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第173話:砕けぬ執念

砂塵が渦巻くアルテリアの荒野。タクミはマグナ・ヴェスト Mk-IIに身を包み、ルミナス・エッジを握り締める。胸部に装着されたガイストが青い光を脈打たせ、ARパネルにガルザークのデータを映し出す。黒鋼の装甲に覆われた人造人間は、赤い魔脈結晶を胸に輝かせ、両腕の剣を振り上げる。ガルザークの単眼が無機質に光り、低い機械音が唸る。タクミが息を吐き、静かに呟いた。

「ガルザーク…お前をこんな姿にしたクロノスを、俺が必ず暴く。だが、まずはお前を越える!」


ガイストの声が頭に直接響く。

「ガルザーク、出力40MW、安定性28%に低下。胸の魔脈結晶に過負荷兆候。推奨:連続攻撃で結晶を狙え。」


タクミが頷き、風神の眼で風の流れを捉える。砂塵の動きが一瞬スローモーションのように見え、ガルザークの剣の軌道がARパネルに予測線として映る。タクミが砂を蹴り、ルミナス・エッジを構えて突進する。ガルザークが両腕の剣を振り下ろし、赤い魔脈エネルギーが大地を裂く。爆音が荒野を揺らし、衝撃波が砂を巻き上げる。ガイストが即座に叫んだ。

「衝撃波、強度20トン!左に0.3秒回避!」


タクミはヴェストの神経接続を頼りに身体を捻り、衝撃波を紙一重でかわす。砂が背後で爆発し、熱風が頬を焦がす。タクミが歯を食いしばり、ガルザークの懐に飛び込む。ルミナス・エッジが青白い軌跡を描き、ガルザークの胸部装甲を狙う。刃が黒鋼に食い込み、火花が散るが、魔脈結晶が赤く輝き、傷を瞬時に修復する。タクミが舌打ちし、後退する。

「やっぱりタフだな。結晶がエネルギー供給を維持してるか。」


ガイストが胸で光を強め、解析を続ける。

「結晶の修復速度、毎秒10%低下。連続攻撃で負荷をかけ続ければ破壊可能。ヴェスト耐久度、92%に低下。注意しろ。」


遠くでゼルヴィスが嘲笑う。

「無駄だ、タクミ!ガルザークは不死身だ!クロノス様の技術は貴様の理解を超える!」


その名を聞いたタクミの目が鋭く光る。クロノスの影が心にちらつき、怒りが静かに燃える。

「クロノス…お前が何を企もうと、俺が止める。ガルザーク、悪いな。これは俺とお前の決着だ!」


ガルザークが機械的な咆哮を上げ、両腕の剣を交差させて突進する。速度は秒速7メートルに上がり、砂塵が竜巻のように舞う。タクミは風神の眼とネクサス・サイトで動きを捕捉し、ヴェストの反応速度0.01秒をフル活用。ガルザークの剣が振り下ろされる瞬間、横に跳び、刃が地面を砕く衝撃を回避。ガイストがタイミングを計る。

「反撃の隙、0.4秒!胸部を狙え!」


タクミがルミナス・エッジを振り上げ、青白い魔脈エネルギーが奔流となってガルザークの胸に直撃。結晶に深い亀裂が走り、赤い脈動が一瞬乱れる。ガルザークが後ずさり、装甲から火花が飛び散る。タクミが息を整え、呟く。

「効いてる。もう一押しだ。」


だが、ガルザークの単眼が突然強く輝き、胸の結晶が異常な光を放つ。ガイストが警告を発した。

「魔脈結晶、出力急上昇!50MW検出!不安定性60%超!自爆の可能性あり、タクミ、距離を取れ!」


ガルザークが両腕を広げ、赤いエネルギーが周囲に放射状に広がる。大地が震え、砂塵が爆発的に巻き上がる。タクミが後退し、ヴェストの気密シールドを展開。衝撃波がシールドを叩き、耐久度が88%まで低下。ガイストが冷静に報告する。

「エネルギー放出終了。ガルザーク、出力低下中。結晶の亀裂拡大、破壊まで残り30%推定。」


タクミがシールドを解除し、砂煙の中からガルザークを見据える。ガルザークの装甲はひび割れ、動きが鈍くなっている。タクミがルミナス・エッジを握り直し、決意を込めて叫んだ。

「ガルザーク、お前の執念は認める。だが、ここで終わりだ!」


ガルザークが最後の力を振り絞り、剣を振り上げる。タクミは風神の眼でその動きを読み切り、ガイストのARパネルに表示された最適軌道を信じて突進。ルミナス・エッジが青白い光を放ち、ガルザークの胸に突き刺さる。魔脈結晶が砕け、赤い光が爆発的に散る。ガルザークが膝をつき、機械音が途切れる。だが、砕けた結晶の欠片が微かに青い光を放ち、砂に埋もれる。タクミが剣を引き抜き、静かに呟いた。

「休息しろ、ガルザーク。いや…まだ何か残ってるのか?」


風神の眼でその光を捉え、タクミが結晶の欠片を見つめる。ガイストが胸で光を弱め、解析を始める。

「結晶に微弱な魔脈反応。意識の断片の可能性、詳細不明。放置した場合、敵による回収リスクあり。」


タクミがマグナ・ストライダーに戻り、ガルザークの残骸を慎重に持ち上げる。ゼルヴィスが顔を歪め、叫ぶ。

「貴様、何をする気だ!その残骸は我々のものだ!」


タクミが振り返らず、冷たく答える。

「クロノスの道具にはさせない。ガルザークは…俺が預かる。」


遠くの空に一瞬、次元の裂け目が揺らめく。不気味な光が荒野を照らし、タクミの風神の眼がその異変を捉える。ガイストが警告した。

「次元ライン、異常反応検出。詳細不明。タクミ、ヴェールウッドへの帰還を推奨。」


タクミがガルザークの残骸をマグナの腕に固定し、胸のガイストに軽く触れる。

「了解だ。ガイスト、こいつの結晶を解析しろ。クロノスの秘密…そしてガルザークの魂が、まだそこにあるかもしれない。」


砂塵が静かに収まり、戦いの余韻が荒野に響く。タクミの瞳には、クロノスへの決意と、ガルザークへの新たな使命が宿っていた。



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