイストが頼んでるぞ。リア、もう一発風をくれ。」

リアが頷き、再び風魔法を放つ。

「風を…強く!」

冷風が機体を包み、翼が微かに振動する。ガイストが報告する。

「稼働率95%、これで十分だ。試運転を始めろ。」




カザンが大槌を手に、熔鉄団の戦士たちに声をかける。

「ゴラン、工房を守れ。タクミ、飛んでみせろ。貴族をぶっ潰す第一歩だぜ!」

ゴランが槍を手に、頷く。

「タクミ、ストームライダーで貴族の城をぶち抜け。俺たちはヴェールウッドを死守するからな!」

その声に、荒々しい頼もしさが滾る。


タクミがレバーを引くと、ストームライダーの翼が唸りを上げ、工房の外へ飛び出す。熔鉄装甲が朝陽を反射し、機体が荒野の上空を切り裂く。風が機体を叩き、金属の振動が手に伝わる。リアが工房の入り口から風魔法で援護し、笑う。

「タクミ、すごいよ! 私も負けないからね!」

その声が風に乗り、工房に響く。


バルドがデュアル・ヴォルティスを手に、地上で機体を見上げる。

「飛ぶ鉄か…貴族の魔獣を斬る準備はできてる。」

その瞳に、復讐の冷たい光が宿る。


ストームライダーが旋回し、荒野に着地する。砂塵が舞い上がり、機体の翼が静かに止まる。タクミがコックピットから這い出し、機体に触れる。冷たい金属の感触が手に伝わる。

「完璧だ。熔鉄団の技と焔魔の財庫の素材で、ここまで来た。」

ガイストが報告する。

「飛行試験成功。エネルギー残量85%、装甲損傷なし。実戦投入可能だ、タクミ。」


カザンがタクミに近づき、笑う。

「タクミ、リア、バルド、熔鉄団の鉄はお前らに預けた。貴族を潰してこい。」

その笑いに、熔鉄団の魂が宿る。


タクミがストームライダーを見上げ、拳を握る。

「鉄都ガルザードを落とす。貴族も魔獣も、全部終わらせるぜ。」

その声に、決戦への覚悟が滾る。


リアがエーテル・ローブを着たまま、トームを手に持つ。「私も新しい魔法で戦うよ。タクミとバルドと一緒に、絶対勝つから!」その笑顔に、無垢な自信が輝く。


バルドがフレイムガード・アーマーを調整し、呟く。「シンダーリーヴスの仇を討つ。熔鉄団の力も借りて、貴族を斬り尽くす。」その声に、静かな決意が宿る。


工房の外で、遠くのヴォルガノスの咆哮が微かに響く。熔鉄団とタクミたちの絆が、貴族との最終決戦への第一歩を切り開いていた。朝陽の下、ストームライダーの翼が荒野に静かに佇み、次の戦いを待っていた。





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