第166話:乱れる次元
ヘブンズ・セプトの拠点に陽光が差し込み、マグナ・ストライダーが広場の中央に鎮座する。セレスティア・ドライブの青白い光が装甲を照らし、風切りブレードが微かに風を切る。タクミがコックピットから降り、仲間たちと笑い合う中、ゴルドが熔雷槌を手に持って工房から出てきた。
「おう、タクミ!ドライブの咆哮、最高だったぜ!次はルミナス・ネクサスだ。熔鉄団の魂、燃やしてくぞ!」
タクミが笑いながら頷く。
「頼むよ、ゴルド。みんなの魔力を増幅する指輪だ。製作、始めよう。」
工房に戻ると、熔鉄団の職人たちが動き出す。炉の炎が轟々と立ち上がり、銀合金が赤熱する。タクミは設計図を広げ、超魔脈結晶を手に持つ。青白い輝きが工房を照らし、暖かい振動が掌に伝わる。
「ルミナス・ネクサスは結晶を10分割して、銀合金に埋め込む。魔脈回路をナノスケールで刻んで、魔力を30%増幅する。慎重にやろう。」
ゴルドが熔魔鋼を叩きながら笑った。
「10個の指輪か!熔鉄団の技で完璧に仕上げるぜ!」
カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、熱く言った。
「タクミ、俺の槌が2倍強くなるんだな!早く欲しいぜ!」
タクミが笑いながらカザンを振り返る。
「カザン、槌は関係ないんだ笑。召喚精霊のイグニスが強くなるぞ!熔鉄団の槌に魔力はないだろ?」
カザンが一瞬固まり、熔雷槌を掲げて笑った。
「ハッ!確かにそうだ!イグニスが燃え上がるなら、それでいいぜ!」
リアがルミナを肩に乗せ、工房の隅で目を輝かせる。
「タクミ、指輪ってすごいね!私の雷も強くなるんだ!ねえ、ルミナ!」
ルミナが「ピュイ!」と鳴き、9本のふわふわした尻尾を揺らす。ジンが竪琴を手に持って穏やかに言った。
「魔力増幅か…。アクエリアの水流が楽しみだね。」
エリナが工房の入り口に立ち、仲間たちに混じって呟いた。
「ヴェールウッドのガレンたち、最近連絡ないよね。様子見てきたらどうかな?」
タクミがエリナを振り返り、少し首をかしげる。
「エリナ、俺たちがここにいる間、ヴェールウッドの時間は止まってるだろ?次元の流れが違うから、最近連絡がないってのはおかしいぞ。」
エリナが「あっ」と小さく声を上げ、笑いながら言った。
「そっか、忘れてたよ。でも、なんか気になってさ。次元移動で様子見に行けるなら、行ってみない?」
タクミが設計図を置いて頷く。
「確かに、気にはなるな。ルミナス・ネクサスの製作はゴルドに任せて、マグナで次元移動してくるよ。」
ゴルドが熔雷槌を手に持って笑った。
「おう、タクミ!指輪は熔鉄団に任せとけ。行ってこい!」
タクミはマグナ・ストライダーに乗り込み、セレスティア・ドライブを起動。青い炎が推力ブースターから噴き出し、機体が低く唸る。ガイストがコックピット内で報告した。
「次元移動準備完了。ヴェールウッドの座標、設定済み。エネルギー安定。」
タクミがジョイスティックを握り、叫んだ。
「マグナ、次元移動だ!ヴェールウッドへ行くぞ!」
機体が光に包まれ、空間が歪む。広場の仲間たちが手を振る中、マグナが消え、次の瞬間、ヴェールウッドの森に現れた。
だが、様子がおかしい。森の空気が重く、木々が不自然に枯れ始め、魔脈の青白い光が乱れて点滅している。タクミがコックピットで眉をひそめる。
「何だこの乱れ…?ガイスト、状況は?」
ガイストが青い光を点滅させ、警告を発した。
「魔脈エネルギーが異常。乱流発生中。次元移動エネルギー、50%低下。装甲耐久度、98%維持。気密シールド、機能正常。」
タクミがジョイスティックを握り直し、森の奥へ進む。ヴェールウッドの集落に近づくと、ガレンたちが慌てて走り回っているのが見えた。
ガレンがマグナに気づき、駆け寄ってきた。
「タクミ!来てくれたのか!魔脈が乱れて、森が枯れ始めてるんだ!」
タクミがコックピットから顔を出し、叫んだ。
「ガレン、どうしたんだ!?何が起きてる?」
ガレンが息を切らしながら答える。
「分からない!数日前から魔脈の流れが狂ってて、木々が枯れて物資が作れない。助けてくれ、タクミ!」
ガイストが報告を続ける。
「魔脈乱流、強度上昇中。次元移動エネルギー、40%に低下。戻るのも困難予測。」
タクミが額の汗を拭い、決断を迫られる。
「戻れない…?ガイスト、次元移動の安定化は可能か?」
「魔脈乱流の原因特定が必要。周辺の魔脈ラインを調査推奨。装甲耐久度、97%維持。」
タクミがガレンを振り返り、言った。
「ガレン、俺が調べる。ヴェールウッドの魔脈ライン、どこが怪しいか分かるか?」
ガレンが森の奥を指さす。
「あそこだ!魔脈の光が特に乱れてる。頼む、タクミ!」
タクミがジョイスティックを押し、マグナを森の奥へ向かわせる。青い炎が木々を焦がし、風切りブレードがシュイーンと鳴る。だが、魔脈の乱流が強まり、機体が揺れる。ガイストが警告を発した。
「乱流強度、10トン超。装甲耐久度、95%に低下。気密シールド、安定維持。」
タクミが歯を食いしばり、呟いた。
「マグナ、耐えろ…。ヴェールウッドを救って、ヘブンズ・セプトに戻るぞ。」
森の奥で魔脈の光が爆発的に揺らめき、新たな危機が迫っていた。




