第187話: 光の小径
ヘブンズ・セプトの朝は、拠点の裏手に広がる水晶の庭から漂う清涼な花の香りに満ちている。星光祭の温かな記憶が民の心に宿り、街の石畳の路地では朝市のにぎわいが響く。子供たちが水晶の庭の花壇で光る花びらを集め、笑い声が朝の静けさを彩る。クロノスの脅威が遠のいた今、街には穏やかな日常が息づいている。庭の奥、拠点からほど近いオラクルの神殿がそびえる。神殿の水晶の尖塔は朝日を浴びて虹色の光を放ち、まるで街の灯台のように親しみ深く輝く。
タクミは水晶の庭の花壇のそばに立ち、神殿の尖塔を見つめる。ルミナス・エッジが鞘の中で静かに眠り、風神の眼が庭の魔脈を捉える青い光を放つ。光る花びらが彼のブーツに触れ、かすかな光の粒子が膝元で舞う。ガルザークがそばに立ち、装甲の肩に結ばれたミナの花冠が朝の露で光る。青い目が神殿の光を見つめ、かすかな記憶——鉄都の民が星光に祈った瞬間——が心の奥で揶らぐ。
「タクミ、この神殿…近さの中に謎がある。オラクルが何か知ってる気がする。」
タクミが笑い、ガルザークの装甲に手を置く。金属の冷たさが掌に伝わる。
「エアリス・オラクルに聞けば、ヘブンズ・セプトの鍵が見つかるかもしれない。朝の散歩がてら、行ってみようぜ。」
庭の花壇に仲間たちが集まる。リアがルミナス・ネクサスを手に、肩にルミナを乗せてやってくる。ルミナの9本のふわふわした尻尾が揶れ、光球の欠片をかじりながら「ピュイ!」と小さく鳴く。ルミナの瞳が神殿の光を映し、9本の尾が花びらに触れるたび、虹色の輝きが庭の空気を揶らす。小さな体が微かに震え、魔脈の脈動と共鳴するように光る。ルミナの光が花壇の水晶に応じ、花びらが一瞬強く輝く。リアがルミナの耳をくすぐり、笑う。
「タクミ、ルミナが神殿の光に反応してる!私の子、なんかすごいことになりそう!」
ミナが木剣を手に、ガルザークのそばでルミナを見つめる。花冠が朝の露で光り、純粋な瞳がルミナの輝きを追う。ミナが小さな布袋から光る花びらを取り出し、ルミナに差し出す。
「ルミナ、ミナが集めた花びら、持ってって!神殿でキラキラしてね!」
ガルザークがミナの頭をそっと撫で、青い目が穏やかに光る。
「ミナ…お前の心はルミナの光だ。街で待っていてくれ。俺の剣はお前の笑顔のためにある。」
ミナが花冠を握り、笑顔で頷く。
「うん、騎士さん!ミナ、ルミナとみんなの話、楽しみにしてるよ!」
バルドが双剣を手に、静かに庭に立つ。物静かな目が神殿の光を見つめ、朝の露が黒髪を濡らす。
「タクミ、神殿の光…何かを感じる。俺も一緒に行く。静かに見届けたい。」
セリカが風影の爪を隠し、花壇の水晶を手に取る。銀髪が朝風に揶れ、鋭い目が水晶の輝きを観察する。
「この水晶、魔脈を帯びてる。神殿の近く、面白い発見がありそうだよ。」
セシルが落ち着いた足取りで近づき、風の魔力を調整する。朝の露がローブの裾を濡らす。
「タクミ、神殿の魔脈は純粋だが、未知の力だ。民の安全を考えて、慎重に進めよう。」
ジンが竪琴を手に、神殿の光を見つめる。弦を軽く弾くと、風が微かに揶れる。
「この光…星の詩が響いてる。神殿でどんな歌が聞こえるか、楽しみだな。」
一行は庭を抜け、神殿へ続く光の小径を歩く。水晶の欠片が埋め込まれた小径は、朝日を受けて虹色の光を放つ。光る花びらが小径の脇に散り、足元で銀色の光をちらつかせる。朝の風が頬を軽く撫で、遠くで神殿の水晶が星のように瞬く。ルミナがリアの肩で「ピュイ!」と鳴き、花びらに鼻を寄せる。9本の尻尾が光を吸い、虹色の輝きが強まる。ルミナの小さな体が小径の魔脈と共鳴し、尻尾の光が脈打つように揶れる。光が小径の水晶に反射し、まるで星屑が舞うように光の粒子が浮かぶ。ルミナの瞳が神殿を見つめ、かすかな魔脈の音がその体から響く。ルミナの光が小径の水晶に応じ、欠片が一瞬強く輝く。リアがルミナを抱き上げ、目を輝かせる。
「ルミナ!小径の光と一緒に輝いてる!ほんと特別だね!」
