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第186話: オラクルの呼ぶ声

ヘブンズ・セプトの朝は、星光祭の余韻を帯びた柔らかな光に満ちている。広場の魔脈ランタンは夜の輝きを失い、木の柱に静かに吊るされているが、未開の地の遺跡——青白い魔脈石の円形祭壇——は朝日を受けてかすかに脈打つ。祭壇の表面には、星と剣を象った古代の紋様が刻まれ、朝露に濡れて微かに光る。周辺の光る草花は、夜の青い輝きから銀色に変わり、そよ風に揶れるたびに光の粒子がふわりと舞う。苔むした石碑が円形に並び、まるで遺跡が街を見守る番人のように佇む。市場では住民が魔脈果実を並べ、子供たちが木剣を手に笑い合う。クロノスの次元裂け目が封鎖された安堵感が、ヘブンズ・セプトに穏やかな活気をもたらしている。


タクミは広場の端で、遺跡の祭壇を見つめる。ルミナス・エッジが腰で朝日を反射し、風神の眼が青く光る。足元の草花が靴に触れ、光の粒子が舞う。ガルザークがそばに立ち、ミナの花冠が装甲の肩で揺れる。青い目が祭壇の紋様をじっと見つめ、鉄都の記憶——石壁に刻まれた星の紋様、ルカスの笑顔——が閃く。

「タクミ、この石…何か囁いてる気がする。昔、似た場所で…民の声を聞いた。」

タクミが笑い、ガルザークの装甲を軽く叩く。金属の響きが朝の静けさに溶ける。

「囁いてるなら、答えを探しに行くしかねえだろ。ミナも興奮するぜ。みんな集めて、遺跡を調べてみよう!」



広場に仲間たちが集まる。リアがルミナス・ネクサスを手に、魔脈果実を頬張りながらやってくる。髪に挿した小さな花が朝露で光る。

「タクミ、遺跡探索?めっちゃワクワクする!魔脈石の反応、なんかすごいんだから!絶対面白い発見あるよ!」

ミナが木剣を手に、ガルザークの足元で跳ねる。花冠が頭で揺れ、笑顔が朝日を浴びて輝く。

「騎士さん、ミナも行く!遺跡、冒険だよね?宝物見つけるよ!」

ガルザークがミナの手をそっと握り、青い目が揺らぐ。村の子供たちが石碑で遊ぶ姿が、記憶の奥で響く。

「ミナ…冒険…危険かもしれない。でも、お前の笑顔…俺の力だ。」

バルドが双剣を肩に担ぎ、革のブーツで草花を踏む。光の粒子が舞い、豪快に笑う。

「タクミ、遺跡ってのは戦士の血を沸かせるぜ!何か出てきたら、俺の剣でぶった斬る!」

セリカが風影の爪を隠し、遺跡の石碑を鋭い目で眺める。銀髪が朝風に揺れ、指が石碑の紋様をなぞる。

「バルド、騒がしい。遺跡は静かに観察するものだよ。…でも、ちょっと気になるかな。」


セシルが落ち着いた足取りで近づき、風の魔力を抑える。

「タクミ、遺跡の魔脈は安定してるが、未知の反応がある。民の安全も考えながら進めよう。」

ジンが竪琴を手に、祭壇を見つめる。弦を軽く弾くと、魔脈石が微かに共鳴する。

「この石の響き…まるで星の歌だ。過去の物語が隠れてるよ。」

祭壇に近づくと、魔脈石の表面が朝日を受けて青白く輝く。タクミが手を触れると、冷たい石の感触が掌に伝わり、かすかな振動が指先に響く。風神の眼が光り、魔脈の流れを捉える。

「この魔脈…地下に繋がってる。祭壇の下に何かあるぞ。」

セリカが石碑の隙間を調べ、隠された石板を見つける。タクミが魔脈を流すと、石板が軋む音を立ててずれる。地下へ続く螺旋階段が現れ、冷たい風が吹き上がる。階段の壁には光る草花が根を張り、青い光が闇を薄く照らす。

