第27話:風と鋼の逆転
ヴェールウッド村は炎と雷に包まれていた。炎魔導士の溶岩波が村に到達し、小屋が次々と燃え尽きる。テンペスタが咆哮し、雷を鱗に溜め、広範囲攻撃を準備する。空気がビリビリと震え、ガイストMk-I改のコックピット内でタクミが焦る。
「このままじゃ終わる…!村が、みんなが…!」
装甲が溶け、炉から煙が上がる。ガイストが警告する。
「装甲損傷60%、エネルギー残量50%。炉温度が限界を超えた。機能停止まであと3分!」
リアが広場の端で膝をつき、息を切らしながら立ち上がる。彼女が叫ぶ。
「私が…!」
風魔法を極限まで放ち、手が震える。
「風を…コアに…!」
風魔コアが過熱し、青い光が爆発的に輝く。冷風がガイストMk-I改を包み、炉が一気に冷える。ガイストが叫ぶ。
「炉安定、魔脈感知再調整完了!敵位置、右30度に雷、正面にテンペスタ!」
タクミが目を鋭くし、吼える。
「今だ!」
タクミが魔振剣を構え、リアの風を乗せる。刃が高速で振動し、雷魔導士に突進。雷撃が放たれるが、風を纏った剣がそれを切り裂き、ローブを貫く。雷魔導士が倒れ、タクミが叫ぶ。
「一人目だ!」
バルドが血を拭い、双剣を手に復帰する。彼が風魔導士の背後に回り込み、低く呟く。
「俺の剣も見くびるな!」
双剣が一閃し、風魔導士の背中を斬り裂く。竜巻が止まり、バルドが地面に膝をつく。
タクミが魔脈ガンランチャーを構え、テンペスタの目を狙う。爆裂弾が発射され、リアが風魔法で弾を加速。風を纏った弾が魔獣の左目を直撃し、爆発が鱗を砕く。テンペスタが咆哮し、タクミが機体を跳ばせる。
「リア、剣に風を集中しろ!」
リアが最後の力を振り絞り、呪文を唱える。
「風を…刃に…!」
魔振剣が極限まで振動し、タクミがテンペスタの首に突き刺す。刃が鱗を切り裂き、骨を砕き、首を貫通。魔獣が咆哮を上げ、巨体が地面に倒れる。雷が消え、溶岩が冷えて固まる。
残った炎魔導士が目を丸くし、森の奥へ逃げる。タクミが剣を地面に突き刺し、息を切らす。
「終わった…か?」
ガイストが報告する。
「テンペスタ撃破、魔導士3名排除、1名逃走。エネルギー残量30%、装甲損傷65%。限界を超えた戦闘だ。」
戦闘が終わり、ヴェールウッドは半壊していた。小屋の半数が燃え尽き、広場は焦げた地面と溶岩の残骸に覆われる。タクミがコックピットから降り、燃える小屋を見つめる。
「守りきれなかった…俺の力が足りねえ…」
彼の拳が震え、リアがタクミのそばに駆け寄る。涙をこぼしながら、彼女が言う。
「でも、みんな生きてる!タクミがいたから、私たちがいたから…!」
村人たちが森から戻り、子供が母親に抱きつきながら泣く。
バルドが双剣を手に立ち上がり、血を拭う。
「敵は減った。貴族の力も削がれたぜ。次はお前が仕掛ける番だ、タクミ。」
エリナが腕に傷を負いながら、剣を地面に突き刺して笑う。
「半分燃えたけど、まだ立ってるよ。私たちの村は、そう簡単には潰れないさ。」
彼女の笑顔に、タクミが目を上げる。
タクミがガイストMk-I改を睨み、呟く。
「こいつじゃ足りねえ…もっとだ。もっと強くならねえと…!」
ガイストの声が低く響く。
「魔脈感知は俺の限界だ。冷却も、反応速度も、これが最大だ。次はお前が超えろ、タクミ。」
タクミが拳を握り、設計図を手に持つ。
「なら超える。ストームライダーを完成させて、貴族の根っこを叩き潰す。」
リアがタクミの手を握り、涙を拭う。
「私も…もっと頑張るよ。村がこんなでも、みんなが生きてるなら…。」
バルドが双剣を手に、エリナに近づく。
「次は俺が貴族の首を斬る。家族の仇を討つまで、俺は死なねえ。」
エリナが村人たちを見回し、静かに言う。
「皆、片付けを始めよう。敵が来る前に、立て直すよ。」
夕陽が沈み、半壊したヴェールウッドに静けさが戻る。タクミが空を見上げ、星が輝く中、呟く。
「貴族も魔獣も、次はお前らが終わりだ。」
森の奥で微かな唸り声が響き、遠くの鉄都ガルザードでは新たな策謀が動き出す。ヴェールウッドの戦士たちは、勝利の代償を胸に、新たな決意を固めていた。