ルミナが「ピュイ!」と鳴き、リアの頬にすり寄る。ふわふわの尻尾がリアの腕を包み、魔脈の光が小径を照らす。
小径の途中で、セリカが水晶の欠片の間に埋まった青い結晶を見つける。「星脈晶」——魔脈を増幅する古代の素材だ。結晶は朝の光の中で星のように輝き、セリカが手に取ると、微かな振動が伝わる。
「この星脈晶…熔鉄団の技術と合わせれば、ルミナス・エッジが化けるよ。ルミナにも何か影響しそうだ。」
カザンが小径の脇を調べ、薄く透き通った「光鱗石」を発見。石はルミナの尻尾と同じ虹色の輝きを放つ。
「こいつ、魔脈を吸収する石だ!ルミナが食ったら、もっとすごいことになりそうだぜ!」
ルミナが光鱗石に鼻を寄せ、「ピュイ!」と鳴く。リアが石を手に、ルミナの口元に持っていく。ルミナがパクっと食べ、9本の尻尾が虹色に輝く。光が小径を貫き、水晶の欠片が共鳴する。ルミナの小さな体が震え、尻尾の光が脈打つように強まる。光鱗石の魔脈がルミナの体内で共鳴し、かすかな低音が小径に響く。ルミナの瞳が星のように光り、水晶の欠片に星座のような光の模様が浮かぶ。光が神殿の方向に伸び、まるでルミナが道を指し示すように輝く。リアが驚き、ルミナを抱き上げる。
「ルミナ、なんて力!私の子、ヘブンズ・セプトの鍵になるんだね!」
ルミナが「ピュイ!」と鳴き、リアの頬にすり寄る。ふわふわの尻尾がリアの腕をくすぐり、魔脈の光が小径を照らす。ルミナの光が神殿の水晶に反応し、尖塔が一瞬強く輝く。
神殿にたどり着く。水晶の壁が朝日を浴びて虹色の光を放ち、まるで街の宝石のように輝く。入口の石畳が魔脈の振動で揶れ、かすかな音が響く。タクミがルミナス・エッジを手に、風神の眼を光らせる。魔脈の流れが神殿の中心に集まる。
「行くぞ。」
神殿内部は広大で、天井から差し込む光が水晶の柱に反射し、空間全体が輝く。柱の表面には星座の紋様が浮かび、魔脈の音が響く。中央に浮かぶホログラムが現れ、古代の衣をまとったエアリス・オラクルが一行を見据える。声が神殿の壁に反響する。
「我はエアリス・オラクル、古代エアリス文明を導き、この次元を封印した者。星の導きで再び来た者たち、何を求める?」
タクミがルミナス・エッジを掲げ、答える。
「俺はタクミ。ヘブンズ・セプトの秘密を知りたい。魔脈源泉と、この地の力について教えてくれ。」
オラクルがルミナを見つめ、静かに言う。
「光の魔獣…星の魂を持つ者。ヘブンズ・セプトの鍵だ。その力は、魔脈源泉を目覚めさせ、魂を繋ぐ。星脈晶と光鱗石を集め、魔獣を育てよ。試練を乗り越え、星の意志に従え。」
リアがルミナを抱き、目を輝かせる。
「ルミナ、ヘブンズ・セプトの鍵?相棒、私たちで未来を切り開こう!」
ルミナが「ピュイ!」と鳴き、9本の尻尾が虹色に輝く。オラクルの光がルミナに反応し、水晶の柱が共鳴する。ルミナの光が神殿の紋様に投影され、星座が動き出すように揶れる。ジンが竪琴を軽く弾き、共鳴音に耳を傾ける。
「この響き…ルミナの魂が星と歌ってる。ヘブンズ・セプトの心だ。」
オラクルが一行を見据え、告げる。
「遺跡の深部に、星脈晶の鉱脈がある。それを集め、魔獣を育て、源泉の力を解き放て。光の魔獣が鍵となり、ヘブンズ・セプトの未来が開く。」
タクミがオラクルを見つめ、決意を固める。
「分かった。遺跡の深部へ行く。ルミナと一緒に、ヘブンズ・セプトの鍵を開く。」
神殿を出ると、朝の風が一行を包む。ルミナがリアの肩で「ピュイ!」と鳴き、尻尾の光が遺跡の方向を指す。バルドが静かに水晶の壁を見つめ、呟く。
「ルミナの光…何かを感じる。タクミ、遺跡の深部、俺も行く。」
セリカが光鱗石を手に、微笑む。
「ルミナが鍵なら、この散歩、歴史になるよ。星脈晶、絶対見つける!」
タクミが仲間を見渡し、笑う。
「オラクルの助言、貰ったぞ。遺跡の深部で、星脈晶を探す。ルミナ、ヘブンズ・セプトの未来、頼んだぜ!」
ルミナが「ピュイ!」と鳴き、リアの頬にすり寄る。水晶の庭が一行を見送り、ヘブンズ・セプトの遺跡が新たな冒険を静かに待っている。




