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第171話:獣と鋼の嵐

アルテリアの荒野に焼けた魔鋼の焦げ臭さが漂う。マグナ・ストライダーの足元にはゼルヴィスの戦車が砕け散り、貴族の精鋭部隊が砂塵の中で膝をつく。タクミがコックピットで息を吐き、ジョイスティックを握り直す。ディスプレイに映る荒野の風景が砂塵で霞み、セレスティア・ドライブの青白い光が微かに脈打つ。ガイストが青い光を点滅させ、報告した。

「戦車3台破壊、歩兵7名戦闘不能。ゼルヴィス、負傷。装甲耐久度、90%に回復。」

タクミが目を細め、荒野に響く声で応える。

「逆らうも何も、お前らが仕掛けてきたんだろ。次はお前が終わりだ、ゼルヴィス。」


ゼルヴィスが膝をついたまま、折れた魔脈槍を砂に突き立てて立ち上がる。緑の装飾が施された装甲服が砂と血で汚れ、鋭い目がタクミを睨みつける。額から滴る血が砂に染み、声が震えた。

「戦車ごときで歯が立たんとは…。タクミ、貴様の機体、鉄都の予想を超えてる。」

彼が手を挙げ、貴族の歩兵に命じる。砂塵の中から低い咆哮が響き、魔獣たちが姿を現す。赤い鱗に覆われた狼型の獣が10頭、鋭い爪で大地を抉りながら唸る。続いて、次元獣が空間を歪ませて出現。機械と有機体が融合したような鷲が5体、鋼の翼を広げてタクミを見下ろす。ゼルヴィスが冷たく命令した。

「獣の力で貴様を葬る。行け!」


魔獣が一斉に突進し、次元獣が上空から急降下。砂塵が巻き上がり、荒野が咆哮で震える。ガイストが警告を発した。

「魔獣10体、次元獣5体。総攻撃強度、30トン予測。装甲耐久度、89%に低下。迎撃推奨。」

タクミがジョイスティックを握り直し、冷静に呟く。

「敵が散開してるからブレイザーは効率が悪い。近接で片付ける。ガイスト、ストームブリンガーの準備だ。」

「ストームブリンガー、展開可能。8連魔脈ランチャー、エネルギー充填済み。セレスティア・ドライブ、30MW安定。」


タクミが操縦桿を操作し、マグナの腰からストームブリンガーを抜く。剣が鞘から滑り出る音が響き、青白い魔脈エネルギーが刃に走る。構えた瞬間に重低音の唸りが荒野を震わせ、マグナが跳び上がる。風切りブレードがシュイーンと鳴り、魔獣の群れに突っ込む。タクミがストームブリンガーを振り下ろすと、刃が赤い鱗を切り裂き、魔獣が2頭、咆哮と共に砂に倒れる。血が大地に飛び散り、ガイストが即座に報告した。

「魔獣2体撃破。速度、秒速8メートル。装甲耐久度、88%維持。次元獣、急降下開始。」


上空から次元獣が鋼の爪を振り下ろす。機械の羽音が耳をつんざき、砂塵がさらに舞う。ガイストが分析を続ける。

「次元獣5体、攻撃パターン解析。爪の強度、各12トン。高度50メートルから急降下、速度秒速15メートル。装甲耐久度、87%予測。」

タクミが左目の風神の眼で風の乱れを読み、右目のネクサス・サイトで軌道を捕捉。

「ガイスト、タイミングを計れ!」

「3…2…1…今だ!」

マグナが旋回し、ストームブリンガーを振り上げて次元獣の翼を切り裂く。鋼の破片が火花を散らし、1体が砂に墜落。爆発が荒野を揺らし、衝撃波が残りの次元獣を一瞬怯ませる。タクミが叫んだ。

「次だ!ランチャーを撃て!」


マグナの肩から8連魔脈ランチャーが展開。青白い魔脈エネルギーが8つの砲口に収束し、連続発射の準備が整う。ガイストが状況を補足。

「魔獣、散開距離20メートル。次元獣、上空で再編成中。ランチャー照準、複数目標捕捉。発射準備完了。」

タクミがトリガーを引き、ドドドドと轟音が響き渡る。青白い光の奔流が魔獣3頭と次元獣2体を直撃。魔獣の鱗が砕け散り、次元獣の鋼翼が熔けて砂に落ちる。爆発が連鎖し、砂塵が巨大な渦を巻く。ガイストが冷静に報告した。

「魔獣5体、次元獣3体撃破。爆発範囲、半径30メートル。装甲耐久度、87%に低下。エネルギー消費、10%以内。」


タクミが息を整え、荒野を見渡す。残った魔獣が遠巻きに唸り、次元獣が上空で旋回を続ける。風が砂塵を運び、視界が一瞬開ける。ゼルヴィスが歯を食いしばり、額の血を拭いながら歩兵に目を向けた。

「貴様ら、獣でも駄目か…。仕方ない、あれを用意しろ。」

歩兵が一瞬固まり、ゼルヴィスに近づく。砂に埋もれた通信機を手に持つ歩兵が震えながら確認した。

「ゼルヴィス様、まさか…あれを?」

ゼルヴィスが冷たく頷き、砂に槍を突き立てて命令を下す。

「あれだ。切り札を投入しろ。タクミを潰すには奴しかいない。」


遠くの砂塵が渦を巻き、低い唸り音が荒野に響く。地平線の向こうで大地が震え、風が不自然にうねる。タクミが目を細め、ガイストに確認する。

「何だあの気配…?ガイスト、解析しろ!」

ガイストが青い光を強め、即座に報告した。

「異常な魔脈波動を検知。エネルギー出力、40MW超。接近速度、秒速20メートル。装甲耐久度、86%維持。」

タクミが額の汗を拭い、呟く。

「40MW…?貴族の兵器じゃねえな。何だこいつ…。」


砂塵の中から黒い影が現れる。巨大な人型兵器が荒野に立ち、黒鋼の装甲が陽光を吸い込むように鈍く光る。両腕に握られた剣から魔脈エネルギーが漏れ出し、赤い脈動が胸部で不気味に輝く。タクミが息を呑み、ガイストが警告を発した。

「魔脈増幅確認。出力異常。戦闘準備推奨。」

ゼルヴィスが折れた槍を手に立ち上がり、冷たく言い放つ。

「タクミ、貴様の終わりだ。この力に勝てると思うな!」

黒い影が砂塵を切り裂き、タクミの前に新たな脅威が迫っていた。



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