「タクミ、階段の先、魔脈が強い!何かすごいものありそう!」

ガルザークがミナを背に守り、階段を降りる。鉄の足音が石に反響し、草花の光が装甲を青く染める。

「ミナ…危険なら…俺が守る。恐れるな。」

ミナがガルザークの手を握り、目を輝かせる。

「騎士さん、ミナ、怖くないよ!一緒に冒険、楽しいね!」


地下の回廊は、魔脈石の壁に覆われている。壁の紋様は星座や流れ星を描き、かすかな青い光が脈打つ。空気はひんやりと湿り、遠くで水滴が落ちる音が響く。セリカが壁の紋様を指でなぞり、目を細める。

「この紋様…古代の魔脈技術だ。クロノスの実験よりずっと古い。ヘブンズ・セプトの秘密、隠されてるね。」

バルドが双剣を構え、回廊の闇を睨む。

「秘密だろうが宝物だろうが、出てきたら斬るだけだ!タクミ、先に進めよ!」

回廊の奥で、セリカが壁の紋様に隠された石板を見つける。石板には、星と剣の紋様と共に、遠くの神殿を指す矢印が刻まれている。ジンが石板を読み、静かに言う。

「この紋様…オラクルの神殿を指してる。遺跡から少し離れた場所、星光が集まる聖地だ。エアリス・オラクルに聞けば、ヘブンズ・セプトの秘密が分かるかもしれない。」

タクミが風神の眼で石板を見つめ、頷く。

「オラクルの神殿か…助言を貰えれば、魔脈源泉のことも分かるかもしれない。みんな、準備しろ。神殿を目指すぞ!」


ミナが木剣を振り、目を輝かせる。

「オラクル?神様みたい?ミナも行く!神殿、絶対すごいよね!」

ガルザークがミナの肩に手を置き、青い目が真剣に光る。声には無機質さを超えた保護の意志が宿る。

「ミナ…神殿は危険だ。お前は街で待つんだ。俺の剣…お前の笑顔を守るためだ。」

ミナが唇を尖らせ、木剣を握り直す。

「えー!ミナ、冒険したいよ!騎士さんがいるなら、怖くないもん!」

ガルザークがミナの花冠をそっと撫で、声に温かみが滲む。

「ミナ…お前の笑顔は…俺の宝だ。危険な場所には連れていけない。約束してくれ、街で待つと。」

ミナが目を潤ませ、渋々頷く。

「…わかった、騎士さん。ミナ、待ってる。でも、絶対帰ってきてね!」

ガルザークがミナの手を握り、青い目が揺らぐ。村の子供たちの笑顔が、記憶の奥で響く。

「約束だ、ミナ。俺の剣…お前を守る。」


広場に戻り、仲間たちが神殿への準備を始める。カザンが魔鋼のバックパックを背負い、笑う。

「オラクルだろうが神様だろうが、熔鉄団の技術で道を切り開くぜ!タクミ、行くぞ!」

ジンが竪琴を手に、遺跡の光を見つめる。

「この神殿、星光に反応するってのが気になる。どんな歌が聞こえるかな。」

セシルが風の魔力を調整し、落ち着いて言う。

「タクミ、神殿の魔脈は未知だ。民の安全を優先し、慎重に進もう。」

タクミがミナの手を握り、笑う。

「ミナ、街でいい子にしてろよ。神殿の話、帰ったらたっぷり聞かせてやる。」

ミナが花冠を握り、目を輝かせる。

「タクミさん、騎士さん、すごい宝物見つけてね!ミナ、待ってるよ!」

ガルザークが遺跡の祭壇を見上げる。魔脈石の脈動が、鉄都の記憶——ルカスの声、星の紋様——と共鳴する。

「タクミ…オラクル…俺の魂の答えを知ってるかもしれない。行こう。」


仲間たちが広場を離れ、オラクルの神殿へ向かう。遺跡の光る草花が道を照らし、遠くで神殿の星光が微かに瞬く。雲海の端にそびえる水晶の神殿は、朝日を浴びて虹色の光を放ち、ヘブンズ・セプトの新たな物語を静かに待っている。



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